モノポリーエッセイ

こんにちは。
モノポリー日本一を決定するための大会
「モノポリー日本選手権全国大会」のレポートです。
予選2回戦までが終了して、
決勝進出者が2名まで決まりました。
残る3つの椅子を目指して
残りの選手が3回戦を戦うところです。


決勝進出を賭けた最後のゲーム前。
選手の表情に緊張感が浮かびます。


この3回戦では、6番テーブルの様子を見て見ましょう。
1番スタートの大木勝裕さん。
6を振って、
「上小阿仁村(かみこあにむら)」を購入します。
続く2番スタートの宮野徹さん。
7を振ってチャンスならぬ「小野小町の恋文」を引き、
カードの指示は「ねえ、秋田へ行きたいの」。
通常版でいうところの「ボードウォークへ進む」ですね。
一気に39マス目までトークンを進めます。
ここで何を思ったのか、
宮野さんが突然大木さんへ交渉を持ちかけます。
「資産チャラ交換どうでしょう?」

つまり、大木さんが上小阿仁村(定価100ジェンコ)に
300ジェンコをつけて、
宮野さんの秋田(定価400ジェンコ)と交換しませんか、
という内容です。
お互いに資産は変わらず、
純粋にライトブルーとダークブルーの好き嫌いで
決まりそうな提案です。
大木さんは
「何が何でもこのゲームではモノポリー勝ちしかない」
と強く思っていたこともあり、
「機会があればダークブルー経営」を考えていたそうで、
これは願ってもいない提案。
即、OKし、瞬時にまとまります。
この間、開始30秒。いや15秒でしょうか。
まだ他のテーブルでは挨拶もそこそこという状況で
いきなりまとまったこの交渉に、
テーブルの他のメンバーも目を丸くしていました。

ちなみに宮野さんは、
この「上小阿仁村」という地名の読みが
最後まで覚えられなくて苦労した、
それ故に思い入れが深い権利書だったので
今大会ではこだわって集めていた、
と公式インタビューでは冗談ぽく答えています。
記録を見ると、彼は全国大会の3ゲームとも全て
この権利書を
(交渉であれ自力であれ)手元においています。
結果的にライトブルーばかり
やることになっていたようですが、
はたしてこのような好き嫌い作戦は
大きな大会で有効なのでしょうか。
よく考えるとこの交渉の時点で資産は
変わらないと言っても、
宮野さんはすぐにかなりの確率で
サラリー200ジェンコを貰えて、
更にライトブルーの2枚目を
自力できる可能性すらあります。
単純に初手で上小阿仁村を自分で購入したときより
明らかに有利であるにも関わらず、
他の選手からは一見してそうは見えていないことも含めて、
「見掛けのイメージよりもいい」という隠れたメリットも
見ていたのかもしれません。

さてこの6番テーブルの勝負は、結論から言いますと、
大木さんがダークブルーを、宮野さんがライトブルーを
その後それぞれ経営することとなり、
お互いにパンチを浴びせつつ、最後はパワーの差で
大木さんがモノポリー勝ちしました。

毎回必ずしも成功するというわけではありませんが、
開始直後の思いきった交渉は、
大木さんにこのゲームの勝利をもたらすだけでなく、
次のゲームの方向性にも影響したように思います。
大木さんは「この勢いで次も勝ってください」と
握手をして送り出され、大きく頷きます。
次のゲームというのは、そう、決勝戦です。

見ると他のテーブルでも
モノポリー勝ちが出ているようです。
1番卓からは小宮靖弘さんが、
2番卓からは柴田勇誠さんが、
それぞれモノポリー勝利を収めて
決勝卓へ名乗りを上げています。
大木さんも含めたこの3名が
ちょうど決勝進出メンバーとなります。

4番卓の佐藤英一さん、
5番卓の有澤達也さんは非常に優勢ながら、
それぞれあと少しというタイミングで時間切れとなり、
惜しくも涙を呑んだ模様です。
残る3番卓では世界チャンピオンの岡田さんが
藤井さんと壮絶な戦いの末、やはり未決着だったようです。

ついに決勝進出の5名が決定しました。
いよいよ日本チャンピオンを決める
ファイナルの1戦が行われます。

2007-04-30-MON

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