モノポリーエッセイ

2008年度モノポリー日本プレーヤー権
全国大会結果報告(その5)



こんにちは。
昨年の日本一決定戦
「2008年度モノポリー日本選手権全国大会」は
去る2008年11月15日、16日に
東京・中野サンプラザで開催されました。
その5回目の報告となります。


予選ラウンドもいよいよ大詰め。
各卓で勝利して決勝進出を決めた選手たちが、
おたけびをあげているような、
まさしくクライマックスです。
波乱万丈の予選3回戦、残りのテーブルを見ましょう。

第3テーブル。
ここでは大混戦を制した柴田さんが決勝進出を決めました。
「ダイス運だけで勝ったような試合でした」
そう謙虚に振り返る柴田さんですが、
これだけの乱戦を制したのですから
もちろんその実力によるところも
相当に大きかったに違いありません。

柴田さんは2年ぶりの決勝進出です。
2年前の決勝では、
一見有利な立場からやや消極的なゲーム運びで
そのまま出遅れてしまった感がありましたが、
今回はどうでしょうか。
2008年度はラストチャンス大会からの出場、
そして予選最後の3回戦での滑り込みと、
相変わらず「先行」のできない、
「後追い」タイプのプレーヤーのように見えます。

一瞬の勝機を掴むことが大切な決勝で、
果たして今年はスパートを切るタイミングを
適切に捉えることができるでしょうか。

続いて第4テーブル。
有澤さんが一発勝負型のダークブルーを揃えます。
でも武運つたなく不運な展開が続き、
結局成功しませんでした。

「今年は、中継するよりも、される側になりたい」
決勝のウェブ中継スタッフでもある有澤さん、
今回はこのような抱負をあげていました。
あと一歩ではありましたが、
今年も決勝は「いつもの中継席」だったようです。

代わって浮上してきたのが矢田貝さん。

矢田貝選手がモノポリー勝利。そして決勝進出決定です。
初出場で初の決勝進出。よほど嬉しかったのでしょう。
お世話になった知人たちを回りながら
御礼と意気込みを語っています。
こういった謙虚な姿勢には非常に好感が持てます。
なんだか「そのままいきそうな」予感もしてきます。

そして最後の第5テーブル。
石川@2007年日本チャンピオンがモノポリー勝利。
そして決勝進出決定です。

ディフェンディングチャンピオンの石川さん、
モノポリー界初の二連覇へ向けて今年も決勝へ進みます。
かつて2度の全国優勝をなしとげた選手は、
百田さんはじめ4名もいますが、
2年連続の優勝という「連覇」となると、
いまだかつて一度もありません。

最近では、2000年の宮野さん、2003年の井元さんが
「あと1勝で連覇」というところまではきていましたが、
いずれも逃しています。
モノポリーにおいては、
いかにコンスタントに勝ち続けることが難しいかが
わかります。
前人未到の偉業達成へ。石川選手が挑みます。

これで決勝進出の5人が決まりました。
おもしろいのは、予選1回戦1番テーブルから
なんと3人が進出しているとのこと。
予選1回戦終了後、
「次にがんばって、また決勝戦で会いましょう」
誰からともなく、このように言い交わして別れます。
本当にこの3名は約束どおりの「再会」を
果たすことになるとは‥‥。
誰も思っていなかったのではないでしょうか。

さあいよいよ決勝が始まります。
選手が予選順位どおり一人づつ呼ばれ、
順番に着席し、この順にサイコロを振ります。

予選1位、石井さん。2005年日本チャンピオン。
予選2位、百田さん。1988年世界チャンピオン。
予選3位、柴田さん。ラストチャンス大会優勝。
予選4位、矢田貝さん。東北地区大会優勝。
予選5位、石川さん。前年度日本チャンピオン。

