モノポリーエッセイ

第9回

【世界選手権決勝戦】

――さて、決勝戦の展開はどうだったんでしょうか?

岡田
私は4番スタートでした。
スタート順は5人中4番目ですから
決してよくなかったんですが、
私は順調に権利書を購入することができました。
私のほかでは3番スタートのハンガリー代表も
かなり順調に権利書を買っていました。

――序盤は順調だったわけですね。

岡田
結局ハンガリー代表との間で、
ダークパープルとイエローのツーペーになったんです。
この時点で、ライトブルーの権利書が
1枚売れ残っていたんですが、
私もハンガリー代表もライトブルーは
持っていなかったんで、早速交渉を持ちかけました。
やはり、高い物件が好きということで、
「是非ともイエローが欲しい」ということだったんですが、
その代わりに私には現金を渡すというのです。
権利書を渡してもらうことに
なかなかウンといってもらえませんでした。
ハンガリーはグリーンとダークブルーの権利書を
持っているんですが、
こういう高い権利書を離したがらないんですね。
交渉の間も、売れ残っているライトブルーを持っている
香港やドイツはしきりに
「ライトブルーが売れるまで交渉を待ってくれ」
って言うし…

――すぐにもまとまりそうな交渉が
  難航してしまったんですね。

岡田
それで、私も考え方を変えまして、
そのイエローをハンガリーに直接売るのではなく、
スコットランドに売る交渉に気がついたんです。
スコットランド代表はグリーンの権利書を持っていまして、
私がスコットランドにイエローを売ると、
スコットランドとハンガリーとの間で、
イエローとグリーンのツーペーになる状態でした。
結局、私はイエローをスコットランドに、
鉄道の権利書2枚と$700で売ることができました。
私は鉄道を1枚持っていたので、
これで鉄道は3枚になります。
スコットランドとハンガリーの交渉がまとまっても、
それほどの現金もないはずだし、
鉄道3枚でも当面はなんとかなるかと思っていました。

――やはり、岡田さんの交渉から動いていったわけですね。

岡田
この交渉をまとめたら、香港代表は
「なんで勝手に交渉するんだ!」って怒ってました(笑)。

――そして、その結果どうなったんでしょう?

岡田
結局、スコットランドとハンガリーの交渉は、
私が思ったよりも少しハンガリーに有利な感じで、
スコットランドがグリーンを揃えて
現金$600持ちくらいで
他に権利書をほとんどもっていない状態で、
ハンガリーがイエローを揃えて現金$500持ちくらいで
他に権利書をいっぱい抱えている状態でまとまりました。
しかも、そこでドイツ代表がハンガリー代表から、
ダークブルーの権利書を買うんです。
ダークブルー1枚をもらうのに
ダークパープル1枚と$600くらいの条件でした。
これによって、ハンガリーは
イエローが揃って現金も$1100以上と
かなり危険な感じになりました。
ただ、唯一の救いは、ハンガリーが
ダークブルーの手前の駒位置だったんで、
ドイツの手元に揃ったダークブルーに止まれば
どうなるかはわからないという感じではあったんです。

――でもそうなると、岡田さんも
  鉄道3枚ではつらいですね。

岡田
はい、私も「ここが勝負どころ」と思いまして、
ドイツが今揃えたダークブルーの権利書を
もらってくる交渉を申込んだんです。
結局私はその時点で持っているすべての権利書を
ドイツに譲り、かわりにダークブルーのセットを
もらってきました。
その結果、私はダークブルーのセットに
現金$1700くらい持っているような状態になり、
ダークブルーに家を3軒ずつ建設しました。
ちなみにその段階では、
「ボードウォークへ行け」に相当する
「ロブソン通りへ行け」のカードは
もう出てしまっていました。
もちろん、その交渉をまとめたドイツも、
その結果、香港とライトパープルとレッドと
鉄道4枚、が揃う交渉ができるような状態となりました。

――このドイツと香港の交渉はどうなっていくんですか?

