SHIMIZU_MICHIKO
清水ミチコの試供品無料進呈
(秘密厳守)

第69回

6月1日・火曜日
朝、起きてからタクシーが到着するまで、
3時間も余裕があり、
普段できない「海を見ながらの朝食」をした。
海、なんで透明な水のはずなのに、
全体になるとブルーに見えるのですかな。
空が曇りだと、その通りにしょぼい色に
変わるところを見ると、やはり空を写してるんですか。
いえ実は錯覚、と、一人で会話。

いろんな遊び場所をもつ巨大なホテルだったが、
図書室に直行。
さすがにヒマヒマで、お客さんがいなかった。
外国の写真集がたくさんあり、
「フランクロイド・ライト」
という人が住んでいる家の写真にはまった。
でっけー。気持ちいー。どんなー。

事務所にもどったら、因島のマッサージのおじさんから
お礼の手紙と、ご本人が写した因島の風景写真と、
なぜかアルバムまで届いていてた。
ヤノッチ、つい泣けてきたと言ってたが、
私もこれにはぐっときた。

6月2日・水曜日
獨協大学で講演。
どこが講演なのだ、という内容ですが。
600人ほど、出る前からすでに盛り上がってた。
どよめきや、笑いが治まるまで、
時間をかけつつしゃべっていくという感じ。
獨協大学出身で、世話になった
高須ディレクターという人がいかに凄かったか、
という話になると、知ってる風なので驚いた。

6月3日・木曜日
ビバリーとCBC。夏休みの相談をする。
こういうの、昔から、テレビよりラジオの方が気を使う。
お菓子を買って持っていくか迷う。
なんで? ってくらい言いにくいのだ。ホント。
しきたりの違いなのかな。
休みをとるのはお客さんに失礼、という意識が強いし、
すごい事言う! びっくり! な顔をされる。
こっちもそれに気がつかず、
まるで当然のような顔をして、夏休みをとった。
ヤノッチ、双方にあやまってた。
絶対「マネージャー」って早死にする職業だ。
でも仕事のあと、ディズニーランドに行くのだそうで、
夕方からは、えらく長生きしそうな顔をしてた。

(編集部註)
清水さんのライブのチケットが6月16日から発売されます。
場所は渋谷ジャンジャン。7月16〜18日の3日間です。
クリックすると、詳しいことがわかりますよ。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~jamhouse/live.htm
「第2回 清水ミチコディナーショー(食事なし)」

1999-06-12-SAT

第70回

6月4日・金曜日
「日経ウーマン」で、糸井重里事務所にて座談会。



総勢12人ほどがいたのだが、
「マネージャーの矢野です」と、紹介すると、
すぐにわかったりする。
私もこの日記担当者である金澤さんがすぐにわかった。
写真、かなり損してますな。

全員明るい才媛というカンジ。
ネットで知り合いになれる、という図を初めてナマで体験。
ぺちゃくちゃ話している中、事務所の方から
「フィナンシェ」と、「フルーツのババロア」に、
「チョコレートケーキ」の3種類が
時間差で出されて嬉しかった。

でもなんでこんなに出しおしみしないのかしらこの事務所。
経済的にナンなのに。くくく。
そうか、「ババロア」は日経ウーマンから、と読む。
そうすると「フィナンシェ」はここの事務所からとして、
「チョコレートケーキ」は読者の方から。
と、手ぶらながらも食べつつ直感。
帰りの車の中でヤノッチ、
「お茶のグラス、センスいいのが
みんなに全部揃ってるのが、喫茶店みたいですごい。」
と、またそっち系に目が行ってた。
どうも彼女にも私の貧乏性がうつってきたようだ。
ごちそうさまでした。

6月5日・土曜日
宝島誌「顔マネ塾」用に。
夫(撮影)に
「いっそスピードの4人一気にやってみたら?」
と言われ、できるわけないでしょ、
1人でもたいへんなのに4人なんて!
と言いながらも、どれ、とメイク。
最近頭よりもカラダの方が早い。

コドモが学校から帰ってきて、
「やー、ちょっと。スピードはムリじゃないの。」
なんて言う。参加するな。
昼頃、写真が焼き上がり、
それを見てコドモが「ね」と言った。参加するな。

コドモの友、大橋君登場。
今日は(ウチの居間)キレイですねー、
掃除したんですねー、なんて言う。いつもきれいでしょ。
久保ちゃんも遅れて来た。
私が中学生の頃、一番好きだったおやつの
「ちびホットドッグ」を作ってやる。
お料理じょうずですねー、こんなの初めてですよおー!
など、ウチでは聞けないお言葉をいただく。
私も前にもそうやってほめられたもんだから、
ついつい大橋君か、と思うと腕を軽くふるってしまう。
(いつもはカルビーやらブルボンやらギンビスを、ポイ)。

