モノポリーエッセイ

モノポリー日本選手権
全国大会結果報告(その3)


こんにちは。
モノポリー日本一を決める大会、
「モノポリー日本選手権全国大会」も、
いよいよクライマックス!
勝っても負けてもこれで最後。
たった1ゲームで、
日本チャンピオンが誕生します。
まさに「all or nothing」の世界!

すごい数の見学者が十重二十重に見守る中、
なんともいえない緊張感が決勝進出者を包みます。
今年も決勝の様子はネットで中継されてまして、
ほぼ日の読者で拝見された方も少なくないと思います。
そんな方々の視線もなんとなく感じながら、
決勝がいよいよ始まりました。

その緊張感を切り裂いたのは、
スタート順トップの石井さんの
ゲーム開始直後の第1投。
独特の掛け声から繰り出された
「3、3のゾロ目の6」。
ライトブルーの権利書を1枚100ドルで購入。

ゾロ目はもう一度サイコロがふれます。
次のサイコロの目は「1、1の2」。
再度のゾロ目です。
またもライトブルーの権利書を1枚100ドルで購入。
これで早くもライトブルーは2枚揃いました。

またもゾロ目で
さらにもう一度サイコロを振ることができます。
結果は9で、共同基金カードのマスに。
めくると、なんと「200ドルもらう」!

つまり、あと少しで
カラーグループの権利書を独占できる状態なのに、
その2枚の権利書代金200ドルは
払わなくて済んだ計算になりました。
(カラーグループは通常3枚の権利書で構成され、
 全ての独占するとかなり有利になります)

ゲーム開始直後にして圧倒的優位を築いた石井さん。
場内はどっと沸くとともに、
なんとなく「判官びいき」のような、
窮地にたった石井さん以外のプレーヤーを応援する
雰囲気も漂ってきました。
もちろん他のプレーヤーも石井さん有利を敏感に察し、
石井さんに対する警戒モードをかなり高めている様子。
違う意味で過去の決勝とは違った緊張感が、
ゲーム開始後いきなり覆ってきました。

さてここでは石井さんが2枚揃ってもっているため
ライトブルーの残りの1枚は注目の的です。
その1枚は4番目スタートの佐藤さんが
あっさり購入してしまいました。
スタート順が最下位の辻本さんが
一回もサイコロを投げないうちに
目の前のライトブルーは売切れてしまいました。
すごく早いゲーム展開です。

ここで場内を震撼させる声があがりました。
佐藤さんがもっているライトブルーの3枚目の権利書、
120$で買われたものですが、
その価格の8倍以上の$1000で購入することを
石井さんが持ちかけたのです。

決勝は「all or nothing」の世界。
普段以上に慎重になりがちです。
ましてこんなに早い段階で交渉を仕掛けていくのは
こんな大事なゲームでなくても珍しい。
それにも関わらず、石井さんは仕掛けていきました。
しかも石井さんが圧倒的有利な立場を投げ捨てて、
交渉条件を佐藤さんに
かなり有利なものに設定してきたようにみえます。
石井さん、どうしたんでしょうか?
あまりに有利な立場に陶酔してしまったのでしょうか?

そんなことはありませんでした。
石井さんは冷静でした。
前回日本チャンピオンになれなかったゲームで、
観客を味方につければ、
見えない力になってプレーヤーをあと押してくれる。
そんなことを学んだようです。
今回、たとえ早仕掛けで
自分の有利な立場を放棄して大きなリスクを取っても、
それによって観客が自分の味方についてくれる。
このことこそ大事な勝負では重要だと。
石井さんはこの場にいる誰よりも冷静に判断していました。

失敗は人を臆病にさせることがありますが、
そのためにせっかくのチャンスで前向きになれずに、
雪辱の機会を失うことも少なくありません。
しかし石井さんは前回の教訓である
大事な観客の声援を得ることを最大の目的に、
「冷静に」大胆な行動に打って出ました。
結果的に交渉はまとまりませんでしたが、
石井さんの一見大胆にみえる行動は
観客の気持ちを大いにつかみました。


緊張感漂う決勝の様子

その後も石井さんは
リスクの比較的高そうな戦法を連発して
観客の声援を浴びつづけた一方で、
他のプレーヤーは
石井さんの気迫にたじろいだのか、
過去の敗戦の記憶が萎縮させているのか、
石井さんのペースに受身であるように見受けられました。
その結果、危ない場面もありましたが、
石井さんが第15代日本チャンピオンとなりました。

昨年も観客の最も多く応援を受けた篠塚さんが
優勝されましたが、
2年連続で観客の応援が「決め手」になりました。
勝負事では、
「観客の応援を背にすること」が重要だと
再認識したゲームでした。

