ダ・ヴィンチ×ほぼ日刊イトイ新聞共同企画 中島みゆきさん、おひさしぶり。 ややこしくておもしろい、歌をつくるということ。
第6回 同じタイプの飛ぶ力。
糸井 以前発表した曲を歌い直したって
ケースありましたよね?
(最近では「いまのきもち」という
 アルバムがそうです)
中島 ええ、あります。
糸井 思えばすごいことしてますよね。
中島 本当なら、あまりやりたくないんですけれどね。
でも、どうしてもってのは。
糸井 もっと業が深くなるでしょ。
中島 ええ、同じでした(笑)。
何回やっても同じ(笑)。
糸井 そうですよね。
中島 あいー。わかっていながら、
やってんですけれどね。
糸井 でも、もう引き返せない。
中島 そうですね。そして、言い訳のように
コンサートで歌うんですよね。
そんでまた間違っちゃったりするんですね。
糸井 そうかそうか。コンサートがあるおかげで、
生乾きのものに対する耐性はつきますね。
中島 今んとこはこういうふうにしたかったんです、
ってつもりでやるんですけれどね。
その都度、あーって思うんですよね。
今日は今日なりの失敗があった‥‥。
みたいなね(笑)。一行飛んだとか。
糸井 お子さんを大事にしてますねー。
中島 うふふふ。
糸井 じゃあ、できた! っていうんじゃなくて、
まあ、いいほうかな、
っていう言い方しかできないんですか?
中島 ほぼ、かたちになってきたかな、
っていうところですかね。
糸井 っていう言い方なんだ。
中島 ほぼ、かたちに‥‥。
糸井 人生を語る、みたいになってるね(笑)。
中島 うははははー、すごいなあ。
でもたいしたこと
言ってないんですよ、実は。
糸井 だけどさあ、疲れるよね、それだと。
よく持ちますね。
中島 糸井さんほどいっぱい書いてませんもん!
糸井 ぼくは、ぼくはさ、男ですから、
ばら撒くんですよー。
あちこちに子ども作りたいっていうことですから。
俺に似てなくてもいいとさえ言ってますから。
中島 似てなくてもいい?
糸井 俺の血を引いてなくてもいいとさえ言いますよ。
中島 ほおー!
糸井 それはね、やっぱりね、
気立てが違うんだと思います。
中島 (笑)いやいやいや。
糸井 ぼくはだから、何ていうんだろう、
シャケみたいな産み方ですからね。
中島 あらららら。
糸井 同じ多産でもね。海の藻屑として
消えてっちゃうのも含めて、
一応、卵として産み出すっていうだけですから。
中島 それも多産ですよ。
でもね。ものすごい体力いりますよ、それ。ねえ。
糸井 ふふふ。
中島 わたしねえ、失礼ながら、
糸井さんってすごくふざけた人なんだろうなあって、
遠くからしか見てなかったときはそう思ってました。
糸井 うん。あ、当たってると思いますよ。
中島 あははは。いちばん最初はなんでしたっけ。
パンフレットにコメントを
書いていただいたのが最初かな?
糸井 んー?(覚えていないようです)
中島 あんときに、あ、しまったと思ったんです。
ふざけた人だと思ってたあいだぶん、
損した、と思いましたね。
糸井 え? ぼく、
ふざけてないときがあったんですか?
中島 この人、ふざけてんじゃないんだって、
どうして今までわたしはわからなかったんだろうと。
損したーと思いましたね。
糸井 よくわかんないけど、なんかうれしい(笑)。
中島 あははは。
糸井 では、ふざけるかたちでしか
表現できないものについて
お話ししたいんですけど‥‥。
中島 なんですかね。はい。
糸井 うん。“ふざける”の延長線上には、
犯罪までたどり着いちゃう怖さがあるし。
中島 ありますね。
糸井 同時に、“ふざける”の延長線上に、
ふざけたおかげでここの淀みがとれちゃった、
っていうこともある。
中島 一生懸命ふざけるのって
大変な力技ですよね。
糸井 大変です。
滑走して空を飛ぶ瞬間のような、
その、なんか、力がいりますよね。
中島 根性なけりゃできません。
糸井 ぼくは、中島さんの中に
ぼくと同じタイプの飛ぶ力というのか、
「あ、今、よいしょって言った!」
みたいなものを感じてるんです。
中島 あははは。よいしょ、ね。
糸井 うん。よいしょって言ったなというのを感じて。
中島 とりゃー! みたいな。あははは。
糸井 さっきの話にも出た、
“街角のヴィーナス”
というフレーズを聴いたときに、
よいしょって声がちょっと聞こえたんですよ。
うーん、でも、もしかしたら、違うのかなあ。
ぼくのよいしょとは違うんですよね、きっと。
中島 皆ひとりひとり違うっていう意味での
違いはあると思いますけどね。
 

(つづきます!)

2007-09-13-THU
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