今年は西日本の選手が決勝に残りませんでした。
東高西低です。

そして特筆すべきは、
メンバーの過半数が「優勝経験」を持っていることです。
ここまでそろったのは珍しいですね。
かくして14時3分、運命のダイスロールとなりました。

石井さんの一投目、1の目が2つ‥‥「ピンゾロ」です。
共同基金に止まって、引いたカードは、「1M支払い」。
「ええー、おかしいな?」と思わず首をひねる石井さん。
収支はもとより、
ここは笑いを呼べるような内容を期待していたのでしょう。
続いて今度は「3ゾロ」を振り、
「バルセロナ」の権利書を購入しました。これは上々です。
更に3回目のダイスはまたもや「ゾロ目」。
ルールにより刑務所へ収監となります。
いきなり3回もサイコロを振るなど、
なにか派手なことをやってくれそうな予感です。

続いて百田さんが9の目を振り、
「アテネ」を購入しました。
振り順の遅い選手にとって、
第1順目で何が一番、嫌かといえば、
それはライトブルーが早々に売り切れてしまうことだ、
という選手が少なくありません。
既に2枚売り切れて、
遅い振り順である柴田さんや石川さんにとっては、
ちょっと嫌なスタートかもしれません。

さて3人目、矢田貝さんがサイコロを手に持ちます。
矢田貝さんは、ゾロ目で2Mの支払いの後、
「イスタンブール」を購入。
さらに次手で3を振り、「トロント」も購入。
ライトパープルの権利書2枚を自前に並べます。
いきなり同じカラーグループの権利書2枚購入は
幸先がいいかもしれません

柴田さんも矢田貝さんと同じく、
ゾロ目で2Mの支払いの後、
「クルーズ」(ペンシルバニア鉄道に相当する、
乗り物の権利書)を購入。
みんな、買える展開ですね。

こうなると振り順が最後の石川さんは
いやな感じがしないではないのですが、
ここは見事に6を振って、
ライトブルーで残っていた3枚目の権利書である
「東京」を購入します。
「やっぱり東京の大会なのだから東京を買わないとね」
とは、言ったか言わなかったか。

全員が買える展開の中でも最も絶好調は石井さん。
どんどん権利書を購入していきます。
途中で石井さん、気合が入ったのでしょうか。
おもむろに着ていたチャンピオンブレザー
(2005年優勝時の賞品。
 歴代日本チャンピオンはみな
 このカッコいいブレザーを羽織っています)
を「ばっ」と脱ぎすてます。

すかさず誰かが突っ込みます。
「脱いだらチャンピオンじゃなくなるぞ〜」
場外舌戦の開始です。
しかしここは石井さん、間髪入れずに言い返します。
「俺はいつでも挑戦者の気持ちなのですよ!」
これにはちょっかいを出した側も感心して黙り込みます。

そしてその石井さん、
サイコロを振る前に「買います」と宣言し、
見事に3枚目の乗り物を購入できる目を振ります。
これにはギャラリーもどよめきます。
「ギャラリーを沸かせる」ことを目標に掲げてきた
石井さんは、ここで満足そうに頷きます。
「これで今日の目標達成だよ!」

*乗り物
 モノポリーでは家やホテルが建設できる
 カラーグループ以外にも様々なマスがあります。
 その一つが乗り物(一般的なモノポリーでは
 鉄道に相当)。
 家、ホテルが建設できないので、
 莫大なレンタル料が期待できないのですが、
 その分効率よく稼げます。
 乗り物は3枚もっていますと1M
 (一般的なモノポリーでは100ドル)
 稼げますので、結構見入りがいいマスといえます。
 自力で全てを購入した石井さんは
 序盤を制したといえますね。

次回は、前代未聞の事件発生!
波乱の決勝の続きを報告いたします。

(原文:1999年モノポリー日本チャンピオン 宮野徹
 監修:日本モノポリー協会専務理事・
 2000年モノポリー世界チャンピオン 岡田豊)

2009-07-12-SUN

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