HOST
いっそあのホストに訊こう!

第28夜 精神的な満足感を与えるほうが大切なんです



糸井 じゃ、最後に……。
今までだいたい質問にからんだことを
いっぱいしゃべったんですけど、
とくに答えてみたい質問とか、ありますか?
零士 ありましたねぇ僕には、ひじょうに。
糸井 それを、ぜひ。
性がらみのことは、
あんまりしゃべってなかったですね。
零士 セックスですか?
糸井 ええ。
そのあたり、けっこう質問があったんで。
あの、なかには、種馬のようにヤリまくってると
思ってる人もいますよね。
そのへんって、現実のホストはどんな感じなんですか?
零士 あの……セックスというのは、
基本的にはその、肉体的な満足感と、
精神的な満足感があると思うんですよね。
で、あの……セックスを売り物にするということは、
ひじょうに難しいと思うんですよね。
精神的な満足感を与えるには、
べつにセックスじゃなくても、
ほかのものでも、いっぱいあるわけですよ

肉体的な満足感を与えるよりも、
精神的な満足感を与えるほうが、
ホストとしては、大切なんです。
ずーっと対談してきたことは、
結局はそういうことなんですよ。
糸井 そうですよねぇ。
零士 たとえば今、
「あー、おもしろかった!」と言って、
この対談の後、スタッフのみなさんで
お茶を飲むなり、酒を飲むなりしてもらうためには、
精神的な満足感を感じてもらったほうが、
質が高いんですよね。
糸井 性をコントロールするってのは、
暴力なんかに近いんですかね?
零士 ええ、そうなんです。
だから、そっちのほうに走っていくと、
もう尺が決まっちゃうんですよね。尺度が。
幅が決まっちゃうんですよ。
で、夢を売っているホストが
幅が決まっちゃうようなことに走ったら、
夢じゃなくて現実になっちゃって、
もうみんな斜めに傾いちゃうんですよ。
糸井 走っちゃう人もいるでしょ、やっぱり。
零士 たまに、手段として、走る人はいますよね。
ま、正直言って、ぶっちゃけた言い方したら、
「お客さんと寝ちゃって、どうこうして、
 そういうふうにヤリまくってるホストが、
 ナンバーワンなんじゃないか?」という
イメージが先行してるんじゃないですか。
でも、それは幅が決まっちゃってますから。
糸井 つまり、精神的な満足への可能性の芽を
ぜんぶつぶしちゃって、
ある一直線の道だけを走ってるということになると?
零士 そうです。
かけ算じゃないんです。たし算ですよね、それは。
僕はたし算求めてこの世界に入ってないですから。
糸井 あと、研究のしようがないですよね、
その道ってね、根本的にはね。
零士 そうでしょ。
だから、上に行く人ってのは、
そのことじゃなくて、ちがう方法で行ってるわけですよ。
精神的な満足感を与えるには、
どうすりゃいいんだろう?って知恵をしぼるんです。
で、工夫するんです。
だから“研究”と書いて“どりょく”と読む、みたいな。
糸井 (笑)なんだよ〜それ?
研究と書いて、どりょくと読む。
零士 ええ。
血と汗と涙の結晶とか、
そういうことを言ってるうちは、まだまだです。
結局、肉体的に動かす、どうのこうのって、
イメージ自体がもうまちがってますよね。
血と汗と涙は、もう当たり前ですから。
そこから一歩上のことをやらないと
糸井 やっぱり性でどうのこうのというのは
暴力に近いですよね。
殴っていうことをきかせるってのと
パターンとしては同じですよね。
長続きもしないし。
零士 しないんです。
糸井 もっとすごいヤツも出てくるしね。
病気みたいにすごいヤツが出てきたらもうお終いですよね。
あと、なんだろ、性を考える時間は長くても
性そのものに関わってる時間は短いですよね。
100時間ないですもんね。
零士 そこなんですよ。
ちょっとしかないんですよ。
もっとぶっちゃけた話は、たとえば、
「5万円でセックスできます」と。
で、裸になって、じゃあ、っていたして、
5万円払うってなると、終わったあと、
「なんか高かったかな……」と思うんですよ。
糸井 はあ……。
零士 ところが、たとえば、2時間あったら、
1時間50分しゃべって、あとの10分で
チャチャっとしちゃって、
そうすると逆に、「また行きたい」と思うんですよ。
糸井 はぁ〜〜。
零士 だから、さっき、僕が最初に話したことで、
長い話を時間を感じさせないで、
しゃべることができたら、
それは、モテる秘けつですよと。
時間を感じさせない、というのは。
そこでも話がつながるんですよ、ぜんぶ。
糸井 読んでる人、飽きてないだろうね、まさか(笑)。
俺ら、すごーく、おもしろがってるけどね。
こういう話、読んでる人はどうでしょうね?
おもしろいのかなぁ?

(つづく)

2000-07-16-SUN
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