バングラディッシュに行った前の先生に
メールの返事するから、ついでにみんなも
メッセージ言いなさい、と言うと
「僕、あいかわらずおかまでーす。うっふーん」
と大橋君。子供らだけで爆笑。
どうやら男の子同士が、おかまのマネしあっては
笑ってるらしい。幼いのか大人なのか。
「大橋君のウチ(商店)ってどこにあるの?」
と聞いたら、
「ええっ、マジでぼくんちを知らないんですかー!!
てっきり有名だと思ってた! ひえー。」
と驚いてた。幼いのか大人なのか。

6月6日・日曜日
朝7時から八王子に行き、「ロマンス」収録。



車の中でヒステリック・ブルーの「春・スプリング」を
フルでかけて歌いながら向かう。
この曲を今日中に覚えなくてはならんのだ。目も覚める。
スタジオでセリフを練習しながらメイクし、
がぶがぶコーヒーを飲む。
終了後、そのメイクで、
「どうやる」か考えながらNHKへ移動。
遅刻セーフで、「天才てれびくん」収録。
「ですから、ヒステリック・ブルーのたまちゃんは、
こうすると似てくるわけですー。」
と、子供に教える。すごいスリル。
そのあともう一本撮って、食堂で朝食兼昼食兼夕食。
胃が小さくなっている気がした。
「もう、口聞きたくない。
コーヒーだけ入れてたらいいんじゃない」そんなカンジ。
かわいそうな、胃。
この「胃」って名前もあまりに短い。

夜、糸井さんの事務所で「ポカスカジャン」を見る。
おもしろかった。ハイになって、
人が笑わないところでも一人爆笑するのをこらえた。
なんか、すきっとさっぱりした。
挨拶に行こ、と思ったが、
コドモ留守番させてたので、すぐ帰る。

(編集部註)

清水さんのライブのチケットが6月16日から発売されます。
場所は渋谷ジャンジャン。7月16〜18日の3日間です。
クリックすると、詳しいことがわかりますよ。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~jamhouse/live.htm
「第2回 清水ミチコディナーショー(食事なし)」

1999-06-16-WED

第71回


6月7日・月曜日
羽田から金沢へ。
「清水ミチコのおかず屋さん」収録。
ヤノッチと一緒に番組をちょっとしきった。
「清水ミチコのしきり屋さん」だった。



夕方、小松空港までのタクシーの中で、運転手さんが
「右手に見えるのが、松井という選手の野球館なのだが、
建てられたご両親は、もう少し時間を置かれた方が
良かったのではないか」
という意味の事を、やや乱暴な言い方で述べられていた。
私は全くの野球音痴なのだが、
はあはあ、なるほどと、てきとうな合いの手。
しかし、降りてみたら空港には
「松井サブレ」という製品までちゃんとあり、
じゃあ、館くらい、いんじゃないよね、
とヤノッチに告げ口。

6月8日・火曜日
12:30、「8の日パトロール」(父兄による街の見回り)
のため、腕章で集合場所の公園に走って行くと、
皆さんから口々に「えらいわあ」
「ちゃんといらして、ねえ!」など、
にぎやかにほめられる。
謙遜するため、まじめな顔でいえいえ、と頑張るが、
またどうしても口角が上にあがりきってた。

見回りは主婦2人ずつで行なわれるのだが、
歩きながら、某主婦、
「実は(父兄の)みんなが、
何のためにしてるかわからない、って言ってんですよ。」
と言ってた。実際そうだ。
腕章つけた主婦が歩いているのが見えたら、
ちょっと機転のきく子は隠れるだろうし、
かなり悪い子なら
日中堂々とワルサをさらさないものだ。

でもこれも与えられた義務のひとつ。
ぶらぶらと二人で歩く。
歩きながら、(たとえば、たまたま中学生が
路上でタバコ吸ってたら注意できるかな)と思う。
小学生ならぶんどっても、高校生なら見過ごすな。
負けるもん。
中学生、顔で判断だな。など。

終わって事務所に行くと、中川さんが
「お疲れさまです。悪い人は、いましたか」
と聞くのに笑った。
まあ、今日はいなかったからよかったけど、と答える。
そのあと日テレの「電波少年」。
司会のチューヤンに一言冷たくつっこんだら、
「あなたは、チメタイ人だ!」と言われる。
おまえこそチメタイアル。



6月9日・水曜日
ネタ書く。
某女性歌手の作曲法、ぜったい見えてきたのに、
しっくりできないまま、書き直しては2カ月。
たぶんどこかで好きなんだなあ。
こうなったらいっそ苦手な他の人でやってみよう、と思い、
たとえば彼がどう歌を作るか、
しかもどう歌ったら嬉しいか、と集中して書いてみたら、
すぐできた。
放送はできないだろうけど、実に楽しい時間だった。
帰ってきた夫にさっそく聞いてもらう。
下を向いて顔が笑ってたので、返事はいらなかった。

6月10日・木曜日
楽しいビバリー。そしてCBC。
その間をぬってヤノッチとCDルームを借り、
60年代の歌手のCDをかたっぱしから録音。
「今度のジャンジャンで、60年、70年代、80年代、
90年〜来年くる歌手をモノマネでメドレーしてみっか!
ほぼ半世紀メドレーっちゅうことで!」
と思い立ったため。
60年代って歌謡曲のテンポがすごく遅いんだなあ。
とりあえず歌えそうな歌手と順番を決め、
事務所でMDを夫に渡し、
短くなるよう、相談しつつ編集してもらう。