岡田
これがなかなか難航します。
結局、例の「交渉時間7分制限」に
引っかかるような感じになります。
まあ決勝戦は時間無制限ですから、
途中で終わってしまうわけではないので、
その点はいいんですけどね。
ハンガリーのサイコロ番になったところ、
なんとハンガリーは私のダークブルーに止まってくれて、
レンタル料$1400を私に支払うことになり、
イエローの建設資金を完全に失ってしまいました。

――それでかなり優勢になりましたね。

岡田
はい、ただし、ダークブルー以外の権利書を
持っていないので、まだまだ油断ができない状態です。
相変わらずドイツと香港は交渉をしているんですが、
次が私のサイコロ番だったので、
「交渉時間が長いじゃないか」と
バンカーに苦情をいったんですが、すると、
「リザベーション」(笑)ということで、
「交渉がまとまっても、
 相手が家を建設する前にサイコロを振ってよい」
ということになりました。
私はこのとき、アメリカ版なら
電力会社に当たる場所にいたので、
レッドに家が建つ前にサイコロを振れるのは
ラッキーでしたが。
結局、ドイツがレッドに家を7軒、
香港がライトパープルに家を11軒建てるような条件で、
ドイツと香港の交渉はまとまって、
鉄道は3枚と1枚がわかれたままになりました。
これは私にとってラッキーでした。
でも、私はせっかく
「家が建つ前にサイコロを振れる」のに、
サイコロの目が悪く、レッドを越えません(笑)。
まあ、次の私のサイコロ番でレッドには
レンタル料$250を払う羽目になりましたが、
この程度で済めは十分でしょうね。

――それで、レンタル料$1400を得て、
  優勢になった岡田さんは、
  どう勝負を運んでいったんでしょうか。

岡田
その後は、私がゾロ目をたくさん出してしまったり、
「イリノイ通りへ進む」に相当するカードを
引いてしまったり、ということで、
ライトパープルにもレッドにも
2回ずつくらい止まってしまいました。
それで、レッドもライトパープルも育ってしまいます。
しかし、ドイツも香港もダークブルーに止まってくれて、
そのときは私は全額現金ではなく鉄道をもらってきまして、
手持ち現金はあまり多くなりませんでしたが、
鉄道4枚を揃えました。
また、スコットランドが破産して
私はグリーンのセットを手に入れていました。

――順調に勝利に近づいていますね。

岡田
それが、この後ひと波瀾起きてしまうのです。
ドイツや香港から鉄道を買ってきていたこともあって、
現金的には厳しい状態だったんですが、
イエローを持っているハンガリーが
香港のライトパープルで仮破産します。
しかし、ここでイエローのセットが
香港に渡って追加経営されるとまずいと思いまして、
グリーンのセットを譲るなど、相当無理をして、
このイエローのセットを買い取りました。
そして、さらに現金が少ないところで、
私はドイツのレッド家4軒の土地に
止まってしまったんです。
支払いが全然できませんで、
ダークブルー以外の手持ちの不動産を全て
抵当に入れて現金を融通しても、
ダークブルーの家3軒ずつを、
2軒ずつに崩さなくてはなりませんでした。
しかも、それでも$10足りなかったので、
余っていたライトブルーの抵当入りの権利書1枚を
ハンガリーに$10で買ってもらって、
やっとしのいだんです。

――ということは、ダークブルーに家が2軒ずつで、
  あとは鉄道4枚とイエローのセットが抵当入り、
  手持ち現金は$10もない、という、
  かなり厳しい状態になってしまったんですね。

岡田
はい、ここで、何か支払いがきたら
相当まずいことになるところだったんですが、
すぐにドイツがパークプレースに相当する土地に
止まってくれて、
レンタル料$500を得ることができたんです。
結果的に、この$500を使って、
鉄道4枚を抵当から戻したんですが、
このとき観衆はみんなビックリしていましたね。
「ダークブルーに建て増すのが当たり前」
ということなんでしょうね。
私は「ロブソン通り(ボードウォーク)へ行け」のカードが
当分出ないこともあって、躊躇なく鉄道を表にしました。
日本のプレーヤーなら当然の感覚かもしれません。

――その後、怒涛の反撃が始まるのでしょうか?

