デナリへ出発しよう!
冒険のはじまり
1998年、二十歳のころ。北米大陸の最高峰・デナリの山頂。石川直樹は、生まれてはじめて標高6000メートルを超える「高所」に挑み、高度障害でフラフラになっている。激しい頭痛で顔もむくみ、急に眠気が襲ってきて‥‥。遠くの山嶺に、別のパーティが見える。朦朧とした状態でシャッターを切ったら、前にいた誰かの頭が写った。デナリは、めちゃくちゃ格好いい山だ。アラスカン・ジャイアント。憧れの山。「偉大なるもの」。下山し、雪焼けした顔でふもとの町を歩いていたら「お前、もしかして‥‥やったのか!?(Did you make it ?)」と、道行く男に声をかけられた。そんな山だ。植村直己は、今もこの山のどこかで眠っている。冒険は、ここからはじまった。いつかまた、かならず登ろう。
2010-11-08-MON