動物界にいるミグノンの友森さん。

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第10回 東京都、殺処分0。

糸井 動物でも人間でも、「救えない命」の数は、
背景にいっぱいあるわけです。
「死」のほうの分量を自分に取り入れない限りは、
頭が回せなくなりますね。
友森 それは、あります。
それと‥‥私は、成績をあげたかったんです。

ずっと環境省が殺処分減少をうたっています。
そのためにはもう、生きてるうちに
団体に譲渡してしまうのがいい。
たとえ運搬中に死んだとでも、それは
殺処分じゃない。譲渡なんです。
だから、センターで死にそうな猫を見ると、
絶対、持って帰ります。
糸井 そうなんだね。
友森 この前も、足が腐ってる子を6匹持って帰りました。
冷たい所に放置されてて、真っ黒になってた子猫です。
育たないだろうなぁと思ったんだけど、
「これ、持って帰るね」
とセンターの人に言いました。
センターの人は、私が悲しむし
死にそうなのを渡すのも悪いと思っていたらしく、
「いや、置いていっていいです」
と言いました。でも、
「処分機に入れて、処分数がプラス6になるんだったら、
 私が持って帰って、家で死なせる」
と言って、もらって帰りました。
糸井 そうやって数字で結果を出すと、
何かに影響を与えられるわけ?
友森 絶対、変わると思う。
東京都の処分が劇的に変わったら、
ほかの地方も、倣わないわけにいかない。
私が助けられる数なんか、たかが知れてるけど、
東京都で子猫の処分が減少したとか、
犬の処分が0になったとしたら‥‥。
糸井 ほかの都道府県でもできるはずだ、と。
じゃあ、ミグノンで保護してから
息絶えるということついては、確信犯なんだね。
友森 はい。その部分は感情をコントロールしていると思います。
わんわん博士が解説するのじゃ★殺処分数

東京都動物愛護相談センターの
動物の取り扱い状況はこのページ
公開されておるのじゃ。
猫の殺処分数が最も多くなっておる。
子猫の引取数が、目を見張るほど多いのじゃ。

糸井 ミグノンが「老犬センター」のようになってることも
同じ理由ですか?
老犬は引き取り手が少なそうだから、
それを救い出しちゃったら‥‥。
友森 処分機に入れる犬がいなくなっちゃうわけです。
ただ、ぼろいのばかり引き取ってくると、
譲渡会に人が来ません。
人が来ないと、募金が集まらない。
だから、譲渡しやすい犬を3分の2くらい入れて、
その子たちを譲渡しながら、
老犬も、病気の犬も、保護します。
なぜなら、犬を引き取ってくれた「卒業生」の人は
あとで寄付してくれるからなんです。
糸井 そうなんだ。
友森 見ばえのいい子たちが、いいうちにもらわれていって
そういう人たちが支えてくれる。
それで老犬たちは、まぁ、
もらい手がなくても、うちで死ねばいいと思う。

