モノポリーエッセイ

世界選手権2004日本大会報告
〜第10回:岡田選手の2回戦。
     チャンピオンの肩書がアダに?〜



こんにちは。
世界選手権で、予選の最初のゲームが終了しました。
日本のおふたりはいずれも苦しい立ち上がりです。
今後の巻き返しが期待されます。

予選の第2ウェーブは
日本の2選手はどちらも試合がありません。
この時間帯をいかに「リフレッシュ」にあて、
気持ちを切り替えることができるのかが
重要ではないかと思われます。

選手と接触したり会話をすることは
一切禁じられていたため、
お二人の状況は全くわかりませんでしたが、
後で聞いてみると、植田選手のほうは、
いったん部屋に戻ってシャワーを浴びたり
着替えるなどして、気分転換を図っていたようです。

実は選手控え室にいると
次々と取材の申し込みが殺到して
なかなかゆっくりとはさせてもらえない
状況だったようです。
日本のお二人は大会期間中あちこちで取材を受け、
その都度、笑顔で丁寧に対応していた姿が目立ちました。
ただし、予選の消耗戦のさなかでは、
ちょっとだけ「避難」して休憩するというのも
重要なポイントであったようです。

植田選手が自室で休んでいる間も、
岡田選手は世界チャンピオンゆえ取材を断りきれず、
またモノポリー協会幹部としても
主催者側と様々な「対応」に追われて、
なんだかほとんど休みらしい休みもとれずに
2ゲーム目に突入してしまったようです。
そういえば第1ゲームのときも、
開会式後に控え室に戻っている暇もなく、
せっかく用意していたお守り
(トロント大会で勝利したときのトークン!)
を部屋に置いてきてしまったとのこと。
オカルトですが、こういう細かい「不運」の積み重なりも、
実は影響があるのかもしれませんね。

さて、その岡田選手の「がけっぷちの」第2ゲーム。
メンバーはシンガポール、イギリス、
スペイン、あともう一国(失念してしまいました)。
シンガポール代表は今回最年少、14歳の少年です。

このゲームでもダークパープルの自力が発生します。
自力したのはイギリス。
前回のゲームがゲームだっただけに、
「また遅いゲーム展開になるのか」
と恐れた岡田選手は、今度こそ交渉をまとめるべく
かなりの無理をして譲歩して、
ダークブルーを全力で2軒スタート、
という形にもって行きます。
決して有利なスタート条件ではありませんが、
「イギリスは当分動かないだろう」と思い込んだようです。
ところが、前回とは大違い。

「世界チャンピオンが動いた!」とばかりに、
全員の顔色がさっと変わるのです。
なんとイギリスは、
ダークパープルをあっさりシンガポールに放出してまで、
積極的に動きます。
結果的に、イギリスはレッドを、
スペインはオレンジを揃えて、
しかもそれぞれ9軒スタート。
これではダークブルー2軒は明らかに厳しくなります。
一応、駒位置は有利
(相手が先にダークブルーに入りそうな位置)
ではありました。
しかしここまで来て運を使い果たしているのか、
先に岡田選手のほうがオレンジ、レッドに連泊。
文字通り、目も当てられないような「ダイス目」です。
それでも必死に負債交渉をがんばりますが、
最後はレッドで仮破産。

ここで唯一お金をたっぷり持っていた
シンガポールの少年に救済をしてもらいたいところですが、
少年からは厳しいコメントが出ます。
「世界チャンピオンのあなたがいなくなってくれたほうが
 都合がいい」
どうやら前のゲームで、
「生き残り人数が少ないほどポイントが上がる」
ということを「学習」していた模様です。
しかしさすがにこの局面では、
1人破産させるよりも、救って、自分がカラーグループを
経営開始するべき場面だったように思われます。
少なくとも提示くらいはしないと、
イギリスに優良物件が一気に流れこんでしまいます。
さすがにイギリス以外の他の選手も
「ここは助けたほうがいい」と言っていたそうです。
(口を挟むのは反則なので、そのような表情をしていた、
 ということでしょうか)
結局救済してもらえずに、破産。
世界チャンピオン岡田選手、
なんとゲーム開始後わずか30分での無念の破産。

「この4年間を振り返っても、
 あんなにあっさりと早く負けた試合は一度もない」

岡田選手自身もそのように苦笑しながら
コメントするように、
国内での彼の活躍を知っている人なら
耳を疑うような結末です。
もちろん、もう決勝進出は絶望的です。

このゲームではそのままイギリス選手がレッドで勝利。
追撃するべき人が追撃せずに
ぐるぐる回っていただけというゲーム。
それは勝つでしょうね。

世界チャンピオンの「防衛」は、なくなりました。

残る日本の期待は植田選手一人です。
残り2ゲームに逆転の望みをかけて、
日本の望みを背負って、
今、植田選手、2回戦の舞台に向かいます。
頼むぞニッポンの植田!
その様子は、次回に。

2005-06-03-FRI

BACK
戻る