80's
80代からのインターネット入門。
前橋の母Aが、Eメールで原稿を
送ってくるまでの物語。

第10章 レッスン6・そして網のなかに(4)




十数秒後。あっ、な〜んだぁ。苦笑。
「ボタンバー」が出ていなかったのだ。
「戻る」「進む」「更新」等が表示されているあの
バーである。これがないと、なかなか寂しい。
それのあるなしくらい、一瞬で気付きそうなものだが。

「このポインタがこういう手の形に変わったところは、
押すとどこかに行ける場所なんです」
「はぁ〜」
「『リンク』というのですが、別のページに飛べる
わけです。また、実際にやりながらご説明しますね」

どこをどう説明しようと、実際に経験してみないと
わからないはずだ。
他のブラウザを使っていた人なら「なるほどね」で
済むだろうが、なにしろ、まったくの初心者。
単なる説明量の多さとそれによる理解度は正比例しない。
かえって混乱を招くであろう。

「お気に入りバー」に並んでいるアップル・サイトへの
ボタンはどうも邪魔なので(アップルさん、すみません)
「お気に入りの整理」というところで削除。
初めから用意されたものを素直に
そこに置いたままにしておくのも無駄というものだ。
ソフトは、自分に合った使い勝手を追求できる。
それをミーちゃんにも知っておいていただきたい。

さてと、いよいよ接続だ。

コントロールバーから「リモートアクセス」を開く。
開かなくても「接続」を押せば接続されるのだが、
やはり接続状況をチェックしながらの方が実感がある。

「リモートアクセス」ウィンドウの
「接続」ボタンをミーちゃんに押していただく。
前回までの悪夢がふと脳裏をよぎる。心拍数が上がる。
「不安神経症のパブロフの犬」か?(笑)

しかし、その不安、一瞬で笑いに変換された。
笑うのも失礼だが、笑いの方がドキドキよりも上等だ。

「ピポパポピポポ」に慣れている二人の耳に
「ジリジリジリ・ジリジリ・ジリジリジリ・・・」

うほほほほ、ダイアルが電話をかけている〜。
久々に聞くパルス・ダイアル音。
緊張感をずっこけさせるに値する音だった。

「本当にそうだったのね〜!」
ミーちゃんも爆笑。

ダイアル回線をバカにしているのではない。
高度成長期の縁側でスイカを食べる夏。
パルスの向こうに浮かぶ、懐かしい日々。
ほのぼのとさせてくれる音であるということだ。

「これじゃあ接続するのに時間もかかりそうね〜」
と、笑うミーちゃん。

NTTの工事の人も、ISDNのパンフレットくらい置いて
いきそうなものだが、特に見あたらない。
ま、焦って接続しなくてはならない用事もないだろうし、
「ゆとり接続」ということで、満足していただこう。

と言ってる間に、ちゃんと繋がった。

「接続が確立されると、
このリンゴのマークが電柱みたいなマークと
交互に表示されるんですよ。
今、そうなってますよね?」
「あら〜、ほんとだ」

さて、
まずはちょっと「検索サイト」のご紹介をしておこう。
まずは「goo」に行ってみる。
ここで試しに「ほぼ日刊イトイ新聞」と入力して検索。
たくさんのページが釣り竿に引っかかって出てきた。
「この言葉が使われているページを
見つけてきてくれたんです」

適当に一つ選んでクリックしてみる。
「これは個人の人のページですね。
どこかに「ほぼ日」の名前が載ってるはずですよ」
スクロール。・・・あった。
見慣れたイラストのリンクボタン。

「自分の気に入っているページに、
ここから直接飛べるよう、
こういうのを載せて紹介してるんです。
で、ここをクリックしてみると・・・」

ミーちゃん「はぁ〜」の繰り返し。「半納得」。

しかし、次の瞬間、
「納得」の「はぁ〜!」。
ここが噂の『ほぼ日』でございます。

「こんなにいっぱいコーナーがあるんですよ」
本当にスクロールのしがいのある目次ページだ。
「本当に新聞っていうか、雑誌っていうか、
そういうつくりなのね〜」
「読むところがたくさんあって大変です(笑)」
「ね〜!」

「お気に入りに追加」しておいた。
ついでに、その使い方もご説明。

本のしおりのようなものである。
ネットスケープの
「ブックマーク」という名称の方が個人的には好きだ。
「お気に入り」?
最初に耳にしたとき、ちょっと笑えた。
気に入らなくても覚えておきたいページも
中にはあるかもしれない。(笑)

「じゃあ、ここをクリックしてみてください」
ご自身が知らぬ間に主人公となっている、そのページ。
「主人公」が、今まさに、そのドアを開く。

イシノさんが毎日プリントしてきてくださる、
お馴染みデザインのページが現れる。
ウキウキと楽しそうなミーちゃん。
ちょっとドキドキな私。

もちろん、ここも「お気に入りに追加」。
ミーちゃん、気に入ってくださるといいのだが。

自分の書いたものをこうして見せられるのは
なかなか恥ずかしいものだ。
誰かに送ったラブレターが、ふと町内掲示板にでも
公開されているかのような気恥ずかしさ?
ま、その例えを想像してみれば、かなり気が楽に
なるが。赤面度が違う。

「これが今日の分です。
後で読んでみてくださいね。私が帰ったあとで」
照れ照れ。


パンパカパーン。
とうとうミーちゃんのiMacが、「ほぼ日」につながった!
もう、それだけでも、元取ったくらいですがな。
カグチさんちの「八千代ちゃん」も、
毎日読んでくれてるのよねー。

レッスン6、これで終わりじゃありません。
さぁ、このあとあっこ先生は、何を教えてくれるんだろ?

(むろん、つづきは明日でんがな。まーだ、毎日連載だ!)

1999-07-23-FRI

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