そう思って、悪性の癌の子とかを連れてくるのに、
たまにもらわれていくんですよ。
やっぱり、すぐ死んじゃったりします。
引き取ってくれた人に
「大変だったね」
と言うと、
「いや、この、いっしょにいた半年が、
 もうほんとうにたのしくて」
と言ってくれたりします。
いままで、そんなことで文句を言われたことがなくて、
逆に「ありがとう」って言われます。だから、
「あぁ、病気の動物や老犬を
 引き取ってもらってもいいんだ」
と思うようになりました。
糸井 うん、いいんだろう、きっと。
友森 愛護団体によっては
「病気の子は団体で治療をするので」って、
譲渡しなかったりするんだけど、
うちはどんな病気の子でも、
「欲しい」と言われれば、譲渡します。
糸井 情報もすべてオープンにしてあるわけですもんね。
友森 もちろん。
糸井 1匹連れて来るごとに、
どのくらいお金がかかるものなの?
友森 そうですね‥‥単純計算して、
何も問題がない子で、医療費が犬で5万くらいです。
血液検査、不妊・去勢、虫下し、ワクチン。
糸井 それを全部やるという形でね。
友森 あとは、食費です。
ただ、ドッグフードがいただけるので、
うちは食費はあんまりかかってないと思う。
糸井 猫は?
友森 猫の場合、成猫のほうがお金はかかりません。
予防注射、不妊・去勢、
マイクロチップと血液検査だけなので、
オスだと3万くらいです。
子猫は、下手すると、
1匹20万くらいの医療費がかかります。
猫は食事代もかかります。
糸井 「あずかりボラさん」は、
どういうふうにお金がかかると思ったらいい?
友森 いま、団体には、ドッグフードはたくさん来ていますが
キャットフードが常に足りないので、
猫のあずかりボラさんには、
キャットフードを自分で買ってもらってます。
医療費は団体で払います。
譲渡会に来るときのタクシー代や、
ケージ代もかかります。
いままでは、あずかりボラさんに
ケージを買ってもらうのは悪いと思ってたんですけど、
意外とみんな買ってくれるので、
お願いすることにしています。
糸井 「あずかりクラブ」みたいでたのしそうだよね。
友森 ボラさん、すごくおもしろい人が多いです。
いろんな職種、年代が混ざってて、
よそでは知り合わないようなジャンルの人たちです。
糸井 家族になるにあたっては、
どういうふうに覚悟する必要があるの?
友森 覚悟なんか要らないと思います。
糸井 でもまずは、友森さんが相手を調べますよね。
友森 調べます。
いろいろ譲渡条件を設けていますが、あれは、
文章にする上でのことで、
結局は、最後まで飼ってくれればいいんですよ。
病気になったら、ちゃんと治療してくれればいい。
それをできる人かどうかを見るのに、
飼育のための環境や家族構成を調べます。
それをクリアすれば、いまうちで募集してる子は、
どんな子でも飼うことはできます。
糸井 無理やりに飼おうとすることは、つまり
飼えないということだから。
友森 「絶対、この子を幸せにします」
「どんな困難も乗り越えます」と言っていた人でも、
乗り越えられないことがあります。
なかなかそれは見極められないけれども、
乗り越えられない要素が多い人は、避けます。
糸井 近所の人に文句言われる、という環境にいたら、
むずかしいよね。
友森 そうですね。
あとは、本人が病気がちだったり、
ハードな仕事も、転勤が多いのもよくない。
糸井 経済状態は大きいですね。
友森 大きいです。
さすがに年収までは聞かないけれども、
ちゃんと動物にお金と時間をかけられるかどうかは
とても重要です。
糸井 養っていけるか、ということですもんね。
友森 ペットって、やっぱり贅沢品です。
自分の生活でいっぱいいっぱいの人には、
「余裕ができたら、もらってくださいね」
と言うこともあります。
余裕がないけれども、動物と暮らしたい人は、
あずかりボランティアをやってくれれば、
医療費は団体から出ますから、おすすめします。
糸井 あぁ、なるほど、なるほど。
友森 食費よりも、医療費が怖いんですよ。
「あずかりは嫌だ」という人は、
経済力も気持ちもないから、飼えないです。

(つづきます)

東京都動物愛護相談センターってどんなところ? その8
佐竹 じつはいま、動物取扱業関係の仕事が
すごく増えてきているんですよ。
ほぼ日 動物取扱業というのは、
動物の販売、保管、貸し出し、訓練、展示、
競り斡旋、有償の飼養業などですね。
佐竹 東京都の場合、動物取扱業は全国でずばぬけて多く、
3800の事業所があります。
法が改正されたことにもとづいて、
取り扱いがちゃんとしてるか、
飼い主さんへの説明事項がきちんと説明されているか、
我々が見ていく必要がありまです。

