NAGATA
怪録テレコマン!
hiromixの次に、
永田ソフトの時代が来るか来ないか?!

第58回 
仮装大賞へのエントリーを本気で考える
〜具体案編〜


過去の作品に対してコメントするのは易しいが、
自分で新たに考え出すとなると難しい。
仮装大賞の企画をゼロから編み出すことになった3人。
いよいよ、具体案を話し合おうとするが……。


永田 とりあえずさ、なんでも言ってみようよ。
天野 そうですね。どんどん挙げていく方向で。
針生 ええと、じゃあ……タッパウェア。
永田 またずいぶん地味なモチーフを(笑)。
天野 それ、どこが俺なの?
永田 「どこが俺なの?」(笑)。
天野 だって俺がやるんでしょ、タッパウェアを。
タッパウェアのどの部分が俺なの?
針生 ……フタかなあ。
天野 なに、俺がこう、べろんってなって、
びたんって倒れて「タッパウェア」って言うの?
針生 そうそう。その前に、子どもの声で
「さぁ〜て、あっためなくっちゃあ」って流れる。
永田 演出は最後でいいの(笑)。
針生 でも、こうやって、思いつくままに
どんどん出していくしかないよね?
永田 タッパウェアはともかく、
話の進め方としては、そうするしかないかなあ。
針生 ええと、なんか、パンが焼けたりするの、どう?
永田 う〜ん、お餅とか、焼くものは多いんだよね。
針生 ああ〜、ふくらんでくるやつだ。
永田 焼くものっていうか、
火にかけるものは名作が多いから。
『サザエの壺焼き』とか『スルメ』とか。
天野 あー、『スルメ』、あった。
針生 よくできてたねえ。
永田 おまえ、ホントよく見てるな。
俺らと変わんないよ。
針生 じゃあ、ドア! 自動ドア。
天野 だから、どこが俺なのよ。
針生 天野さんが左右に真っ二つに分かれる。
審査員もお客さんも大喝采。
永田・
天野
それ手品じゃん!
針生 ……ホントだ。
天野 エスカレーターっていうのはどうですかね。
なんかこう、奥行きがあるようなもので、
立体感を表現するのっていいと思うんですよ。
永田 ああ、うん。わかるけど、具体的にどうする。
天野 う〜ん。
針生 ……コピー機は?
永田 ……天野はどこ?
針生 …………トナー。
永田 ……真面目にやれよ。
天野 印刷されていく様子っていうのはおもしろいかも。
永田 あ、デジカメは? こっちで移したものが、
こっちでパッと表されるっていう。
(紙に図を描きながら)こんな感じでさ。
天野 ああ、人文字みたいな感じだ。
永田 う〜ん、いまひとつか。でも、そういう、
時代を反映させたようなテーマはいいかもね。
ITっぽいものとか、デジカメとか。
あ、マウスは?
針生 俺もいまそれ思った。
永田 マウスをこう動かすと、
こっちでカーソルが動くっていうような。
針生 うん。天野さんがマウスで、ダーッと動くと、
カーソルの永田さんがダーッと動く。
永田 カーソル、俺なの?
天野 矢印の真ん中に顔が出てる感じ。
永田 だから、顔塗るの勘弁してよ。
天野 いっしょに塗りましょうよ。
針生 でも、マウスはちょっといいかも。
永田 じゃあ、こういうの、どう?
マウスを動かすと矢印が動くんだけど、
モニターの中を動くんじゃなくて、
会場全体をカーソルが動き回るっていう。
針生 なになに、どういうこと?
永田 だから、こう、マウスパッドがあるとして……。
天野 ふむふむ。
<20分ほどマウスについて議論>
永田 ざっとこんな感じかな。
針生 ちょっと大がかりだね。
永田 大がかりだねえ。
あと、問題はダブルクリックしたときの
画面の動きをどう表現するか。
針生 でも、悪くないと思うなあ。
永田 う〜ん、肝の部分が後回しってのが引っかかる。
とりあえず、これは置いとこう。
天野 でも、ここを置いとかずに、考えることこそが、
人が思いつかないことを思いつくことに
つながるんじゃないですか?
永田 じゃあ、あえて、ここを追求する?
天野 そのほうがいいかなあと。
針生 でも、そもそも完成したとして、
どれくらいのインパクトを持つのかが疑問。
永田 う〜ん、そうかも。あと、気になるのは、
ちょっと大がかりすぎるっていうか──。
針生 張り子っぽい?
永田 張り子っぽい。もっと身体の動きを見せたい。
天野 ですねえ。
永田 だから、ちょい置いとこう、これは。
針生 でも、悪くないよ。この調子で行こう。
天野 どんどん挙げよう。
針生 マッサージチェアってのはどう?
永田 モミモミするやつが上がったり下がったり?
天野 ちょっと地味だなあ。
針生 う〜ん、じゃあ、
マッサージチェアでマッサージされてるんだけど、
実際には、マッサージチェアがない!
ひとりでマッサージされてることを表現!
永田・
天野
それパントマイムじゃん!
針生 ……ホントだ。
永田 じゃあ、逆は? イスだけあって人がいない。
針生 「ああ、気持ちいいなあ」って声が入るんだ。
永田 なんかありがちだなあ(笑)。
針生 それがだんだんオーバーになっていくってのは? 
声も「ぎゃあ、やめろ!」とかに。
天野 「もっと右、右!」「それは左!」みたいな。
針生 そうそう(笑)。
永田 それ、ただのコントだよ。
針生・
天野
……ホントだ。
針生 あの、どうもさっきから、俺の頭の中に、
中村有志がいるんですよ。
永田 パントマイムから離れろ。
でも人がいないっていうのは、
なんかちょっと、いいかなあ。
天野 人がいない?
永田 たとえばその、わかんないけど、空き地があって、
そこで野球をしてるっぽいんだけど、
人がいないっていうような。
天野 ああ、砂埃が上がったり──。
永田 そうそう。ベースがザシュッってへこんだり。
で、最後にボールが隣の家に入って
ガシャーンって窓が割れて──。
天野 カミナリ親父が「こらーっ」って言った瞬間に、
得点のボードがドルルルルルルッって。
針生 チャカチャチャーチャチャチャー! 合格です!
一同 (笑)
天野 いいんじゃないですか?
針生 うん、それ、おもしろいよ。
永田 いいかな?
天野 ……でもなんか見たことある気がするけど。
永田 ……じつは俺もそう思ってる。
針生 じゃあダメじゃないですか!
永田 う〜ん、シンプルだけど、だるま落としとかは?
天野 だるま落とし?
永田 カコンって音がすると、ここがこうズレて、
くり返してだんだんズレていって、見てるほうは、
「ああ、あそこに人が入ってるんだな」って
思うんだけど、最後に一番下の段が
カコンってズレるの。
天野 それ、手品じゃないですか。
永田 ……ホントだ。
針生 永田さん、それ、ただの手品ですよ。
永田 ……手品のどこが悪い!
天野 逆ギレやめましょうよ。

ハズレ混じりではあるが、徐々に具体案も挙がり始めた。
各自のエンジンもあったまってきたようである。
しかし、エンジンがあったまればあったまるほど、
間違った方向へ進んだときの距離も長い。

────次回、迷走編へ続く。



2003/02/21 若林

2003-03-09-SUN

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