イベント開催のお知らせ。

<2002年度モノポリー
  日本選手権結果報告第3回>

こんにちは。
前回までは、
日本選手権決勝大会の予選までの様子をレポートしました。
連載最終回では、
いよいよ日本チャンピオンを決める決勝戦の模様を
お伝えします。

いよいよ決勝戦の開始です。
決勝卓は会場の真ん中に特設され、
その周りにはギャラリーがぐるりと
二重三重にも取り囲んで熱い応援の視線を送ります。
なれない人はこの雰囲気だけでも
緊張してあがってしまうかもしれませんね。
そんな中で、いつもと変わらぬ軽快なトークで
観衆を沸かせながらゲームを進める
ベテランプレイヤーがいました。
予選トップ通過の山本昌穂さんです。
モノポリーは交渉によってゲームを進めるため、
この「観衆を味方につける」という状況は
実は想像以上の有利を得ることがしばしばあるのです。
さすがに実力者は、
ギャラリーの存在も味方につける術を心得ているようです。

序盤の展開で、権利書を順調に購入でき
現金も潤沢だったのは、岡田豊さんでした。
オレンジやレッドという有力カラーを
次々と購入していく上に、
なんとダークパープルの土地2箇所を
自力で独占してしまいます。
そしてお金持ち。
岡田さんのような実力者が
これだけ権利書も現金も持っていたら、
そのまますんなり優勝してしまいそうな予感がします。
しかし、モノポリーは
常に1マス先には悪魔が潜んでいるゲームです。
他のプレイヤーも、ひしひしと追い上げていきます。
佐藤さんも、現金を増やしてイエローの経営を狙います。
逆に、山本さん、井元さんは、
現金も権利書も少なく、見た目は少々苦しい感じ。

岡田さんは、独占したダークパープルを
自分で経営することはせずに、
そのまま高野さんに渡して
グリーン他の権利書をもらってきます。
高野さんは自分の出身である
「札幌」の土地が含まれるダークパープルで戦う、
という郷土愛あふれる宣言をしました。
こういう台詞が出るのもジャパン版ならではですね。

もちろん郷土愛だけではありません。
このとき高野さんは、
売れ残りのレッド2枚を手元に残すようにした、
なかなか上手い交渉。
思えば、98年の北海道在住
日本チャンピオンである千葉さんが
決勝での勝利の決め手にされたのが
他でもないダークパープル!でした。
同じ北海道代表の高野さんにも、
ラッキーカラーになるのでしょうか。

続いて、岡田さんと山本さんの間で、
大型トレードが行われます。
岡田さんが残りの権利書を全て放出して、
グリーン3枚をそろえます。
岡田さんはこのとき現金を
なんと2億円近く貯めこんでいたはずであり、
グリーンにいきなり家9軒建てることも可能な体制。
が、ここは6軒スタートで
やや平静さを保つ構えに出ました。
ここではグリーンの手前に佐藤さんの駒がいたのですが、
しかし佐藤さんは
うまくチャレンジのマス(共同基金)に着地し、
岡田さんからの先制攻撃を回避しました。

この一手で立場が逆転。
今度は佐藤さんが、早速反撃の交渉を始めます。
今まで高野さんや岡田さんが経営を開始したカラー
(ダークパープル、グリーン)は、
通称「寒色系」と呼ばれる、
駒が止まる確率などの問題から
勝率が若干悪いグループであるのに対して、
これから交渉に入るイエローやオレンジは、
「暖色系」といい、
一言で言えば「勝ちやすい色」です。
つまり、いよいよ決勝も
佳境に入ってきたといえる瞬間です。

まず、佐藤さんと井元さんの間で、
イエローをそろえる交渉が行われます。
しかし、両者の条件に隔たりがあり、
この交渉は難航します。
グリーンがまだ6軒に抑えてあったことも、
影響していたのかもしれません。
そこで今度は隣から山本さんが、
井元さんへオレンジをまとめる交渉を持ちかけます。
井元さんは自分がオレンジの手前にいるので、
すぐに振り込む危険があるため放出はありません。
結果的に、井元さんが自分でオレンジを集めて、
現金を振り絞って家を7軒建築。
一方、佐藤さんがイエローを集めます。
こちらは家を4軒たてて、
若干手持ち現金を残しています。
その後、山本さんもライトパープルの経営に入り、
盤上は全員が家を建てる
俗に言う「殴り合い」の形になりました。

