ニュースのご近所。
あの出来事、近くで見るとこんな感じ。

第46回 シールはがき詐欺と、9・11の余波。



ネットオークション詐欺、ワンギリなどなど、
大きな詐欺被害の裏にいつもあるのは、それが、
「今までにない新しい手口だったがゆえにダマされた」
ということなのですが、最近登場の詐欺のご近所さんから、
メールをいただいているんですよ。ご紹介いたしましょう。







・今日何気なくTVを見ていて、
 「シールはがき詐欺にご用心」
 というニュースを目にしました。
 「重要書類在中 必ずお読みください」
 という表書きで、
 債権譲渡された債務に対する最終和解案として
 8万6千円を送金しろ
 という内容のシールはがきが届くというものでした。

 シールはがきというのは
 中身が見えないように二つ折りになって
 ぴっちりくっついたはがきのことです。
 以前にダイヤルQ2の利用料金を支払えという
 請求はがきの詐欺がありましたが、
 それのアップグレード版といったところでしょうか。

 実はうちにもまったく同じ物が届いていたんです。
 突然ニュースのご近所になっちゃって、
 びっくりしました。

 もちろん”債権譲渡された債務”というのも
 まったく身に覚えのないもので、
 「送金期日が守られない場合は訪問集金する」とか、
 「本書は最終通告書とする」というような
 脅し文句が並んでいて、送金方法も
 「現金書留」という胡散臭いものでした。
 我が家では、すぐに国民生活センターに電話しました。
 同様の問い合わせがたくさんきているということで、
 「絶対に送金しないこと」、
 「まず来ないとは思うが、
  もし取立てが来たら国民生活センターに
  連絡していることを相手に伝える。
  それでもしつこい場合は警察に通報すること」、
 「届いたはがきはしばらく保管しておくこと」、
 と指示されました。

 ニュースでは送り主である
 会社の住所に取材していました。
 そこは私書箱取り扱いをしているだけの
 無関係の会社で、私書箱を契約にきた人は
 郵便物の受け取りにはきていないそうですが、
 送金は1,100万円にのぼるとか。

 こんなのに引っかかっちゃう人って、
 ちょっと家族には言えないような
 秘密の借金とかしてたりするのかなぁとか、
 いろんなこと考えちゃいました。
 (ゆかぽん)






重要なシビアな内容の告知には
はがきにシールがついていることが多いという、
うしろめたさの心理をついた新しい詐欺なんですね。
こういうものこそ、ひっかからないように見えて、
意外とひっかかってしまうのかもしれないなと思いました。

では、次は、9・11にまつわるメールをいくつか。
あの日いっけん静かに見えたアメリカは、
実は静かではなかったのではないかというご指摘ですよ。
興味深いので、ぜひ、読んでみてくださいませ。







・NY在住のNと申します。
 ほぼ日に載っていたNY在住の恵美さんのメールに
 違和感があったのでお便りしました。
 私は昨年の9/11に
 あの場所のすぐ近くにいて逃げた人です。

 親しい友達も仕事関係の人も何人もなくなりました。
 仕事場もしばらく立ち入り禁止になって
 自宅で同じ映像が繰り返されるテレビを何度も見ました。
 今年も9/11が近づいて
 関連したニュースが流れてくると、胸が痛くなります。
 NY近辺で暮らしている人の大半が
 誰かしら親戚、友人、知人を失っています。
 まったく関係なかった人がまれでしょう。

 今年9/11にオフィスを閉じた所は
 ほとんどなかったと思います。
 働いている時に暗い顔するひとも少なかったと思います。
 でも、去年のことを思って胸が苦しくならない人は
 ほとんどいなかったのではないでしょうか?

 私は式典の放送を見るのがつらくて
 TVからはなれていました。

 遺族でも参加を拒んだひとが
 少なからずいると聞いています。
 仕事している時はなるべくその話題はしませんでした。
 出来るなら忘れていたいのです。

 パキスタン系の人がテロ反対のデモをしました。
 アラブ系の人が昨年嫌がらせを受けたから、我々は
 アメリカが好きだとデモンストレーションをしたのです。
 彼らもまたこのテロの被害者です。
 
 アラブの人も黒人もアジアの人もみんな
 星条旗のバッジをつけていたのは、
 愛国心もあるでしょうが
 私はテロを支援していないと強調するためです。
 ムスリムやアラブ系の人に対する偏見を避けるためです。
 かれらもまた、当事者なのです。
 関係のなかった人もいるかもしれません。
 でもここに住んで、この地域に関わっている人なら、
 ほとんどが当事者です。
 そうでなければ今年9/11の夜
 あれだけの人が自発的に公園集まったりはしません。
 
 ワシントンスクエアーでもセントラルパークでも、
 人々は蝋燭を手にずっとあの日の事を、
 失った人たちを思い出していました。
 町じゅうが一日中お葬式。
 というのはアメリカ人の気質から言ったら
 考えにくいことです。
 いつでもジョークを飛ばして笑っていたい国民です。
 それにTPOをわきまえています。
 TVのインタビューでも
 どんなに悲しくても自分を失ったような
 話し方をする人は非常に少ないです。
 公共の場での感情のコントロールをすることを
 文化として持っていますから。
 だから、みんな集まるのです。
 そういう思いを持っている人たちが。

 私はそう思います。
 今年の9/11はあっさりしたものでは
 決してありませんでした。
 それだけが伝えたくてお便りしました。
 (N)



