ニュースのご近所。
あの出来事、近くで見るとこんな感じ。

第48回 イスラエルは、断食の季節。


こんにちは!

ムスリムの断食については、
比較的よく聞くのですけれど、
ユダヤ教の断食の話を、じかに聞くことは、
日本では、そんなにはないような気がします。

イスラエルでは、おとといがその断食の日で、
国全体がその雰囲気に包まれたのだそうですよ。

「9月15日の断食の日には、
 無信仰派の人たちとサイクリングに行くんです」
とおっしゃる、イスラエル在住の方からのメールを、
お届けいたしましょう。







・私の住んでいるイスラエルは
 きょう(9月15日)の日没から
 明日の日没までヨム・キプールという祭日です。
 祭日というと楽しくて賑やかな雰囲気を感じますが、
 この日は贖罪の日で、ユダヤ暦の新年後に、
 前年の懺悔をする日なのです。
 この日はユダヤ人にとって一番重要な祭日の一つですが、
 何をするのかというと・・・何もせず断食。
 飲まず食わずで1日、
 前年の懺悔をしながら静かに祈る日です。
 この1日は、全てのものが閉まり、
 交通が一切絶たれ、
 テレビもラジオもありません。
 普段あまり宗教心の無い人たちも、この日ばかりは
 神妙に断食して、家で大人しくしています。

 そのため普段聞こえる騒音や雑音がなくなるので、
 シーンと静まり返り、厳かな気持ちなります。
 ただ、同じユダヤ人でも
 「自分たちはまったく関係ない」という人たちもいて、
 こういう人たちは食事もするし、
 レンタルショップでビデオを借りて見たりしています。
 この日は一年で唯一、レンタルショップのビデオの
 99%近くが貸し出される日です。
 また、車での外出は一切できないので、
 この日は道路が歩行者天国になります。
 通るのは巡回している警察の車と
 断食で脱水症状を起こした人を
 病院へ運ぶ救急車くらいです。

 最近の一般のイスラエル人の子供たちの中には、
 この贖罪の日を自転車の日と勘違いしている子もいて、
 それくらいヨム・キプールの日は、道路の真中を
 自転車で走り回る老若男女の姿が見られます。
 因みに、ヨム・キプール前になると
 自転車も売れるとか・・・

 この私はどうかというと、
 初めての年は情けない話ですが、
 半日、前日の夜からお昼近くまでやってみましたが、
 どうにもこうにも頭がくらくらして断念。
 それ以来行っていません。
 終わりを告げるのは翌日の日没。
 これはユダヤ暦が太陽暦で
 日没から日没を1日と数えているため−ですが、
 日没後にまず飲むことがOK、
 そして3番目の星が見えたら
 食べることもOKとなります。

 見えなくてもいいからもう
 食べちゃえばいいのにと思うのですが、
 普段は大雑把で結構いいかげんな人が多いイスラエルで、
 このときばかりは皆きちんと守って、
 毎年必死に3番目の星を探しています。
 もし、曇ったりして星がでなかったら・・・
 と思うのですが、神は懺悔をした信心深い人たちには
 ちゃんとお慈悲をお与えになっているのですね。
 毎年必ず雲が少しかかっていても
 3番目の星は見られます。
 明日は私も無信仰派と一緒にサイクリングに行きます。
 飲み物とおやつを持って・・・
 (きょーこ)






交通が絶たれ、お店もすべてしまっているから、
みんなが自転車に乗る日になる、
というのが、リアルだなぁと思いました。

お次は、コンビニでサボりつつ
バイトをしていたら警察から事情聴取を受け、
サボりがばれないかどうかのほうが気になった、
という、のんびりしたメールをお届けしますよ。







・前にバイトをしていたコンビニに、
 仰々しくお巡りさんが何人か来たことがあったんです。
 はじめは店長と裏で話をしてたんですが、
 その後バイト一人一人呼び出されて事情聴取。
 どうやら、近くで結構大きな傷害事件が起きて、
 その凶器を店の前のゴミ箱に捨てていったらしいとの事。
 捨てていったらしい時間帯に
 私もシフトに入っていたので、
 「何の仕事をしていたか」
 「普段見慣れない客は居なかったか」
 など、あれこれと聞かれました。
 しかも私はその日、
 そのゴミ箱の袋を取り替える外掃除担当だったので、
 お巡りさんとともに臭いゴミ置き場へ行き、
 どの袋だったかイヤイヤ漁るハメに。
 そして、一番ヒヤヒヤしたのは防犯カメラ。
 悪ガキな店長と私は、よく防犯ビデオを止めて、
 そのデッキでお笑いや怪談のビデオを
 裏で見てたんです。その日も見てました。

 「一番肝心な時間帯に防犯カメラが
  回ってなかったらどうしよう」
 店長も同じ事を思ったらしく、お巡りさんに
 「何時ごろですか?!」
 と青い顔をして聞いて焦っていました。
 なんとか肝心なところは撮れてて大丈夫だったようです。
 店長は雇われ店長なので、
 オーナーにバレておこられてましたが、
 私はバレずに済みました。ごめんなさい店長。
 (nao)






