動物界にいるミグノンの友森さん。

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正直な店員。

友森 そのペットショップは美容室と動物病院を
併設していました。
そこで働けば、勉強したいことが
両方できると思ったんです。
ですから、人員募集してないのに、
履歴書を書いてお店に持っていきました。
糸井 いきなり?
友森 そう。当然断られました。
「いま募集してないんですよ、ごめんなさいね」
「どうしても働きたいし、
 そういう勉強してるので、何か仕事ないですか?」
「アクアのほうなら募集してるんだけど」
糸井 アクアって、熱帯魚?
友森 そうです。
私は浪人中に、
熱帯魚屋さんで働いていたことがありました。
長時間働かせてくれるから、お金がよかったんです。
「私、熱帯魚屋さんで働いてたので、
 海水・淡水、両方できます」
と言ったら
「すぐ来てください」
ということになって。
糸井 おぉ。
友森 そうやって、ペットショップに
魚担当のアルバイトで入り込みました。
魚の世話は、朝1〜2時間早く行って
ワーッとやり終えちゃって、犬がトリミングに来たら、
トリマーさんの後ろをくっついて歩いて
「シャンプーしたい、シャンプーしたい」
と言って、犬を洗ってました。そうしたら、店長が、
「おまえ、客あしらい、うまいから」
糸井 客あしらい(笑)。
友森 「犬洗ってないで、犬売れ」
と言ってきて、
犬の売子さんとして店に立ちました。
シャンプーは昼休みに教えてもらってました。
糸井 そのときは、お客さんに
どんなふうに説明して犬を売ってたの?
友森 まじめに売っていました。
ちょうどゴールデン・レトリバーのブームが
終わりかけの頃で、その前の流行はコーギーでした。
だから、犬舎にいっぱいコーギーが並んでて‥‥
若いカップルが、
「コーギーかわいいね」
と言ってるのを聞いて、私は
「これは牧羊犬です。
 おふたりは、朝晩1時間以上、散歩できますか?」
と伝えたんです。
彼らは驚いて「えっ?」という顔をしました。
「ものすごく運動しないとメチャクチャ吠えますよ。
 いまは子犬ですが、日に日に大きくなります」
と、正直に告げました。

最初は驚いてたけど、お客さんという人たちは、
「この店員は信頼できる」と思うと
そこから離れないのです。
勤めていたお店は大きい店舗だったので
ほかにも犬売りの店員さんがいたんですが、
1回「よし」と思えた店員にくっついてきちゃいます。
「じゃ、何なら飼えますか?」
と彼らは訊いてきました。
「いまはあんまり流行ってないけど、
 ヨークシャーテリアとか、シーズーとか、
 ああいう昔からいる愛玩犬は丈夫で飼いやすいですよ」
と言うと、
「じゃあ、それにしよう」
と、買っていきます。
時給800円で、
犬を1頭売ると販売手当が2000円もらえました。
私は社員の人より稼いでて、
ごはんをみんなにおごっていました。
糸井 売上がそんなに‥‥。
友森 お客さんたちは
「飼うために何が必要ですか?」
というのも、しつこく訊いてくるので、
すすめたものをぜんぶ買ってくれます。
だから、すごい売り上げを出してました。
糸井 カリスマ店員ですね。
友森 店長に「おまえ、もう犬洗うな」と言われてましたけど、
昼休みに
「私はお昼ごはんはいいから、
 シャンプー教えてください」
と言って、昼休みにシャンプーを習ってました。
糸井 犬を洗うって、むずかしいの?
友森 自分ちの犬だけ洗ってると、結局「同じこと」なんです。
しかし、仕事でやると、上手になります。
糸井 お店で洗うのは、知らない犬だもんね。
友森 しかも、慣れてないと手が遅いから時間配分ができない。
経験をつめば、自分が何にどのくらい
時間がかかるかわかるから、
お客さんに迷惑をかけることがありません。
糸井 いまはそれで、
友森さんの本業が成り立ってるわけですよね。
それが、愛護団体の経済を支えてるわけだ。
わんわん博士が解説するのじゃ★友森さんの本業

友森さんは
ペットサロン「ミグノン」を経営しているのじゃ。
カットとシャンプーをおもに行い、
犬の状態にあわせて、食べものや洋服などの
アフターケアもやっている。
お店の中で、センターから引き取った
犬や猫の一部を保護しているので、
そういう「サロン的」な雰囲気ではないかも
しれんのじゃが、そうなのじゃ。
でも、犬や猫にとっては(そして人間にとっても)
居心地のいい空間じゃ。

友森 そうですね、いまはお店でシャンプーとカットと、
シャンプーに来た犬を
トータルケアするようにしています。
「この子、体質がこんなかんじだから、
 ごはん、これにしませんか?」
というふうに伝えて、
ごはんやサプリメントをおすすめするようにしています。
私はそういうアフターケアだけで
生きていこうと決めたから。
糸井 お洋服とかも扱ってるんだよね?
友森 お洋服は、おまけ的な感じです。
男性のお客さんがときどき
奥さんか娘さんに命ぜられて(笑)、
「シャンプーの帰りに、新しいの、着せといてください」
と、たのんでいかれることが多いです。
「パパが選ぶより、お店の人に選んでもらって」
と言われてるみたい。
「あの家の人たち、自分たちの洋服も
 ちょっと明るめのが好きだから」
という感じで、娘さんが喜びそうなのを着せておくと、
お父さんはうれしそうに帰っていきます。
洋服だけ買う人はあまりここには来ません。
糸井 1日に何件くらいやるの?
友森 平日が3〜4件だから‥‥だいたい月100くらいかな。
糸井 100頭? 結構な数だね。
友森 保護活動をする前は、
土日は10頭ずつ予約を受けてました。
自分の店を出す、ということにまず
すごい恐怖心がありましたから、
受けられるだけ受けていたんです。

