動物界にいるミグノンの友森さん。

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第8回 ちっちゃなシェルター。

糸井 シェルターができて、
あずけきれない動物が暮らす場所が
やっとできたわけですね。
友森 震災後、気性が荒くなってしまった子、大きい犬など、
一般家庭では管理がむずかしい犬を
シェルターで管理しようということになりました。
そういう場所は、絶対必要だと思ってたので
シェルターができてよかったです。
糸井 そこにいると、ある程度、犬は落ちつくの?
友森 管理がむずかしい犬というのはつまり、
飼い主さんと離れちゃって不安になってたり、
もともと番犬として飼われてて、警戒心が強い犬です。
結局、人が怖いだけ。
こっちが構わなければ、噛んだりしないんですよ。
そういう場合は、なるべくケージに入れて無視します。

注目されてると
「わぁ、見られてる。何かされるかも」って、
どんどん緊張するんだけど、
こっちが「まったく興味ないし」というようすだと、
逆に「なんでこっち見ないのかな」という気分に
なってくるんです。

そういう犬は、体にもさわれないので、
首輪にリードをつけっぱなし。
どうしてもケージの中で排泄しちゃったら、
顔を見ないでリードをいきなり拾います。
黙ってツツツツーと引っ張って外に出し、
掃除して、もう一度食べものをポンと入れて
ケージに放り込んでおくと、怖がることはありません。
「はい、お散歩行こう!」と言ってかまうと、
「うわぁ、何か言ってる、怖い」
みたいになっちゃうから。
糸井 福島の保護をしているあいだは、
東京の愛護センターには行かなかったんですか?
友森 行きました。変わらずに、引き出してました。
糸井 うん。
そっちは変えちゃいけないってことだよね。
友森 それは、この団体をはじめるときに決めたことです。
東京の愛護センターに通うことは、
仕事の次に大事なんですよ。

被災地に行くのは、私の勝手です。
行っても仕事をちゃんとする、そして、
東京都の動物を死なせないということは、
あらかじめ決めていました。
ボランティアさんたちは、震災後、
軽いパニックになっていて
「これまで1頭しかあずかかってなかったけど、
 がんばって家を改装して5匹くらいあずかります」
と言いにきたりしていました。
「とにかく冷静になってほしい。
 私たちは、家も壊れてないし、
 普通の生活ができている。
 私が福島に行くのは、あなたたちに関係ないんだ」
と言いました。
「いちばん恥ずかしいことは、
 やみくもにたくさん保護して、破たんすること。
 その次にカッコ悪いことは、
 『被災地、被災地』と張り切って行って、
 東京都の動物を見殺しにすること」
「東京都の動物を保護してきたみんなには、
 いままでの経験や知識があることは知っています。
 だけど、あなたたちには一切、
 被災動物はあずけません。
 これまで参加してこなかった外部の人で、
 『被災動物なら』と言ってきた人だけにあずけます。
 だから、いままでどおり、
 東京都の動物をきちんとあずかって、
 譲渡するのを守ってください」
そう言いました。
いままでのボラさんたちには、
被災動物に一切手を出させなかったし、
譲渡会も飛ばさなかった。
糸井 いままでの人たちはいままでどおりに、
というふうに分けたんだ。なるほどなぁ。
友森 被災動物については完全に外部から募りました。
それでいけると思ったんですよ。
糸井 だけど、あてはないよね。
友森 ないけど(笑)。
糸井 呼びかける方法は?
友森 Twitterです。
糸井 そういうときのTwitterは役に立つね。
わんわん博士が解説するのじゃ★Twitter

友森さんのTwitterは
ここじゃよ。

友森 もちろんTwitterだけでじゃなくて、
いっしょに保護に行った仲間のつての動物病院とか
あとはまぁ、うちのボラさんが、
「自分には被災動物をあずけないと言われたから」
といって、近所の人を誘ってくれたりしました。
糸井 はぁ。なるほど(笑)。
僕は傍目で見てて
「パンクするじゃん」と、ハラハラしてました。
だけど、次の木曜になると、
「また、福島で捕ってくる」
とTwitterで流れてきて、
「あぁ、パンクしなかったんだ」と気づくわけです。
友森 でも、際限なく保護することはできないことは
当然わかってました。
「被災動物だから」ということで
どんなに協力者を募ったとしても、
どんなつてを頼っても、
100頭が限界だと思ってました。
結局、130くらい連れてきたんですけど。
糸井 その、千葉のシェルターと
中野にあたらしく作ったシェルターとは、
雰囲気が違いますね。
友森 そうなんです。それには理由があって‥‥。
震災で千葉のシェルターができたあと、
私は機会があって、スイスとドイツに行ったんです。
ドイツのティアハイムに憧れがありました。
わんわん博士が解説するのじゃ★ティアハイム