「どうせ何も起きないんだからさぁ」と、
店長さんと「nao」さんが防犯カメラのデッキで
お笑いのビデオを見ている様子が、目に浮かぶようでした。
警察を前に、ふたりとも同時に、いきなり
「何時ですか?」と気にしたところがおもしろかった。

では、最後に3通、外国在住の方々からのメールをどうぞ。







・私も「飛行機の窓から見てしまった」お話です。
 少し前の話になるんですけれど、
 台湾在住の私はよく中華航空を利用していました。
 中華航空といえば、名古屋空港での墜落事故や、
 最近では香港行きの飛行機が空中で爆発するなど
 いろいろ大事故を起こしていますけど、
 あれは1998年のことです。
 台湾の中正国際飛行場から日本に帰るために
 (やっぱり中華航空の)飛行機に乗っていた私は
 窓際の席で一人ぼーっと座っていました。
 やがて飛行機は離陸し、
 ぐんぐんと高度を上げていったのですが、
 そのとき、遠くなっていく
 滑走路の上に私が見たものは、
 三、四日前に中正国際飛行場で墜落炎上した
 飛行機の残骸でした。
 真ん中からぽっきり折れてしまった機体と、
 真っ黒く焦げた機内が見えました。

 あまりの衝撃的な映像に、私は固まってしまい、
 見えなくなってしまうまで、
 ただずっと見続けていました。
 窓側の人はみんな気がついたようで、
 かすかなざわめきが起き、
 機内には沈痛な空気が漂いました。
 この事故は200名余りの方が亡くなった大惨事で、
 台湾では連日大騒ぎだったのです。
 私は無事に日本に到着しましたが、
 とにかく不安になってしまって、
 すごく重苦しい空の旅でした。
 (じぇん)



・イギリスに住んでいたころ、
 ネオナチのデモに巻き込まれたことがあります。
 中学生のころ、週末にロンドンまで遊びに行って、
 家に帰る途中のWaterlooという駅で、
 地下鉄から国鉄に乗り継ごうとしたときでした。
 「普段より人が多いな〜」と思いながら歩いていると、
 周りはなぜか黒尽くめのパンクな方ばかりなのです。
 (本当に絵に描いたようなパンク野郎ばかりです。
  刺青と革パンとチェーンの3点セットがほとんど!)
 まだ、私は呑気に
 「誰かのコンサートが終わったのかな」
 と思っていました。
 しか〜し!
 私のすぐそばで殴り合いの喧嘩が始まったのです。
 それは突然でした。
 一人の人が、周りの大勢の人に
 殴られたり蹴られたりしているのです。
 私は恐怖のあまりその場に凍り付いていたのですが、
 おまわりさんがすかさず私の腕をひっぱってくれて、
 その場から逃げられることができました。

 やっとの思いで家に帰ったのですが、
 その日の夕方のニュースに
 ちょうど私が写っていたようで、
 友達にずいぶん心配されました。

 (ばあばら)



・冷やさないビールの話が続いてますね。
 フィリピンでもビールは冷やしません。
 でも、氷を入れて飲みます。
 味が薄くなるじゃん!と思うかもしれませんが、
 氷が溶けて薄まるほどちんたら飲みません。
 ボトルでくくくーっと。
 結局、ちょっと冷たいくらいで飲んでしまうのです。
 これは庶民の飲み方で、最近は
 冷蔵庫で冷やすお店も増えました。
 が、それなりのレストランでも、
 「ビールと氷」と言えばちゃんと出してくれますよ。
 「冷えてるのもあるけど、ホントに氷でいいの?」
 って聞かれると思いますが。

 フィリピンのバスの車体は、ほとんどが
 日本の中古バスを改造したものです。
 「神戸市バス 三宮行き」とかあります。

 昭和50年代かと思われる車体もあり。
 バスの内装も中途半端に直してあるので、
 「大田歯科」といった広告もそのまんま。
 ブザーも「押してください」の表示もそのまんま。
 それが、舗装の良くない道を
 出せる限りのスピードで走ると、
 このまま空中分解するんじゃないか
 というくらいガタピシ言うのです。
 
 車内は、たいていFMラジオがガンガンかかっていて、
 流行りの歌が流れると運転手も客も鼻歌まじりです。
 必ず車掌さんがいて、チケットを売りにやってくるけど、
 車掌って言ってもビーチサンダルを履いてる人多し。
 (うちこ)






飛行機事故の直後に、
同じ飛行機会社の事故機を空から見たら、
それはもう、不安だったでしょうねぇ……。

日本のバスがフィリピンでそのまま使われていて、
「このまま、出せる限りのスピードで走ると、
 空中分解するんじゃないかというぐらい」
「車掌って言ってもビーチサンダルを履いてる」
という、現地に即したものになっているところに、
なるほどなぁ、と思いながら拝読しました。

では、次回のこのコーナーで、またお会いしましょう!


さまざまな、日本国内や海外からの
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2002-09-17-TUE

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