バフンウニの嘆き。  Nageki Of Bahun-uni


名称 はげ山
分野
英名 bald mountain
嘆きその26 はげ山

なぜ、なぞらえる。
人間の頭の「その状態」に、
どうして私をなぞらえる。
‥‥まあ、人の頭のフォルムが
私に似ているからだろう。
そこから木々が消えていく様が、
いわゆる「脱毛」のイメージを喚起したのだろう。
‥‥それにしてもだ、
あまりにストレートな物言いではないか?
思いやりのかけらもないネーミングではないか?
はげ山‥‥。
すこしは包みたまえ、オブラートに。

そもそもの話をさせてもらおう。
「毛」は人体の中から生えるもの。
「木」はタネがやってきて勝手に生えるもの。
ぜんっぜん、仕組みがちがいますからっ!
だいたいからして、きみらはどれだけ、
はげ山のことを知っているというのか。
はげ山、それは樹木が乏しい山のこと。
だがしかし、
「生えてない=はげ山」ではないのである。
たとえばすごく高い山の場合、
木が育たない環境なのだから
頂上に木が生えないのは当然のこと。
これを指して「はげ山」と言ってはいけない。
また、「山頂ははげやすい」
という事実も知っておいていただこう。
山のてっぺんは風当たりが強く水が不足するのだ。
そういう山を指さして、
「あ、はげ山」というのもやめなさい。

ならば、どういう山がはげ山なのか。
「この背の低い山さ、なんかおかしくない?
 木がはえててもよさげな雰囲気なのに、
 はえてなくない?」
それこそが、はげ山である。
‥‥かくいう私が、そのタイプ。
あぁ‥‥私だって昔は、すごいものだった‥‥。
山頂部分までこんもりと木々が生い茂り、
ふっさふさだったんだ‥‥。
ある日、山頂部分から木が抜けはじめ、
それまで森林だった場所は草原になり、
草たちまでもが姿を消して‥‥。
最後はススキが3本だけ生えていて、
それがかえって淋しさを誘ったものだった‥‥。
あのころの森で暮らしていた、
鹿や小猿は元気ですか?

なぜ、なぞらえる。
人間の頭の「その状態」に、
どうして私をなぞらえる。
‥‥き、気にしているんだっ!!
お願いです。
包んでください、オブラートに。

(つぎなる嘆きへつづく)

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2010-06-29-TUE