・NYに住んで11年になります。
 「9月11日のNYの街は普通だった」
 というニュースが先日載っていました。
 確かに私も普通に会社に行き
 朝1分の黙祷を捧げた他は
 いつもと変わらない日を送りました。

 テロが起こった時もそうですが、1周年記念の日も
 社内でこの話しをする人はほとんどいませんでした。
 でも普段めったにミスをしないアシスタントは
 その日ミスをしまくり、
 私もそれを叱ることはしませんでした。
 あれから1年、NYに住んでる者はまだ誰も
 その事を話したがらないというのが現実です。

 でも11日は誰も
 そのことで心がいっぱいになってました。

 9.11のテロで一番やりきれないのは
 これが無差別大量殺人だということです。
 サリン事件に始まったこの無差別大量殺人は
 悪の意味を一挙に塗り替えてしまったと思います。
 こういう種類の悪に立ち向かう方法を
 私達は持ってるのでしょうか。
 
 そう思うとぽっかりあいた虚無の穴に
 飲み込まれてしまいそうです。

 でも悪は善の友達というのが真実なら
 私達は今まで考えたこともなかったような
 大きな善を創れる時が来たということかもしれません。
 (CK)






NY在住の方の、ふたりのメールをお届けしました。
「当事者としての痛みが強くて、騒ぎたくない」
というNさんのメールには、なるほどなぁと思いました。

では最後に、昨日おとといとなぜか続いている、
ドイツのビールの温度についてのメールをご紹介します。







・ドイツ人は冷たいのが苦手かどうかが
 話題になっているときいて、
 5年ドイツに住んだ者として
 黙っていられずにメールします。

 さて、ドイツ人は冷たいのが苦手かどうか。
 たしかに彼らはビールをキンキンに冷やしたりしないし、
 売店では大抵、
 「冷えてるの?それとも常温の?」と訊かれるし
 (そしてドイツ人のほぼ100%が後者を選びます)、
 ファーストフードの飲み物にすら氷は入っていません。
 普通の家庭にクーラーはなく、
 自家用車もクーラー無しはザラです。
 市電も冷房代わりに窓を開けて走っています。

 けれどもそれと相反するようですが、
 彼らはまだ気温の低い春先、
 近くの川や湖に泳ぎに出かけます。
 我々(日本人)が室内にひっこんでしまうような
 肌寒い日でも、太陽さえ出ていれば、
 半袖にサンダルという格好で、
 カフェの外の席に座って飲み物を飲んだり、
 自宅の庭やバルコニーで食事をとったりします。

 一体冷たいの苦手なの?
 ほんとは得意なんじゃないの?
 どっちなのかはっきりしてよ、
 と詰め寄りたくなりますが、
 これらは、ドイツの気候を知ることで
 うまく納得できるように思います。


 ドイツの冬は長く深く厳しいです。
 雲に覆われ、日照時間は短く、
 誰もが陰うつな気持ちになります。
 だから彼らは春を心待ちにします。
 そして春の最初の光が地上に届いた瞬間から
 太陽の光をあますところなく享受しようと努力します。
 彼らは待ち焦がれた季節が短いことを
 十分に知っているのです。
 ドイツ人にとって太陽(春夏、暑さ)は
 とても貴重なものなんですね。

 春先に泳ぎに出かけるのも、
 肌を露出して外に出るのも
 太陽の光を少しでも多く吸収したいからです。
 クーラーや、冷たい飲み物がないのも、
 ドイツの夏が比較的過ごしやすい
 (日本と比べて、温度、特に湿度が低い)ことと、
 貴重な暑さを、暑さとしてしっかり享受したいという
 彼らの心身の自然な欲求から
 きているのではないかと私は思います。

 太陽が出るとドイツ人の眉間からは
 シワが消えます。ホントだよ。
 (今はスイス在住。あみあも)



・ドイツ人がビールを冷やして飲まないのは、
 ドイツビールは冷やすと
 香りと風味が落ちるからだと聞きました。
 日本のビールを冷やして飲むのは
 日本の気候に合っているからだと思います。

 現にドイツから日本の父へビールを買って帰ったら、
 何だかちっともドイツビールの味が美味しく感じず、
 日本の冷えたビールが美味しく思えました。
 それぞれの国の気候によって
 ビールのうまさの感じかたも違って来るのでしょうか。

 もうじき、オクトーバーフェスト(ビール祭り)です。
 私はビール大好き人間で、オクトーバーフェストにも
 毎年二日に一日の割合で通っていた位でしたが、
 よりにも寄ってこのフェストで今の主人と出会い
 ビールが美味しくないイタリアへ引越してしまいました。
 ああ、悲しい!
 (サマンタ)






ドイツについてよく知っている人たちからの
メールを、お届けいたしました。

「ドイツの気候の話、おもしろいなぁ」
「オクトーバーフェストなんて、あるんだ?」
などなど、ビールを語る裏にある背景に、
いつも、「文化」を感じさせてもらっています。

どちらにしても、確かなのは、
ドイツの人はそうとうビールが好きなこと、ですね。

では、次回のこのコーナーで、お会いしましょう!


さまざまな、日本国内や海外からの
ニュースのご近所のおたよりは、
件名を「ご近所ばなし」として、
postman@1101.comまで、どうぞーー!!

2002-09-15-SUN

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