NAGATA
怪録テレコマン!
hiromixの次に、
永田ソフトの時代が来るか来ないか?!

第21回 
江口寿史さんの家に和田ラヂヲさんとおじゃまする 
 〜その4〜


さて、マンガ家の江口寿史さんと和田ラヂヲさんと
のんびり話していましたが、
いよいよテープも回りきってしまったようです。
最後は、マンガの中の擬音について。
和田さんが野球中継を見ながらつぶやいた一言から
話は思わぬ広がりを見せました。

あ、新たに登場している鈴木っていう男は、
僕の後輩の編集者です。


和田 実際の野球は、"カキーン"なんていわんよね。
"カキーン"って誰が言い出したんやろう?
永田 水島(新司)先生じゃないですか? 
"ワーワー"がページいっぱいに書いてあるのは、
たしか水島先生ですよね。
鈴木 "カキーン"は『巨人の星』じゃない?
永田 そうなのかな。ああいうマンガの表現のルーツって、
考えてみるとおもしろいですよね。
和田 江口さん、
昔、ボーリングの音を書いてなかった?
江口 あれは田村信だよ。
"グモン、グモン、グモン、
クワッシャーン!"(笑)。
一同 (笑)。
江口 あれは上手かったよね。
あの人は擬音の天才だから。
"チュドーン" っていうのも田村信なんですよ。
永田 へえ。高橋留美子さんかと思ってた。
江口 高橋留美子さんも使ってるけど、
ルーツは田村信なんです。
和田 "グモン、グモン"っていうもんね、本当に。
ボーリングの球ってそうだよなあ。
永田 そう言われてみると、
そうとしか聞こえなくなっちゃうな(笑)。
鈴木 谷岡(ヤスジ)さんの"ぺたしぺたし"
みたいな(笑)。 
でも"ぺたし"っていうよなあ。
裸足の足音はやっぱり
"ぺたし"がいちばんいいかなあ。
和田 廊下歩いてる音は"ぺたし"だよね。
永田 クルマの音なんかもいろいろありますよね。
『イニシャルD』の擬音とかよく見る
とすごいし。
鈴木 ああ"プシャアァァァ!"とかね。
江口 『イニシャルD』は上手いね。
あと遊人(笑)。"ヌプッヌプッ"とか(笑)。
鈴木 ああ、遊人のはヤバいですよね(笑)
江口 "ヌププッ"とかさ。あとなんだっけなあ。
"ヌップヌップ"っていうのは
本当に思い当たるというか(笑)。
和田 "チョクチョク"とか(笑)。
江口 あったなあ(笑)。
アレはオレあきれたけどね。
もうやめろよって(笑)。
鈴木 アレはあの人のオリジナルですよね。
永田 マンガの擬音って、やっぱり先駆者がいて、
マネというか浸透していくんですかね?
江口 そうじゃないかなあ。
鈴木 しかもマネというよりは、
すり込みに近いんじゃないかなあ。
江口 それを超えようとして、また切磋琢磨してね。
そういう意味ではたしかに
遊人はオリジネイターだね。
鈴木 そういうすり込みを逆手にとって、
このまえの『コミック・キュー』だったかな? 
おおひなた ごうさんのマンガで、
ボールがミットに入ったときの音が
"デキャンタ!"とか書いてあって(笑)。
永田 相原コージさんも擬音で遊んだりしてたよね。
あと『ジョジョ』の一部で、
ライバルが主人公の恋人に
強引にキスする場面で
"ドキューン!"とか書いてあったの
覚えてるなあ(笑)。
和田 どんなキスや(笑)。
江口 メチャクチャな擬音っていうのはいいよね。  
和田 狙いすぎてるとまた笑えないもんね。
微妙なところなんやろうな。
永田 そういや少女マンガって、
平気で"キュン"って書いてありますよね。
擬音として。
和田 なんで書くかなって思うけど、書いてあるわな。
書いてしまうんかなあ、その人の中のテンポで。
鈴木 新谷かおるさんの飛行機の着陸したときの音は
"ドピュッ"なんだよね。
江口 ラヂヲはあんまり書かないんだよね、擬音って。
永田 そういう印象ないですね。
和田 ていうかスピード感ないからね、
オレのマンガ(笑)。
江口 間がね。
鈴木 そういや『コンデ・コマ』の、
一本背負いが止められたところで
"ピタ〜〜ッ"っていうのがあって
それがすごくおもしろかったなあ。
永田 スポーツマンガって
けっこうオリジナル多いよね。
鈴木 蝉の鳴き声とかもけっこう人によって違う。
永田 島本和彦さんのマンガで、
横断歩道で待ってるシーンに、
"ぱーぱーぽーぱーぱぽぽー"って書いてあって、
「これなんだろ?」と思って考えてたら
『とおりゃんせ』のメロディーだった。
一同 (爆笑)。
鈴木 そうかそうか、メロディーを当てはめて読むと
つじつまが合うっていう(笑)。
『ドラネコロック』でもあったよ。
当てはめると『サンダーバード』の
一部にぴったりなの(笑)。
永田 『マカロニ』もけっこうなかったっけ? 
鈴木 あったような気がする。
ゴリラダンスは本当は
どんな歌なんだろうとか。
永田 そうそう、読者からすると
「作者の頭ではどんな音楽が鳴ってるんだろう」
っていう疑問はあるよね。 
『パタリロ』のクックロビン音頭とかさ。
鈴木 アニメになったとき賛否両論あったね。
永田 江口さんの
"それだけならまだいいが"っていうのは
描いてるときは鳴ってるんですか?
江口 鳴ってますよ。
永田 鳴ってるんだ(笑)。
"そっれっだっけっなっらっまっだっいっいっが"
っていう感じで読んでるんですけど……。
江口 それでいいです(笑)。それ以外ないもん。
やっぱりギャグマンガって
受け手側の想像力で左右されるからね。
それを受け取れない人だとぜんぜん違うからね、
マンガのテンポが。


う〜ん、"それだけならまだいいが"の
正しい発音を教えてもらうとは思わなかった。

それにしても、
マンガ家さんと会うとものすごく不思議な感じがするのは、
やはり子どものころ夢中で読んでいて、
憧れていた世界を生み出した人だからだろうか。
変な言い方だけれど、
なんだか、この世にいてはいけない人と会っているような、
とても不思議な感じがするのです。

そういう意味でいうと、
プロ野球選手に会ったりとかすると、
僕はまた不思議な感覚に襲われたりするのだろうな。

たとえば鼠穴に行って、
そこに桑田選手とかいたりすると、
僕は不思議さで息が止まってしまうかもしれない。

それではまた。


2000/07西荻窪

2000-09-03-SUN
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