さて、今年の日本一を改めてご紹介いたします。
石井さんは日頃からモノポリーの普及に熱心でして、
協会やサークルの活動に
惜しみなく協力してくださっています。
今後もますます協力していただけると思います。

また全国各地の
モノポリープレーヤーとゲームすることが好きで、
各地のイベントに参加されています。
2000年にはついに世界選手権が行われる
カナダ・トロントに遠征し、
現地で外国人とモノポリーするまでになりました。

ちなみに、石井さんは
岡田さんが2000年世界チャンピオンになった場面に
現地カナダ・トロントで立ち会っていましたが、
それ以降の5度の全国大会で
7人いた立会い組から植田幹浩さんについで
2人目の日本チャンピオン。
かなりの高率で日本チャンピオンが生まれています。
まだ気が早い話ではありますが、
一人目の植田さんが
2004年世界選手権の日本代表になられたことから、
石井さんが2008年の日本代表になられることも
期待できるかもしれません。

優勝の決め手になったカラーグループはオレンジ。
2002年から4年連続で決め手となっています。
日本チャンピオンになるなら
決勝で一度は
オレンジ経営に踏み切る必要があるのかもしれません。

東海地区大会の代表者の優勝はなんと初めて!
2005年は愛知万博をはじめに
名古屋が盛り上がった年でしたが、
モノポリーでもそれを象徴する出来事となりました。

その東海地区大会で石井さんは実は窮地にたってました。
成績上位2名が全国大会進出となるのですが、
2位が同点で2名いたのです。
2名のうちどちらが全国大会出場となるかは
サイコロの「運」に委ねられましたが、
それを制しての全国大会出場でした。
振り返ってみれば、その運の強さを
石井さんはうまく全国大会にといえるかもしれません。

2005年も数多くの名勝負、激戦が行われました。
全国各地から選手だけでなくスタッフまで
集まっていただき本当にありがとうございました。
特に協賛いただきましたトミーダイレクトの皆様、
運営にあたっていただきました協会のスタッフ、
各地のモノポリーサークル関係者の皆様、お疲れ様でした。

そうそう、大勢のギャラリーの皆様にも感謝!
今回は最も遠いところで
なんと「フランス」からの見学者がいらっしゃいました!
本当にうれしかったので、
おもわず「70周年記念版モノポリー」を
プレゼントしてしまったくらいです。
こんな「豪華賞品」も
モノポリー大会の楽しみ方ですのでお忘れなく!

モノポリーは本当に「楽しい」ゲームです。
今回集っていただいた皆様には
決勝でみせてくれた石井新日本チャンピオンの
「ギャラリーを沸かせる」プレーを念頭に、
日本中、いや世界中でモノポリーを楽しんでいただければ
こんなにうれしいことはありません。
もちろん2006年度も
モノポリーを「楽しんでみたい」皆さんとの再会を
心待ちにしています。
またお会いいたしましょう。

レポートを読んで自分も日本選手権に出場したい、
と思っているあなた!
来年の日本チャンピオンへの挑戦は既にはじまっています。

一番近い大会として、
2月12日に予定されている
「モノポリー発売70周年記念モノポリー大会」が
あります。
この大会の優勝者は次回日本選手権に参加できますので、
ぜひモノポリーを「楽しみ」にきてください。

その後も次々に全国各地で
モノポリーの大会が開催される見込みです。
この日本モノポリー協会のページなど、
各種モノポリー関連サイトを
是非チェックしてみてください。

来年はあなたが石井さんに代わり、
日本チャンピオンかもしれませんよ!


石井新日本チャンピオンを囲んで

★2005年度第15回
 モノポリー日本選手権全国大会結果

(決勝結果)
優勝.石井 方宏
2. 表寺 修
3. 長崎 則久
4. 佐藤 英一
5. 辻本 卓

---------以下予選結果----------------
1. 石井方宏
2. 長崎則久
3. 表寺修
4. 佐藤英一
5.辻本卓
(以上、上位5名決勝進出)
6. 野呂夏雄
7. 金谷衛
8. 菱戸信一
9. 今井清嗣
10.岡田豊
11.井元哲也
12.笹田義之
13.中野大輔
14.植田幹浩
15.吉原昭浩
16.岡本達雄
17.舩越将
18.石川久
19.篠塚万里子
20.保坂範行
21.石川隆紀
22.清原哲也
23.篠塚博文
24.小林哲郎
25.澤田太郎
26.坂元慶一
27.倉持健二
28.岡本清
28.山本尚意
28.宮野徹
28.山中俊二
28.関根健真
28.福田諭史
28.百田郁夫
28.渡辺書成
28.山崎泰幸

2006-01-29-SUN

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