ゲーム終盤、一番威力を発揮したのは、
やはりというか、オレンジでした。
一時は家が崩れそうになる危機もありましたが、
綱渡りで乗り越えた後、お客が次々に止まり、
あっという間にオレンジはホテル3軒へ成長。
その後もお客が順調に入り、イエローとグリーンは崩壊。
まず佐藤さん、続いて岡田さんが破産。
ダークパープル+鉄道という体制から
チャンスをうかがっていた高野さんも、残念ながら破産。
最後まで粘っていたのは
山本さんのライトパープルでしたが、
これも結局はつかまり、
井元さんが見事にモノポリー勝利で決勝を制しました。
第12代日本チャンピオンは、井元哲也さんに決定です!
関西在住者の優勝は2年連続3回目、
しかもここ4年間で3度の優勝と、
近年非常に強い関西勢です。

それにしてもオレンジが強いのは
誰もが承知のところですが、
中盤までの苦しい形から一気にワンチャンスにかけた
井元さんの勝負勘もすばらしいものがありました。
モノポリーは序盤に権利書が購入できなくても、
大局観を働かせて注意深く展開を読み、
自分の勝ち筋を見つけることができるゲームであるという、
お手本のようなゲームであったと思います。
新しい日本チャンピオンの
今後のご活躍に期待いたします。



モノポリー界は日本選手権で一区切り。
この1年いろいろな大会にご参加くださいまして
ありがとうございました。
そして・・・
既に来年の日本選手権に向けた大会は始まっています。
今後もよろしくお願いいたします。

なお主要な大会の成績は、
協会で成績管理を担当してくださっている
99年日本チャンピオン宮野徹さんのHPに
掲載しております。
(宮野さんのHPはここ

もちろん日本選手権の各地予選結果もあります!
満足できる成績だった方も、そうでなかった方も、
参加しなかったけど「どんな大会だったのかな」と
ちょっと興味をそそられた方も、
お気軽にご覧ください。


=====以下は成績表=======

2002年日本選手権決勝大会成績
(モノポリー勝ちは一律に資産15億円で計算)


<予選3ゲーム計>
順位 名前   予選WP  同RP  同資産合計(万円)
1 山本 昌穂  20   77   300640
2 井元 哲也  14   72   123010
3 佐藤 英一  12   67   112930
4 岡田 豊   12   66   173900
5 高野 修一  12   66    58400
------------以上5名が決勝進出-----------------

6 大木 勝裕  12   57   195410
7 植田 幹浩  10   72   150000
8 川上 康晴  10   60   102970
9 野呂 夏雄  10   44   150000
10 福田 勝仁  10   36   150000
10 石井 方宏  10   36   150000
12 長野 克   10   34   150000
13 茶碗谷 毅   8   54    75430
14 北島 秀樹   8   52    77080
15 吉田 幸正   8   43    90750
16 妹尾 真一   8   40   100280
17 鈴木 雅文   3   43    33700
18 岡田 孝仁   3   37    34280
19 山本 尚意   2   58    43420
20 高倉 正典   2   42    23240
21 関根 智久   2   34    37520
22 藤本 洋司   2   30    22650
23 牛澤 真理子  2   26    29960
24 曾根田 高輝  0   41       0
25 菱戸 信一   0   36     4590
26 石川 隆紀   0   28    16880
27 山添 雅己   0   28    13520
28 今井 清嗣   0   27       0
29 佐藤 秀満   0   25    14270
30 近藤 百合子  0   23       0
31 荻山 修司   0   20       0
32 辻本 卓    0   18       0
33 及川 英紀   0   12       0
33 中瀬 博之   0   12       0
35 上田 稔    0    8       0
36 土田 知義   0    4       0


<決勝>
順位  名前   同資産合計(万円)
1 井元 哲也   150000
2 山本 昌穂       0
3 高野 修一       0
4 岡田 豊        0
5 佐藤 英一       0

2002-12-06-FRI

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