動物界にいるミグノンの友森さん。

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第9回 信頼しなおして、死んでくれたら。

糸井 友森さんが言っていることを実現していくとなると、
たくさんの人の手伝いが必要になってくるね。
それは、どういう人がするんだろう?
実際にする人としない人はいるわけで、
できる、できないがあるわけで。
友森 たぶん、運営する人は、クールじゃないといけない。
糸井 そうだね。知識もいる。
友森 そうじゃないと、まずは感情に負けるんです。
たとえば、ミルクをやって育てた子とか、
自分が産んだわけじゃないのに、
ものすごく情が湧いちゃって、渡したくなくなります。
でも、そこで負けちゃうと、次が保護できなくなります。
だから、ある程度感情を
切り離せる人じゃないといけない。
あとは「自分が、そんなにたいしたことない」って
思える人じゃないとだめ。
糸井 そうだろうね。
友森 頭でっかちになっちゃうとだめなんですよ。
たとえば、動物の福祉について勉強したとか、
「誰よりもくわしい」と思ってると
誰にも動物を渡せなくなります。

「よくわかんないけど、私であずかれるんなら」
という人にあずけたほうが
動物の精神状態が安定してのびのびします。
譲渡するとき、そういうあずかりボラさんは
ワンワン泣くんだけど、
きちんと譲渡をして、次を必ずあずかってくれます。
糸井 自分がたいしたことないと思ってて、
でも結局かわいがる人が優等生なんだね。
友森さんが、保護犬だからといって
「かわいい」とか「かわいそう」とか
言わないというのも、
そのあたりと関係がありそうだね。
友森 保護犬だからかわいそうだとは思ってないです。
誰かがふつうに飼ってて、
飼ってた人がたまたま
死んじゃったか、入院しちゃったか、
ちょっと責任感のない人で
引越しでポイしちゃったというだけだから、
べつに、普通の犬なんです。
ぜんぜんかわいそうじゃない。
癌の犬もうちで保護するけど、
飼い犬でひどい癌の子もいるから、
悲惨なんて話じゃないんですよ。
治療をちゃんとすればいいんです。
だから「かわいそうでしょう?」とか、
「こんなにかわいい子なのに、保護犬ですよ」
みたいな表現が私は大嫌いなんです。
糸井 うん。そういう表現は、ミグノンには一切ないよね。
友森 そういうの、嫌いです。
だから、ちょっと表現がおかしくて、
「アホ犬」とか書くと、たまに苦情が来るんです。
糸井 でも、取り柄をちゃんと書くよね。
「老犬特有の揺れがすてきだ」とかね。
友森 「この腰の角度が」とか。
糸井 「こんなにかわいいのに、
 どうしてもらわれないんだろう」
と、ずっと言われ続けてるやつもいる(笑)。
そういうバランスみたいなものが
これだけみごとな団体というのは、
ぼくははじめて見ました。
友森 そうですかね。
糸井 愛護系ではね。
「かわいそうだからシリーズ」は、
ひとつもやってないですよ。
友森 うん。かわいそうな子は、
いままで保護したことないですからね。
助けられなかった子については、
かわいそうというか、悪かったなぁと思うけど、
うちで保護してる子はみんな、
完璧じゃないけど、できるかぎり世話してるし、
たぶんいい家に行くから、幸せなやつらです。
糸井 ボロボロで連れて来たけど、
どんどんピカピカになってくるし。
友森 そうですね。
あれがまた、おもしろいんです。
糸井 やっぱり、おもしろさがあるの?
友森 ツルっパゲでボロボロでうちに来たのが
完成したときのイメージを最初に頭の中に描きます。
「この子はきっと、このくらいきれいな子なんだ」
と思うと、そこに近づくのがたのしみです。
思いがけずグイグイ来るようなこともあって、
おもしろい。

たとえばいま保護している12歳のふわりちゃんは、
全身ボロボロで、毛玉がいっぱいあって
2ヶ所皮膚が壊死して、穴が開いていました。
来たときの写真がすごいですよ。
「よくあんなひどいの、持ってきたね」
とあずかりさんにまで言われたんだけど、
「え? ふわりちゃん、かわいいじゃん」
と私は言ってました。
もしやと思って、引き取りの日の写真を見返したら
とんでもない犬だった(笑)。
連れて来るときは、完成後の姿も予想してるし、
新しい子だし、ワクワクしてるからわかんない。
わんわん博士が解説するのじゃ★ふわりちゃん

