NAGATA
怪録テレコマン!
hiromixの次に、
永田ソフトの時代が来るか来ないか?!

第60回 仮装大賞へのエントリーを本気で考える
〜光明編〜


開始から数時間が過ぎ、
順調に煮詰まり始めた3人組。
しかし、ついにひとりの脳裏に光明が差す。
さあ、仮装大賞への道は開かれたのか?


永田 あ! あれは? ○○は?
○○が○○するさまをゆっくり表現する。
それに合わせて周囲もこう……。
(図に描いて説明する)
針生 ん?
天野 お!
永田 こっちからこう来て、こう見えてて──。
天野 ああ、こう、ゆっくりグワーンと
なっていくさまを。
針生 それ、おもしろい。できるよ。しかも。
永田 たとえばこっちからこう見せて──。
天野 ズワーーッてなるのに合わせて、
こっちもズワーーッて。
針生 ムッズい! でもおもしろい!
永田 がんばればできなくはないレベルだよね。
天野 うん。これこそ、演技力と、アンサンブルと、
作り物の完成度が必要で、
かつ、ちゃんと身体の動きを使ってて、
うまくできれば入賞を狙える。
永田 うん、完成すれば、いける。
針生 いける?
天野 いける。
永田 よし、ちゃんと考えっか。
<数十分後>
天野 ……やっぱこれいけるんじゃないですか。
針生 いけそうな気がする。
天野 いろんな要素が入ってるのがいいと思う。
永田 ここのところが決まってないのが気掛かりだけど。
針生 もう、なんとかするしかないよね。
まずは、予選に通ることが先決でしょ。
天野 うーん、でもある程度のプロトタイプというか、
ある程度の説得力は見せないとダメだと思うなあ。
永田 じゃあさ、こういうのはどう? ここを……。
<さらに数十分後>
針生 ねむーい。
永田 がんばれー。
天野 あとここだけなんだけどな。
針生 これ、もう考えて出てくるもんじゃないと思うな。
天野 詰んでる?
針生 うん。いま話してるのが最終形態かなと思う。
永田 だとすると、ダメだ。確信が持てない。
天野 うーん。
永田 なんつーかね、全体の完成度が、
最後の技術頼みになってるのがイヤなのよ。
これ、最後の作り込みがダメだったら
終わっちゃうよね?
針生 でも、それは、
ある程度の規模のものを作ろうとしたら、
しかたないんじゃない?
永田 そうなんだけど、これはとくに、
ハンパな部分が許されないでしょ。
あと、とにかく演技者が動きを練習すれば
カバーできるとか、そういうものでもないし。
針生 ああ、そうね。
練習あるのみ、っていうわけでもないんだ。
作って、作ったうえで練習しなきゃいけない。
永田 あと、途中で最終の仕上がりを見通せない。
天野 決まればカッコいいんだけどなあ。
永田 せめて、会議だけでも、
この案を土台にもう何回かやらないと。
天野 でも、予選を通過しながら、
いろいろ変わっていくって、
けっこうふつうみたいですよ。
永田 う〜ん。
針生 やりようが何通りもあるのがよくないね。
永田 そう! で、けっきょく最後は技術頼みになる。
針生 その点、俺の考えた電気のスイッチはわかりやすいよ。
永田 うん。その意味で、これはスイッチ以下なんだよ。
天野 ガーン。
針生 ……ていうか、無理じゃない? 今日は。
永田 ……。
天野 ……。
針生 ふたりともそう思ってるでしょ?
永田 これを離れて、
冷静にもういっぺん考えればよさそうなんだけど、
いまは頭が切り替わらないかも……。
針生 でしょ?
天野 締切が今日だもんなあ。
針生 じゃあ、もう、次回でしょ、これは。
永田 ……。
天野 ……。
針生 ……。
永田 ……一回、負けだね。考えが甘いよ、やっぱ俺ら。
天野 ……そうっすね。
永田 引き分けじゃなくて負けだ。
エラそうなこと言ってて、応募以前に自分落選だ。
天野 やっぱ、出てる人はすげえなあ。
針生 そうだね。
永田 こんな会議なんか、何十倍もやるんだろうし。
針生 思いつくだけじゃダメか。
永田 うん。「できそう」とかじゃダメだと思う。
「できた」って机上で思えないと、
このまま進んでもハンパなものになっちゃうよ。
いまいろいろ考えたのって、
これをやるならこうするしかないなっていう、
後づけみたいな考えばっかだもん。
天野 ……じゃあ、次回ですか。
永田 ……うん。もいっぺん。
針生 ……集まりましょう。
天野 くぅ〜〜〜、悔しい!

がっくりと肩を落とし、ついに席を離れる3人。
誓って言うが、我々は本気だった。かなり本気だった。
しかしながら、まだまだ覚悟と決意が足りなかったようだ。
どれだけ知識を溜めようと、
どれだけ過去の例を分析できようと、
絵に描いた餅は、絵に描いた餅でしかない。
席を立つ3人は、我が身の甘さを痛感すると同時に
先達への尊敬の念を深めたのであった。
リベンジを誓って終わる。
最後の企画を伏せ字としたのは、
我々がそれを諦めてないことの意思表示である。
たとえ道は険しくとも、またいつの日か。
長々とたいへん失礼いたしました。



2003/02/21 若林

2003-03-11-TUE

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