モノポリーエッセイ

第5回

【世界選手権大会へ向けて】

――さて、代表が決定されて、
  ちょうど一ヶ月後くらいにカナダのトロントで
  世界選手権大会があったわけですが、
  準備とかはしっかりされたんですか?

岡田
練習試合を結構やりましたね。
百田さん野中さんにも練習試合をお願いしましたが、
それ以外にもカナダ人も含めて
外国人2名ともゲームをしました。
外国人はだいぶ感覚が違う、ということがわかって、
かなり参考になりましたね。

――どう違うんでしょうか?

岡田
やはり、皆さん指摘されることなんですが、
グリーンやダークブルーなんかの
高い権利書が大好きなんです。
また、早い段階の交渉を避ける傾向があるとか、
相手に揃えさせる交渉の条件が厳しい、とかですね。
交渉がまとまらず、サイコロを振ってばかりいると、
必然的に全員がお金持ちになります。
お金持ちなら高い権利書の攻撃力が生きますから、
「高い権利書が好き」ということになるのでしょうね。
あと、「2枚目の権利書が軽んじられる」というのも
感じましたね。
カラーグループを
直接まとめられてしまうわけではないからでしょう。

――また、カナダの世界選手権大会では、
  これまでと違って(※30)カナダ版のモノポリーが
  使用されたようですね。

※30 これまでと違って
   これまでの世界選手権大会は、
   いわゆるスタンダードのアメリカ版が
   ずっと使用されてきたようです。

岡田
カナダ版のボードを使った練習も結構しました。
地名とかカードの絵柄とかが違うんで、
慣れておいたほうがよいかな、というのもありまして。
入っている駒も違うんです。クマがあったりとか。

――結構な応援団も同行したとのことですね。

岡田
はい、日本からはモノポリー仲間6名が
同行してくれまして、
トミー(※31)の石川さんも含めて
7名の応援団がありました。
また、ニューヨーク在住のかたが、
現地に来てくれましたので、
総勢8名ですね。非常に心強かったです。

※31 トミー
   モノポリーのボードを
   日本国内で販売しているメーカー。
   岡田さんの世界選手権大会派遣費用もトミーさんが
   用意してくださっています。

――応援団がそれだけいるというのも、
  すごいことですよね。

岡田
私もそうなんですが、同行してくれた人には、
モノポリーを本格的に始めて3年目、くらいの人が多くて、
一番モノポリーが面白い時期なんじゃないかと思います。
それで、休みを取ってまで応援ツアーを組んでくれた、と。

【世界選手権大会を迎えて】

――さて、そういった、準備も重ねて、
  大応援団とともに
  カナダのトロントに乗り込んだわけですが、
  まず前夜祭とかもあったわけですよね?
  その雰囲気とかはどうだったんですか?

岡田
現地についてから一泊してから前夜祭、
というスケジュールだったんですが、
英語をしゃべれないと、ちょっと気後れ、
みたいな場面もありましたね。
前世界チャンピオンの香港のウーさんなどは、
ネイティブスピーカーで、
パーティーでも目立っていましたね。
彼(ウーさん)と話をしたときは、
「英語をしゃべれないと勝てませんよ」
って言われました(苦笑)。

――アメリカ代表なんかはどうだったんですか?

岡田
意外とシャイな感じでしたね。
大勢の家族といらしていたようです。

――パーティーなどでは、
  岡田さんはどうなさっていたんですか?

岡田
欧米の代表なんかはメディアがついていたりとか、
同行の人がいたりとかなんですが、
マレーシア・インドネシア・タイ、といった
アジアの国の代表の人は、
お一人ずつでいらしていたので結構お話をしましたね。

――会場は、トロントの
  「ロイヤルヨークホテル」でしたね?

岡田
はい、いかにも「ロイヤル」って感じの
しっかりした作りのホテルで、
トロントでも最古の部類に入るホテルだそうです。

――食事とかはいかがでしたか?

岡田
朝食はホテルのバイキングなんですが、
スクランブルエッグ、ベーコン、焼きトマト、パン、と
毎日まったく同じメニューだったんで、
さすがに何日目かからは飽きました。
夜は、毎日ホテルの外のそれぞれ違うレストランで
ディナーを予約してもらっていたのですが、
なかなか高級な食事でした。

――主催者のハズブローの対応とかはいかがでした?

岡田
空港の送り迎えは応援団も含めてやってくれましたし、
私達は気が付かなかったので参加できなかったんですが、
前夜祭の前の日にも夕食会を開いていたようですし、
ハズブローのイベントに対するケアには感心しました。

――大会が始まるまでの間に、
  モノポリーの練習とかはなさったんですか?

岡田
はい、予選一日目の前日に
試しプレーができるようなスペースが用意されていたので、
私と日本からの1名、チェコ代表、マレーシア代表、
カナダのメディアの人とで練習試合をしました。
それが、何とも異様な内容なんですが、
延々2時間ほとんど交渉もまとまらず、
ただサイコロを振っていただけというゲームでした。
唯一、私ともう一人の日本人との間で
ひとつ交渉がまとまったくらいで、
終わったときもトップが$2800、
ビリが$2300という具合で(笑)。
チェコの人に聞いたら、
「トップとの差が小さいから負けてもこれでいいんだ」
とのこと。
世界選手権大会はドル制(※32)ですから、
まあ「いい」といえばいいのかもしれません。

※32 ドル制
   日本国内のモノポリー大会では、
   「順位」が成績評価の対象で、
   順位によって決まるポイントを競うが、
   世界選手権大会では順位は一切関係なく、
   資産の合計によってのみ成績が評価される。
   その資産によって成績が評価されることを、
   資産が「ドル」によって数えられることから、
   ここでは「ドル制」と呼んでいる。
   「競技モノポリー」の成績評価については、
   順位によって評価を行うほうが
   優れているとされているので、
   日本国内のプレーヤーにとっては
   「ドル制」は評判が悪い。

(つづく)

2000-12-17-SUN

BACK
戻る