昔は、犬や猫は
人からもらったりするのが多かったんですが、
いまは、犬の場合は特に、
8割、9割、ペットショップで買うんです。
つまり、飼い主さんに、
最初にいろんな情報を伝えるのは、
ペットショップの店員さんなわけです。
ほぼ日 窓口になってるんですね。
佐竹 そう。ですから、ペットショップで
きちっとした情報を飼い主さんに伝えていただくのが、
効果的で大事なことです。
ほぼ日 ペットショップでは
どういうやりとりをされるのでしょうか。
佐竹 そうですね。お店へ伺って、
責任者の方とお話をして、
記録や表示がちゃんとできてるか、
取り扱いがよいかどうかを見ます。
ほぼ日 ペットショップが犬や猫の供給元であるとすれば、
マイクロチップを埋めることを法律化して
ペットショップでそれを行うのはどうでしょうか。
佐竹 ええ、いまそれは、環境省でも考えています。
今回の法改定では見送られましたけれども、
5年後までに研究を重ねるようにという
附帯決議がついていて、
次の改正では義務化になるかもしれません。

しかし、特に犬の場合は、
狂犬病予防法にもとづく登録と鑑札を
首につけなければいけないという
法律がすでにあります。
要するに、ダブルです。
マイクロチップも入れなさい、鑑札もつけなさい、
それでは、飼い主さんの負担が多くなります。
それをひとつに統合できる方法はないのか。
ほぼ日 そうできるといいですね。
佐竹 ただ、その管轄が環境省と厚労省に分かれてる。
しかも、犬の鑑札は
つけなければいけないと
法律で定められているにもかかわらず
鑑札をつけている犬が‥‥
ほぼ日 たしかに少ないですね。
佐竹 ほんとうに、1割もいないんですよ。
要するに、すでにみなさん、法律違反しているわけです。
そこでマイクロチップを入れなければいけないという
法律になったとしても。
ほぼ日 どのくらい定着するかわからない‥‥。
佐竹 そういうことです。
いま、ペットショップで販売するときに
すでにチップが入っている場合もあります。
センターに入ってくる犬にも、
マイクロチップを入れてるものが1割以上います。
でもそれに、肝心の飼い主のデータが
入っていないことがあるんです。
ほぼ日 そうなんですか。
チップを入れただけ‥‥?
佐竹 飼い主さんが、データを
データベースのほうに登録していない。
ほぼ日 登録は、インターネットなどでやるんですか?
佐竹 いや、申請書を1枚送るんです。
ほぼ日 そうか、申請書。
佐竹 1枚。それがされてない。たぶんお店では
「これ、後で出しておいてくださいね」
と言うんだと思うんですが。
ほぼ日 そんなの聞いちゃいない、みたいなことですね(笑)。
佐竹 そうそう。もうかわいいからね(笑)。
たぶん、そういう状況があります。
最後に、狂犬病のことを改めて話してもいいですか?
ほぼ日 お願いします。
佐竹 つい最近も、台湾で野生動物から出ました。
これまで台湾は、日本と同じように島国なので、
狂犬病は発生していないところでした。
しかし、イタチアナグマという野生動物を、
検査してみたら、狂犬病だったのです。
だから、日本も、うかうかしていられない。
ほぼ日 発症すると、死亡率100パーセントなんですよね。
佐竹 そうです。
もう100パーセントなんです、そうなんです。
ほかに、そんな病気、ないですからね。
アジアを中心に、全世界で発生しています。
いまそういう状況だということを
改めて、みなさんにお伝えしたいです。
動物の予防注射は、きっちりやっておきましょう。
ほぼ日 わかりました。
佐竹 すいません。長くなっちゃいましたね。
ほぼ日 いえ、ありがとうございます。
お忙しい中、ほんとうにありがとうございました。
佐竹 いいえ、とんでもないです。

(このコラムはおしまいです。
 東京都動物愛護相談センターの佐竹さん、
 ありがとうございました)

2014-01-20-MON

ワンワン博士が教えます ミグノンのお手伝い、いろいろ方法があるのじゃぞ

「ランコントレ・ミグノン」は
一般社団法人の動物愛護団体なのじゃ。
東京都動物愛護相談センターから犬や猫の引き取りをし、
譲渡会やイベントなどを開いているのじゃぞ。
そこには、たくさんの人たちが少しずつ参加をしておるのじゃ。
いろんな方法があるので、気になったら
下のボタンを押してみとくれな〜っっ。