岡田
その鉄道が大活躍しまして、
鉄道の利益をダークブルーの家の建設にあてるような
展開になりました。

――イエローを持っていたわけですが、
  それの追加経営はされたんですか?

岡田
やはり、ライトパープルとレッドが健在でしたので、
慎重に両方に連泊しても
支払いに耐えられる現金ができるまで、
イエローの追加経営はしませんでした。
しばらくすると、やはり攻撃力的に足りない、
ライトパープルの香港の家が崩れだし、
結局、レッド4軒に止まって破産してしまいました。
それで、相手がドイツ一人になったところで、
ちょうどドイツがフリーパーキングにいたので、
ようやくイエローに家を建てました。
このとき、ドイツも手に入れた
ライトパープルに家を建てようとして、
家の競売になったんですが、
このときに前にお話した変なルールが発動されて、
ちょっともめました。
結局ダークブルーを4軒ずつにして、
そのあと、相手に高額で家を落札させた後、
ダークブルーをホテルにしてその家をイエローに建設、
という感じで、かなり得をできました。

――いよいよ大詰めですね。

岡田
こうなると、まとまった金額の
レンタル料をいただける土地が多い私の方が有利となり、
多少時間はかかりましたが、
ドイツのお金が少しずつこちらに流れてきまして、
勝てました。
最後にはイエローをホテルにしましたが、
これはもう見栄えをよくするため、という意味でした。
最後にはホテルにしたイエローに
ドイツが止まって、破産、私が勝利となりました。

――この決勝戦を振り返って、
  キーポイントはどこにあったとお考えですか?

岡田
やはり、ダークブルーの家が
2軒ずつになってピンチのとき、
ドイツが止まってくれて$500が入ってきたわけですが、
それを使ってダークブルーの家を増築せずに、
鉄道4枚を抵当から出したところでしょうか。

――その他にはありますか?

岡田
そうですね。
ドイツや香港がダークブルーに止まったときに、
現金だけでもらわずに鉄道をもらって
救済したことでしょうか。
これはよかったのか悪かったのか微妙ではありますけど、
救ったことで私もピンチになりましたが、
ピンチを抜け出したのも、
その救って手に入れた鉄道でしたから。
まあ、結果オーライというところでしょう(笑)。

――世界選手権大会について、
  教訓みたいなことがあれば教えてください。

岡田
めくられたチャンスカードや共同基金カードを
覚えておく(※39)ことが、
かなり重要ということですね。
交渉が始まるのがとにかく遅いですから、
チャンスカードや共同基金カードが
2周目に入るということはザラなんです。
実際に決勝戦のキーポイントのときも、
「ロブソン通り(ボードウォーク)へ行け」はまだだな、
ということで鉄道を抵当から出す決断もできたので。

※39 カードを覚えておく
   めくったチャンスカードや共同基金カードは、
   山の一番下において、シャッフルしませんから、
   カードが一巡すれば、
   2周目以降は同じ順番でカードがめくられます。

――他にはありますか?

岡田
海外の人は、負債資産の評価が相当低いなと思いました。
もう二束三文なんですね。
でも評価が低いからといって、
破産するまでは売ってくれないです。

――破産救済交渉とかは受けてもらえるんですか?

岡田
大概のかたは「破産救済交渉」を考えすらもしない、
という感じでした。実際に自殺しちゃう人もいましたし。
ただ、カラーグループの権利書を残してあげる条件だと、
結構喜んで救済されてくれることもありました。
特に「グリーン」とか高い権利書が好きみたいなんで、
グリーン1枚残るだけでもうれしい人がいましたね。

2000-12-21-THU

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