この店を開業するとき、
広尾の動物病院で働いてたんですけど、
「トリミングとグッズのショップを開く」
と言ったら、院長がすごく心配してくれました。
10年前くらいは、ペット業界の基本として、
獣医さんと生体販売しか「食べられない」、
という常識がありました。
「犬売れ」
「犬売るくらいなら、やらない」
とか、つっぱねちゃって。
糸井 それまでバイトでさんざん売ってきたのにね。
「犬を売るくらいならやらない」
という気持ちは、どういうふうに出てきたの?
バイトで売ってた時期は、悪いことしてるとは
思ってなかったわけですよね?
友森 悪いことではないと思っていたけれど、
違和感がありました。
月齢と犬種と毛色で値段が決まって、
「大きくなる前に、早く売れ」とハッパかけられる。
自分では、お客さんにちゃんと説明して、
正しいことをしているつもりだけれども、
私みたいな知識が半端な人間が
犬を売っていることにもすごい違和感がありました。

なんだか夢物語を言うようだったけど、
「生きものの売買はしないで、
 アフターケアや動物の役に立つことだけやって
 食べていければいい。
 それができたらもう贅沢はしなくていい」
と思っていました。まだ25歳だったので、
「借金して失敗したら、再就職すればいいや」
という気で、開業したんです。
糸井 大きい借金はしたの?
友森 400万くらいで、店ができたと思います。
糸井 ここが?
友森 ここです。
権利金がただで、家賃も安くしてもらいました。
内装工事にかかったのが300万円くらいです。
什器は、中古を探しに行って、
東急ハンズで部品買ってきて、
自分で直して、安くしあげました。
トリミングテーブルは、
そのときお世話になってたトリマーさんたちが
お祝いでくれました。

(つづきます)

東京都動物愛護相談センターってどんなところ? その2
ほぼ日 昔に比べて、犬や猫の譲渡の状況は
どのように変わってきましたか。
佐竹 昔も、譲渡はやっていましたけれども、
現在のようにボランティアの団体の方たちが
たくさんいらっしゃるわけではありませんでした。
「子犬をあげますよ」ということを
知ってくれた人だけが来てくれる、
というくらいの状況でした。

以前は、犬はたくさん捕獲され、
譲渡はあまり成立しませんでした。
でも、ここ20年でどんどん変わってきました。
だから、私たちの業務内容も
それにあわせて変わってきてはいるんです。
ほぼ日 社会の移り変わりにあわせて、
法律も対応も変わってきてるんですね。
佐竹 うーん、実は「そのとおりだ」とも
言えないのが実情です。
まず、ここの設備ができた年が‥‥。
ほぼ日 (資料を見る)
昭和49年とあります。
佐竹 そうなんです。
本所の犬舎は、昭和49年の建物なんですよ。
「昭和25年にできた狂犬病予防法」に
もとづいて建てられたままなのです。
建て替えといっても、代替地や予算の問題がありますから
なかなか簡単にはいきません。
しかし、たとえば横浜市などですと、
近年に建て替えがありまして、
現在の動物愛護の感覚に沿うような
施設を作ることができています。
それはつまり、
「譲渡活動を積極的に進めていく」という方向です。
私たちも、そのように
この収容施設を変更していきたい気持ちがあります。
ほぼ日 譲渡活動を積極的に、というと、
たとえばどんなことですか?
佐竹 ひとつは、譲渡につなげるために、
保護した犬をもっと
長期間飼育できるようにすることです。
犬舎と運動場がセットになっていたり‥‥。
ほぼ日 いま、犬舎はいくつあるんですか?
佐竹 室内に大きな犬舎が6つあります。
昔は、その日入ってきた犬を
どんどん放り込んでいって管理していました。
いまは引き取り頭数が少なくなってますから、
そういうことはありませんが、
譲渡に至るまで長期間飼おうと思っても
なかなかそれができません。

中型や小型の犬舎もありますが、数は限られています。
ですから、職員はみんな、工夫しながらやっています。
室内だけではかわいそうなので、
長くいる犬は、昼間は外に出したり、
できるだけ散歩に連れて行ったりしています。
ほぼ日 設備が充実すると、譲渡できる期間も長くなるから、
実現させていきたいところですね。
佐竹 あとは、ここにいる犬のストレスが、
ぜんぜん違うと思います。
ほぼ日 あぁ、そうか。
佐竹 いわゆる、普通の家で飼われているのと
近いような環境に、
もしできるのであれば、と思います。
ここのちいさなケージにひと晩入れっぱなしで‥‥
そういう生活じゃないですか。これはちょっと違いますよね。

(このコラムも、つづきます)

2014-01-09-THU

「ランコントレ・ミグノン」は
一般社団法人の動物愛護団体なのじゃ。
東京都動物愛護相談センターから犬や猫の引き取りをし、
譲渡会やイベントなどを開いているのじゃぞ。
そこには、たくさんの人たちが少しずつ参加をしておるのじゃ。
いろんな方法があるので、気になったら
下のボタンを押してみとくれな〜っっ。