ドイツを中心とする動物保護施設の呼称。
ベルリンのティアハイムは
100年以上前にドイツで
最初の保護施設として創立されたのじゃ。
殺処分もなく、ペットショップのない地域では、
こういった施設が
「動物との出会いの場」として認識されていて、
収容されている犬、猫やうさぎ、鳥や爬虫類も、
あたらしい家族のもとへたくさん旅立っておるのじゃ。

糸井 あ、そうか、そうか。突然、行ったよね。
動物愛護の「先進国」を見に行ったわけですよね。
友森 はい。自分がやってることは足元にも及ばないけれども
参考にさせてもらおうと思いました。

そして、スイスとドイツに行って、ものすごい勢いで
たくさんのティアハイムを見て、
運営してる人にインタビューしました。
すごく勉強にはなったけど、
ちょっと肩の力が抜けた、というか‥‥。
糸井 どういうこと?
友森 スイスもドイツも、設備はすごくきれいなんです。
でも、犬は犬舎に入ってて、
寂しくて、ワンワンいってます。

考え方も、ものすごく進んでて、
もちろん動物の殺処分はありません。
たくさんの人が施設に寄付するから、
床暖房で、地面はテラコッタです。
あんなに立派ですてきな施設は、
ほんとうにうらやましいんだけれども、
動物が捨てられている理由を聞くと、
「バケーションに行くから」とかで、
結局、日本と一緒なんですよ。

寄付で得た資金があるから、
ボランティアの手に頼らずに
訓練を受けた専門家が動物の世話をしていました。
たくさんの動物を、慣れたスタッフで世話するから
「運動と食事と掃除」以外は
みんなポツンと部屋にいるんですよ。
糸井 あぁ、なるほどなぁ。
友森 もちろん、私たちのような
ぼろいシェルターにいるよりは、
遊ぶ場所があっていいと思います。
だけど、結局、ベーシックな部分は
日本もドイツも一緒です。
「ぜんぜんうらやましがる必要はないんだ」
と思って、帰ってきました。だから、
「寄付が少ないから日本だと施設が作れない」
「しょせん文化が違う」
なんて言わないで、
日本なりのものを考えたほうがいいと思います。
設備も大事。でも、同じくらい大切にすべきものがある。

千葉にあったシェルターでは、
ボランティアさんの登録数もほんとうに多くて、
たくさんのお手伝いが来てくれました。
最初はみんな、すごく「気持ち」があるから
あらゆる予定を断って、
忙しい人が無理して来てくれました。
でも、都内からのアクセスの問題で
つづけることがむずかしくなります。
千葉のシェルターには
すばらしい、広いドッグランもあって
設備としてはいいんだけど、
犬は「ドッグラン」より「人」がいいんですよ。
糸井 うーん、なるほど。
友森 部屋が狭くても彼らはいいんです。
そのぶん、お散歩に行けばいい。
そう考えたら、犬は土地より人だな、と思いました。
将来的には、
駅から徒歩3分以内のシェルターをいくつも作りたい。
ボランティアさんの手が足りなくなれば、
街なかなら、アルバイトを雇うことだってできます。

大きいシェルターは
いまでもすごくうらやましいし、憧れます。
でも、シェルターは
ちっちゃければちっちゃいほどいいと思っています。
各町に1個作ればいい。
杉並区はここ、中野区はここ。
杉並の人、犬を飼いたかったら、
休みの日、パパと一緒にシェルターに行く。
杉並に引き取りたい犬がいなかったら、
中野に見に行ったり、
世田谷にも見に行ったりできる。
そうすれば、大きい場所は要らないし、
その地域であぶれた動物を、
地元の人が管理して、地元で譲渡すれば、むだがない。
糸井 ちいさく‥‥小分けしておくわけだ。
友森 小分けして、いっぱい作る。そのかわり、近所にある。
そう思って、私は中野に
シェルターをかまえることにしました。
都心で問題になるのが、鳴き声、匂い、毛。
匂いと毛は掃除すればいいから、
防音のところを探しました。それが去年の8月。

