「八ヶ岳倶楽部」編 今回の先生/柳生真吾さん
名前その58 マムシグサ
「八ヶ岳倶楽部」の雑木林を
ゆっくり進む柳生真吾さんと吉本由美さん。
柳生さんがまた、足を止めます。
ちょっと不思議なみちくさをみつけました。
この雰囲気、どこかでみたような‥‥。
柳生 おもしろいのがありましたよ。
ほら、これ。
吉本 これですか‥‥。
柳生 ちょっと毒々しい。
吉本 ほんとだ‥‥。
これはなんていう名前なんですか?
柳生 この茎のところがヘビみたいでしょ。
吉本 わ‥‥そうですね、ヘビみたい。
柳生 それで、マムシグサっていう
名前がついているんです。
吉本 マムシグサ。
もしかしたら、
ウラシマソウの仲間?
柳生 ‥‥そう、仲間。
ウラシマソウの仲間です。
吉本さん、すごいですね!
よくご存じで。
吉本 なんか、ムードが似てますよね。
柳生 いやぁ、すごい!
まさかウラシマソウの名前が
出てくるとは思わなかったですよ。
吉本 いや、この前の鎌倉のみちくさで、
森さんに教わったから。
柳生 そうか、そうでしたね。
森昭彦さん
森さんは一度ここに遊びにいらして
ぼくもお会いしたことがあるんですが、
すごくすてきなかたでした。
吉本 そうなんですよ。
あんなにすばらしい先生に教えてもらえて、
ラッキーでした。
柳生 そうか、そうでしたね。
森さんのときに、
ウラシマソウをみつけてましたよね。
吉本 あのときは、ウラシマソウと一緒に
ムサシアブミもみつけて、
それで、
たしかもうひとつ、
同じ仲間の名前を教わったんですが‥‥。
柳生 カラスビシャクですか?
吉本 そうそう、カラスビシャク!
柳生 いやぁ、驚きですねえ。
いま、けっこう高度な話をしてますよ。
吉本 「みちくさの名前。」が、
勉強になっていたのかしら(笑)。
柳生 そうですよ。
吉本 続けるものですね(笑)。
柳生 すばらしいです。
‥‥じゃあ、この、
マムサシグサについても
もうちょっと覚えましょう。
吉本 はい。
この人はもう、枯れちゃったんですか?
柳生 枯れたというか、
花が終わったところですね。
いまこの中に実ができてます。
吉本 これは、実なんですね。
柳生 トウモロコシみたいでしょ?
吉本 ほんと、トウモロコシみたい。
柳生 これが真っ赤になるんです。
吉本 へぇー。
柳生 この実を食べるとたいへんなことになって。
実の中が、なんていうか‥‥
ガラス繊維みたいな感じなんです。
吉本 うわー。
柳生 グラスウールを食べるみたいな。
食べると、チクチク、チクチクして、
激痛が走るらしい。
吉本 おいしくもない?
柳生 おいしくもないです。
吉本 そうかあ‥‥。
柳生 いいところがないんです、マムシグサには。
でも吉本さんはみちくさにやさしいから、
おいしい!って思うかも(笑)。
吉本 えー(笑)。
さすがに無理です、グラスウールは。
柳生 そうですよね、失礼しました(笑)。
ぜったいに食べないでください。
じゃあ、行きましょう、
雑木林はこれからですよ。
ウラシマソウのことを覚えていたことで
柳生さんにほめていただいた吉本さん。
ちょっとうれしそうな笑顔が印象的でした。

ちなみに、このみちくさのあと、
ひょんな場所でカラスビシャクを発見!
この仲間たちとは、不思議な縁があるのかもしれませんね。



今回、吉本さんのエッセイはお休みです。
次の「みちくさ」は、土曜日に。
「八ヶ岳倶楽部でみちくさ」編は、
火・木・土の更新でお届けいたします。
 
2010-09-16-THU
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