80's
80代からのインターネット入門。
前橋の母Aが、Eメールで原稿を
送ってくるまでの物語。

第2章 先生を探す(1)。


知り合いに前橋市に住んでいて、
親切でマックに詳しいともだちがいないものかと考えた。
あ、いや、ウソだ。考えなくてもわかる。
そんなやつはいない。

だが、もしや、と思うことがあった。
「母Aのパソコンの先生を探しています」
というメッセージを、そのまま「ほぼ日」に掲載したら、
ひょっとするとひとりくらいは、
「ワタシ、ヤリマス」という奇特な読者が
手を挙げてくれるのではないかということだ。
ひとりもいなかったら、その時は、
あらためて考えよう。

いままでいただいていたメールのなかには、
前橋の読者はなかったような気もする。
しかし、まったくいないということもないだろう。
しかも、母Aの近所には、群馬大学もあるし、
ぼくの出身校の前橋高校の
パソコン趣味の高校生かなんかから、
「いいっすよ」というメールが
飛びこんでくるかもしれない。

だめでもともとという気持ちで掲載したら、
なんと、さっそくメールが届いた。




こんにちは、糸井さん。
本日の目次、見ました。

沢山の若い後輩達からメール応募があったと思いますが
私も応募します。

でも私は海外にいるので、
帰省時期の5日間しかお助けできませんし
時期が少し後なんです。
7/19-23か7/26-30のいづれかに敷島に帰ります。

私も5年前からMac愛好者ですが、
新たにiMACを日本から送ってもらってまで
使っています。
父(61才)も同時期に買って、
自分で全部設定出来たし
誕生日も祝ってくれるすごい奴だと絶賛してます。

5日間では何のお役にも立てないでしょうが、
いづれにせよ御母上の「格闘・健闘リアルタイムほぼ日」
を楽しみにしています。

K松 H美



ありがたいよー。
この野菜、いや、優しい心遣い。
でも、この日程では、難しいだろうな。
でも、ひとりこういう人がいただけでもいいや。
そう思っていたら、また次の人からだ。



「ほぼ日」のみなさま、こんにちは。
いつも楽しく拝見しています。

さて、糸井さんが今日のコラムでおっしゃられていた
「前橋の母へiMacを」についてですが。

私は3月まで東京にいたのですが
4月に実家の高崎に戻り、
今は会社のある東京まで新幹線通勤をしています。
前橋は車ですぐなので、
私でお役にたてることがあればおっしゃってください。
ただ、私自身は、はっきり言ってあまり詳しくないんです。
でも、母校の高商はコンピューター部が
頑張っているようで、
そこの顧問の先生とかが
なにかいいようにやってくれると思います。

私自身はお茶くみとか、
近所にお醤油かりにいったりとかしかできないと
おもうんですが、よろしかったらお声おかけください。


S藤 M美




またまた、ありがたいよー。
高崎だったら、クルマなら近いけどなぁ・・・。
お醤油をかりにいったりするのは、
たぶん必要ないとは思うんだけど、
でもうれしいお申し出です。
そこに、またまた、メールが届いた。
母Aよ、この幸せ者よ!



こんにちは。
初めてお便り致します。

私は、N木C子と申します。31歳主婦です。
前橋高校から徒歩3分のところにすんでいるものです。
こちらへは、主人の仕事で越してきました。
ちょうど1年になります。
当初は、初めてフォッサマグナを越えてしまったことを
とっても後悔しておりました。
と、申しますのも私は、生まれも育ちも大阪で、
知り合い、縁者もまったく、こちらには無かったのです。
しかし、「糸井さんが、前橋出身で、“まえたか”卒」
という事を唯一の手がかりとし、
赤城颪とカルチャーギャップに日々おののきながらも
少しづつなじんで参りました。

そこで、前橋でのお知り合い拡大大作戦として、
また、手がかりを下さった糸井さんへのご奉公を
させていただけたらと思いました。

PC歴は、10年ほどですが、
学生の頃と、勤めていた頃に 
macを少々たしなんだ他はwindowsユーザ−です。
それでもよろしければ。
現在は、専業主婦で、メールソフトばかりを使っています。
しかし、主婦の特権は時間がたくさんあることなので
学習機能付。

いかがでしょうか。
宜しくお願い致します。

N木C子



またまた、ありがてぇよー。
大阪育ちの人が、あの町に暮らしているなんて、
思いもよらなかった。そういうこともあるんだよなぁ。
そうか、ウインドウズのユーザーかぁ。
でも、マックだってわかるはずだよね。

このへんで、はっと気づいたことがあった。
せっかくの親切な方々からのお申し出をいただいたのに、
ぼくはその人たちを「選ぶ」という、
逆転生意気なことをしなくてはならなくなっている。
うわーっ、だった。
失敬だようっ。先生を選ぶだなんて!
しかも、ひとりでもいれば、といってたくせに、
「どの人にお願いしようか」なんて、考えている。
3通のメールをもらっただけで、
ぼくはもう心配になりはじめた。

(そして、明日に続く)

1999-06-16-WED

BACK
戻る