(つづきます)

東京都動物愛護相談センターってどんなところ? その6
佐竹 殺処分を減らすには、次の手は「出口」です。
つまり、譲渡を充実させていく。
しかし、我々行政のやる譲渡というのは、
ハードルを高くせざるを得ないのです。
命を助けるためであれば、どんな動物でも、
新しい飼い主さんにお譲りすればいいのでしょうか?
例えば「ものすごく吠えるから」という理由で
引き取った犬がいるとします。
助けたいから「飼ってください」と
新しい飼い主さんにお渡ししたら、
そこでまた苦情を起こしてしまいます。
あるいは、人を噛んだ犬を
うかつに次の飼い主さんに渡して、
事故が起きるかもしれません。
そういうことを起こしてはなりません。

また、誰にでも譲渡していいかというと、
それは、結果として、
動物のためにならないことがあります。
ほぼ日 また捨てられてしまったら、何にもならないですね。
佐竹 そうなんです。
動物を飼える力のない人、状況、それはあります。
しつけをはじめとする動物の知識を、
勉強するつもりもなくて、ただ
「かわいいから」「かわいそうだから」
動物を連れていく。
それだと結局、また飼えなくなったり、
周囲に反対されたり、迷惑をかけたりして、
動物の行きどころがなくなってしまいます。
ですから、もらっていただく方にも、
ハードルを高く設定しなきゃいけません。

このように、譲渡をどんどん広げていくことも、
なかなかむずかしいのです。
行政としてのジレンマがかなりあるのですが、
今回の法改正では、
法のなかで譲渡をすすめるように言っています。
ですから、心してやっていきたいと思っています。
ほぼ日 そうなると、愛護団体の方々の存在は大きいですね。
佐竹 大きいです。
平成23年ですと、
犬では、個人の方に35頭譲渡しているのに対し、
団体の方には315頭を引き取っていただいています。
猫は、個人が72匹に対し、団体が260匹です。
もう、ほとんどが団体なんです。
ほぼ日 じゃあ、ミグノンさんも。
佐竹 はい、そこに入っています。
団体さんとの協力関係なしには、
あり得ないというのが、我々の基本的な考え方です。
ほぼ日 登録団体数は、いくつくらいなんですか?
佐竹 いま、33に増えました。
ほぼ日 33団体。
佐竹 団体さんに引き取っていただくと、
犬はそこで保護されて、かわいがられて
ほんとうにいきいきときれいになります。
我々獣医も、動物の管理をしながら
毛玉を取るくらいはできるけど、
さすがに、あそこまではできないですね、
と話をしています。
そして、たとえば、
「人を噛むので譲渡はできない」と
判断がくだされた犬についても、
愛護団体のメンバーの中に、
ドッグトレーナーさんがいるグループもあるわけです。
ほぼ日 そこに引き取ってもらえれば、道はある。
佐竹 そう。
1ヶ月なりなんなり、あずかかってもらって
訓練してもらって、譲渡をしていただける。
我々が、あきらめてしまったものも、あるいは、
病気でいるのを承知で連れていってくれたりします。
ほぼ日 そうすると、どんどん残る犬が少なくなりますね。
佐竹 専門で引き取る団体もいます。
「とにかく、その種が入ったら必ず出します」
と言ってくれます。
そういう団体さんは、ほんとうに
高齢の犬でも、連れていってくれたりするんですよ。
やっぱり団体の人たちの力はすごいなぁと思っています。

(このコラムも、つづきます)

2014-01-16-THU

ワンワン博士が教えます ミグノンのお手伝い、いろいろ方法があるのじゃぞ

「ランコントレ・ミグノン」は
一般社団法人の動物愛護団体なのじゃ。
東京都動物愛護相談センターから犬や猫の引き取りをし、
譲渡会やイベントなどを開いているのじゃぞ。
そこには、たくさんの人たちが少しずつ参加をしておるのじゃ。
いろんな方法があるので、気になったら
下のボタンを押してみとくれな〜っっ。