ふわりちゃんは、この子じゃ。
かわいいじゃろう。
「保護時から見違えるように
 皮膚や毛艶がよくなりました」
だそうじゃ。

糸井 それは、友森さんが、
医療に関わってたということが関係あるかもしれないね。
どんな子でも治しようがあると思うんじゃないの?
友森 あ、そうかもしれません。
それにね、矛盾するかもしれないけど、
私は犬を助けてるくせに、死が怖くないんですよ。
糸井 あぁ‥‥、なるほどね。
友森 死は生の延長線上にあるし、寿命も、
生まれたときに決まってるという話もあって、
そう聞くことでなぐさめられる部分があります。
ここに来た子が死んじゃったとき、
すごくつらいんだけど、
でも、人が強引にガス室に入れないで
寿命までここにいられてよかったと思います。
糸井 前に‥‥ホウちゃんだっけ?
人を手を怖がる子。
あの子が亡くなったときに‥‥。
友森 そう。
亡くなる前の日に、クッキーあげたんだ。
糸井 ホウちゃんは、そうとうつらい子だったの?
友森 すごく美人なんだけど、人の手がちょっとでも近づくと、
倒れるようにして逃げるんですよ。
ボコボコに殴られてたみたいです。

だからとにかく、人間の手は
武器じゃない、いいものだということを
わかってくれさえすれば、
この子はもう歳だし、いいかなと思っていました。

食べもので釣るしかないので、
毎日、クッキーあげたりしていました。
保護した子を長生きさせようとも思うし、
長く生きてくれればラッキーなんだけど、
そういうんじゃなくて、
人間を、もういちど信頼しなおして、そのうえで
最期を迎えられたらいいかなぁと思います。

(つづきます)

東京都動物愛護相談センターってどんなところ? その7
ほぼ日 犬や猫の処分機は
いったいどういうものなんですか?
佐竹 箱に犬猫を入れて二酸化炭素を注入します。
いま、多くの自治体では、
二酸化炭素を使ってますけれども、賛否両論あります。
国の動物の処理方法の指針で
認められてる方法ですから、
決してもがき苦しんで死ぬものではないはずなんですが、
「酸欠による死亡だ」という
苦しませるイメージがあるので
そういったご意見を寄せられることも多いです。
ほぼ日 一酸化炭素中毒などでは、
まず気を失うと聞きますが。
佐竹 一酸化炭素も二酸化炭素も、作用としては同じなんです。
一酸化炭素のほうが、赤血球に
激烈なくっつき方をするんですけれども、
作用としては二酸化炭素も同様で、
まずは倒れて意識がなくなって、その後酸欠になります。
しかし、二酸化炭素の注入のしかたや
濃度の上げ方など、いろんな条件で、
動物の息苦しさが出る可能性があります。
殺処分となった動物の血液を調べると、
ストレス物質を検出したりすることが実際にあります。
ですから、よりいい方法にすることを
我々も考えています。
ほぼ日 ほかの方法って、何があるんですか?
佐竹 ひとつは、1頭1頭、
麻酔薬で注射して処分してやる方法です。
麻酔薬を多く注入すれば、
そのまま眠って、そのまま死んでいきます。
二酸化炭素での処分が難しい場合などでは、
実際に行っています。
ほぼ日 はい。
佐竹 ただ、それをやる人間は誰なのか、
という問題があります。
ほぼ日 うーん‥‥。
佐竹 今度は、人の側の心理的な問題が必ず出てきます。
これは大きな問題となります。
我々は、できればそれは選択したくないと思っています。
ほぼ日 そうですね。
佐竹 次にいい方法は何かというと‥‥
手術のときに使う、ガス麻酔をご存知ですか?
あれで眠らせて処分をする方法です。
しかし、吸入麻酔薬はすごく高い薬ですから、
コストがかかります。
また、部屋の中に麻酔薬を出すのはまずいことなので、
回収しなくてはなりません。
つまり、ガスになったものを
ふたたび液体に戻す装置があるんですけれども、
それが‥‥。
ほぼ日 また、高いんですね。
佐竹 メチャクチャ高い。
なんだかんだで、億近い金額になってしまいます。
ですから、なかなかむずかしい。
その最新式の処分機は、実は開発されていて、
下関市で導入されています。
我々も、そういった装置の調査をつづけています。
少しずつかもしれませんが、そうやって
いい方向に行くように、考えていこうと思います。
ほぼ日 引き取り数を減らすのと、
長期間保護するための施設の充実と、
譲渡を増やすのと、
処分しなくてはならなくなったときの方法。
佐竹 そうですね。
ほぼ日 どれを充実させていくかということですね。

(このコラムも、つづきます)

2014-01-17-FRI

ワンワン博士が教えます ミグノンのお手伝い、いろいろ方法があるのじゃぞ

「ランコントレ・ミグノン」は
一般社団法人の動物愛護団体なのじゃ。
東京都動物愛護相談センターから犬や猫の引き取りをし、
譲渡会やイベントなどを開いているのじゃぞ。
そこには、たくさんの人たちが少しずつ参加をしておるのじゃ。
いろんな方法があるので、気になったら
下のボタンを押してみとくれな〜っっ。