NAGATA
怪録テレコマン!
hiromixの次に、
永田ソフトの時代が来るか来ないか?!

第5回 初めての読者に会いにいく 〜その2〜

はやし もう録ってるんですか?
永田 はい。
僕のこの連載に初めてメールをくれた、
はやしゆうこさんは僕より少し年上の女性だった。
はきはきとして、大きくはないけれど
聞き取りやすい声で、テンポよく話す人だった。

僕らは、会うことができたことにお互い安堵し、
それですっかり緊張が解けてしまった。
さて、テープは回る。
永田 一回目をアップした日に
すぐメールくださったでしょ。
ちょうど見てたんですか?
はやし そうですね。見て「あ、また新しい連載だ」と
思って読んだらすごくおもしろかったんで、
すぐ、思いつくままにメールしちゃったんです。
永田 毎日あのページはご覧になってるんですか?
はやし ええ。・・・ほぼ毎日。
永田 ほぼ毎日(笑)。
『ほぼ日』へは、よくメール出すんですか?
はやし それが、初めてなんですよ。
永田 へえええ。そうだったんですか。
はやし はい。
僕の初めての原稿を読んで、
はやしさんが『ほぼ日』に出した初めてのメールが、
僕に届いた初めてのメールだったのだ。
なんとも不思議な巡り合わせだ。
永田 僕、驚いたのが自分の原稿がアップされたのを
職場で初めて見たんですけど、
すぐに最初のメールが転送されてきて。
自分も初めて読んでるようなタイミングで
メールが来たから、
「あ、この人、今読んだんだ!」っていう
新鮮な驚きがあって。で、すぐにメール出して。
はやし ああ、私もすぐに返事が来たから驚いて。
永田 『ほぼ日』って、いつからお読みになってます?
はやし インターネット初めたのが一昨年の暮れだから
去年だと思いますけど。
そんなこんなで、お互いの共通点である、
『ほぼ日』の話などする。
よく見るテレビの話をするみたいに。
永田 最近だと、井上陽水さんのおもしろいですよね。
はやし あ、ごめんなさい。私あれ読んでないんですよ。
永田 いえ(笑)。
はやし 1回も開いてないんですよ。ごめんなさい!
永田 あ、あの、僕に謝られても。
はやし あ、そうですね(笑)。
『ほぼ日』を読み始めたころは、
更新されるものは全部読んでたんですよ。
永田 うんうん、僕もそうでした。
はやし でもそのうち「これ読みたいな」っていうのを
選ぶようになってきちゃって。
永田 ああ、全部読むとすごい量になりますもんね。
ん? でも、井上陽水さんの対談って、
一度も開いてないんですよね?
1回読んで、っていうのならわかるけど、
読む前のものをどうやって選んでるんですか? 
つまり、読む前に、
「読まない」って決めちゃったわけですよね? 
開くものと開かないものの差ってなんですか?
はやし ・・・・・・。
永田 あっ、すいません! 
なんだか問いつめてしまって。
どうもこう、糸口を見つけると
突っ込んで取材してしまう癖がついてて。
はやし いいえ(笑)。
あの、古川さんの対談ってありましたよね?
永田 マイクロソフトの。
はやし そうそう。あれを読んでたときに、長くて、
スクロールさせてたら目が回ってしまって。
永田 長さで?
はやし そうそう。それで、井上さんのを見たときに、
「これは長いのでは?」と思ってしまって。
永田 なるほど。じゃあ、内容は二の次で。
はやし そうですね。鳥越さんのニュースとかは、
短いから、毎日読んでます。
渡辺真理ちゃんのお菓子のやつとかも。
あと、なんとかののぞき穴っていうのも
いつも必ず見てる。
永田 そうか。長さってのが重要なんですね。
はやし そうですねえ。
永田 一日、ネットってどのくらい見てます?
はやし ・・・けっこうすごいんですよ、私。
調べごとを始めると、すぐ時間が経っちゃって。
キリがないからもうやめようと思ってます。
永田 (笑)。それはどんな調べごとなんですか?
はやし 旅行に行くときとかに調べるんですけど、
初めての土地とかだとやっぱり調べますよね。
それでいろんなサイトがあるから
「あ、今度こっち」ってやっていくともう、
どんどん時間が過ぎてしまって。
永田 ああ、なるほど。
あるなら全部見なきゃ、って感じになりますよね。
調べきった感じにならない、みたいな。
はやし そう、そうなんです。昔なら、図書館とか行って
本借りてきて調べたりしてたんですけど。
いまだとインターネットのほうが便利だし、
情報が新しいんじゃないかって思ってしまって。
永田 うんうん。たとえば本で調べるのって、
その本を借りるなり買うなりした時点で、
他の情報はあきらめてるんですよね。
膨大な情報の中から、ひとかたまりだけ持ってきて、
そこを調べてるわけですよね。
だからその本を読み切れば、
調べ尽くした感じがするんだけど、
インターネットって、ひとかたまりだけ取るって
いうわけにいかないからキリがないというか。
はやし そうですね。だから旅行の調べごとには、
ある意味向かない。
永田 なるほど(笑)。
けっきょく、ネットでさんざん調べても、
知り合いの「あの宿がいいよ」の一言で
決まっちゃったりとか。
はやし そうそう(笑)。
印象だけれど、
僕を含めて『ほぼ日』を読んでる人っていうのは、
インターネットに精通したパワーユーザーよりも
インターネットの便利さと不便さのあいだを
行ったり来たりしているような人が多いような気がする。
たぶんイトイさんがその代表なのかもしれないけど。
永田 メールとかネットをやりだして、
知り合いが増えたりしました?
はやし それはあんまりないですね。
もともと知ってる子とやり取りするくらいで。
チャットとかもやらないし、
あんまり冒険しないですね、なんか怖くて。
永田 ってことは、これ(こうして会っていること)、
かなり冒険ですよね(笑)。
はやし うん、これは冒険(笑)。
永田 僕もかなり冒険ですよ。
メールとかネットを通じて、
面識ない人と会うのって初めての経験だし。
はやし 私も。
永田 でもなんていうか、
『ほぼ日』じゃなかったら会わないですよね。
はやし あ、会わないですね。
永田 『ほぼ日』を介しているから、
なんとなく信用がおけている、
みたいなところないですか?
はやし ありますねえ。でも永田さんのほうが、
私に対して信用おけるかどうか
わからなくて困ったんじゃないですか?
永田 いや、でも、『ほぼ日』を読んで
反応してくれているという、
共通の認識があると・・・。
はやし ああ、それで信用いただいてるというか。
永田 お互いに(笑)。
はやし それは大きいかもしれない。
『ほぼ日』を読んでる人なら、っていうのはある。
永田 だから、会う前の、
はやしさんに対する僕の信頼と、
僕に対するはやしさんの信頼っていうのは、
『ほぼ日』に対する信頼なんですよね、きっと。
はやし そうかもしれない。そうですよ。そうだそうだ。
永田 そんな気がしますよねえ。
はやし わかる。今日もね、家を出るときに
母に「誰と会うの?」って聞かれたんですけど、
私がふだん、『ほぼ日』を読んでるの知ってるから、
いきさつを説明したら、母も、
「ああ、おもしろそうね。行ってらっしゃい」
っていう感じで。
永田 うんうん。
たぶん、僕がこの企画を思いついたのも、
はやしさんにメールを出したときに
なんだかうまく取材できるような気がしたのも、
きっとそういうことなのかもしれない。

<続きはまた明日>

2000/02/11  新宿

2000-02-24-THU

BACK
戻る