モノポリーエッセイ

世界選手権2004日本大会報告
〜第11回:植田選手の2回戦。
     つかみはよさげですが‥‥〜



こんにちは。

予選の2ゲーム目までを終了して、
ディフェンディングチャンピオンの岡田選手が
早くも「脱落」するという波乱。
日本の望みは
植田選手一人に託されているという状況からです。

その植田選手が、2回戦に出場します。
さあ全国のモノポリーファンから
一斉に応援の「念」を送りたいところなんですが、
残念ながら実際には、前述のような様々な制約があり、
全国のモノポリーファンは
当日リアルタイムで選手の状況をわからず、
「念」を送ることはできませんでした。
岡田選手が優勝した4年前は、
日本にもほぼリアルタイムで
ネットでゲーム内容が紹介され、
地球の裏側であるはずの日本と会場が
見事に同調していた前回のトロント大会と比べると、
なんだかある意味アウェイ以上に厳しい環境であった
といえるかもしれません。

そんな中、ゲーム開始です。
メンバーは、日本、スイス、マレーシア、ハンガリー。

ゲーム序盤は、マレーシアのアンディ選手が権利書を
大量に購入する展開となります。
アンディ選手は風邪を引いていたようで、
ちょっと苦しそうでしたが、
植田選手の服装を見て「パーティマン」と呼びかけたり
更に六本木のクラブの値段を質問してくるなど、
日本での観光を楽しもうとしている様子が
よくうかがえました。

植田選手はハンガリーのタマス選手から
「鉄道を570で買わないか」と持ちかけられ、
「その値段ならば売ります」と
教科書どおりの受け答えをします。
するとタマス選手は、数え間違えたのか
現金を470ドルしか払おうとしません。
審判に指摘してようやく回収成功するといった
一幕もありました。
この後ハンガリーは鉄道4枚を揃えることになります。

スイスのペーター選手は、
権利書が買えずに苦戦していましたが、
植田選手から交渉を持ちかけて、
ダークブルーの経営に入ります。
実は植田選手は
「ボードウォーク恐怖症」といってもいいくらいに
このダークブルーに苦い思い出がある選手で、
今まで何度も大会の肝心なところで
ボードウォークに着地して負けたことがあるのです。
そこで、つい先月の「日本代表決定戦」では
3戦中2戦はダークブルーを自分で経営し、
残る1戦も
手元に「抑えて」決して他人に渡さなかったという
かたくなな戦法に出たほどです。
仲間内からも冗談半分に
「世界選手権の必勝法は、
 とにかくダークブルーを1枚でも自分で購入して、
 決して放出しないことだろう?」
と言われていたくらいなのです。
この世界選手権2回戦で、植田選手は積極的に
この「禁断のダークブルー」を放出する方向に出ました。
初戦惨敗の流れを変えるべく、
思い切りのよい交渉をしようと心がけていたのでしょう。

かくしてペーター選手がダークブルーを揃え、
植田選手は代わりに
レッドとグリーンの権利書を入手します。
これで残るアンディ選手との間で、
ライトブルー・レッドの「ツーペー」が成立しました。
早速交渉しますが、アンディ選手は
「お金を200ドルほどつけてくれなければ動かない」
という様子で、いったん決裂。
少し回っているうちに、鉄道にお金を吸い取られ始め、
このままでは不利になると危惧した植田選手が
アンディ選手の条件で結局折れます。
植田選手がレッドを揃え、
アンディ選手はライトブルーを揃えて
ホテルを3軒建てます。
植田選手のレッドへの建築コール。
注目の軒数は、9軒です。レッドを9軒スタート。
しかもまだ手元に現金が結構残っています。
対抗勢力が鉄道とブルー系であることから考えて、
かなり見栄えのいい立場にもってきたといえるでしょう。
さすがに今回は期待できそうです。

さあここからはダイスの振り合いです。
確率からみれば植田選手が有利。
「変なダイス」さえ振らなければ勝てそうです。
実は植田選手は、開会式のときに、
ミスターモノポリーとの歓談において、
彼の持つ「幸運の杖」に触らせてもらうことができた
数少ない選手の一人です。
あまり知られていませんが、
この杖に触りながらモノポリーの願い事をすると
ゲームで叶えてもらえる、
というものすごいご利益があるのです。
岡田選手が4年前に
「あの杖のおかげで振り負けなかった」
と言っているのを聞いており、
自分も是非と狙っていたのです。
ちなみに植田選手が杖に触りながら願ったのは
「いいダイス目が出ますように」。
つまり運の要素で負けなければ、
交渉や建築などの技術面では自信があるということです。
はたして、その杖の効果が発揮され始めたのか、
このゲームでは相手の経営する土地を
かたっぱしから抜けていきます。
本人も「よし、このゲームは勝てる」
と思ったことでしょう。

問題は、他の選手もみな一様にダイス運がいいこと。
それもそうでしょう。
どの選手も一国を代表するチャンピオンたちなのですから。
それでも植田選手の今日のダイス運ならば
負けることはないと思われます。
しかし、ここで大きな落とし穴がありました。

相手の土地に止まらない植田選手を
待ち受けていた落とし穴とは?
続きは次回に。

2005-06-04-SAT

BACK
戻る