「音楽と踊りに泣く」についての同感メール、
多数いただきました。しかもこれがほとんど女性。
自分だけじゃない事が判明してホッ。

じゃあ、これはどうでしょうか。
私は幼児の頃、怒りだすと、
上からどんどん洋服を脱いでいったそうです。
まわりの園児たちも、驚いて
「わかったわかった」と言ってゆずってくれてたらしい。
不思議なおどし。

(ここからきれいな声で)
さて、こないだ原田伸郎さんと私とで、
ナレーションをしました五味太郎さんのビデオ
「きんぎょがにげた」を、TDKコア様から皆様へ、
5本プレゼントしていただけるそうです。
あて先は下にあります。おはがきでよろしく。
(注・ほぼ日に、この件の質問メールなどは
 しないでくださいね。)

< 応募方法 >
ハガキにあなたの住所、氏名、年齢、性別を書いて
東京都中央区八丁堀1−9−6
TDKコア「きんぎょがにげた」プレゼント係まで。
締め切りは6月25日(金)。
当選は発送をもってお知らせします。


「きんぎょがにげた」


(編集部註)
清水さんのライブのチケット発売中。
場所は渋谷ジャンジャン。7月16〜18日の3日間です。
クリックすると、詳しいことがわかりますよ。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~jamhouse/live.htm
「第2回 清水ミチコディナーショー(食事なし)」

1999-06-20-SUN

第72回

6月11日・金曜日
ロマンス収録。
撮影の合間に、宮沢りえさんが
私の顔(イラスト)を描いていた。
「似てるでしょう?」だって。
キムチの話でみんなと盛り上がる。


夫の作ったチャーハンを家族で。
夜、PATE屋の林さんと電話。
なんとも話し方が美しく、
最近自分は汚いしゃべり方でどんどん平気になってるなあ、
と実感いたしました。

アイスをガリガリかじりながら、夫が
「こういうB級のキャンデー系の味は、アカギにかぎる」
としみじみ言ってた。アカギ。
夫はキーンと冷たい触感フェチで、
コドモも嗜好が似たらしく、
二人そろってガリガリ阿呆みたいに音を立てていた。
私はシュークリームを、
音も立てられずしーん、と横で食べた。

6月12日・土曜日
TBS伊集院光さんのラジオ番組のゲスト。
同室に気象協会の方がいらしたので、待ち時間にお話。
そういえば、なんで海の色は青いんですか、と聞くと、
「空の空気も海水も、実は色が透明なんだけど、
発光のプリズムによって青が一番強く見えるのだ」そうな。
(もっとうまい説明でしたが。)
「じゃ、錯覚ですか」、と聞くと、
「錯覚。そうですね。そう見えるようにはなってますね」
との事でした。
本番、すごーく楽しかった。
ボケあい、そしてつっこみあい。しかもまじめに。
FAXで、
「今日、清水ミチコさんは壊れてます!」
というのまでいただいた。ありがと!

6月13日・日曜日
コドモを送り出し、
朝刊と、熱いコーヒーと、瓶のままの冷たい牛乳。
私はカフェ・オレよりも、
「両方を別々のまま飲む」ってのが好きで、
わざとこうして飲んで豪勢な気分になっている。
喫茶店じゃこうは注文できないし。

そのあとチャリで行く下北沢、
買い物・WITHエステの豪華2本立て。
ミドリ色の泥のパックで横になったまま、エステの先生に、
「あなたはまだわからないでしょうけど、
35すぎてごらん。シミってものをを実感するから」
と語りかけられ、たちまち口角が上がるのがわかった。

帰りに自転車に乗ると、
後ろのタイヤの空気が抜けてるとわかり、
凄いスピードで家までぶっ飛ばす。
日差しを浴びるとそれだけで疲れるという、
ひ弱な体質になってきたのがわかる。
やはり、寄る年波ですな。

6月14日・月曜日
じゃーん。家庭訪問。
担任の先生は、毎年どなたも、「決まりですから」と、
玄関先だけで話をして帰られる。
しかし(今年は、もしかして)と
毎年、家中を徹底的に掃除。
いつもハムスターの部屋より汚いのに、
さすがに今日はきれいになっていた。
新しい担任の米山先生、
「(お子さんは)ふだんはマジメですが、
誰かがドラえもんの話をし出すと、
とたんにサッと顔つきが変わるんですよね」と、
先生自ら(こんなふうに、と)瞬時にささっ、と
集中する顔を変えたのがおかしかった。
「ワッハッハ! それわかるわかる! うまい!」
と指さして笑ってしまった。
いい先生に恵まれているなあ。

1999-06-27-SUN

第73回

6月15日・火曜日
原稿。
ヤノッチ、今度「10年は乗れるような」新車
(シボレーの4WD)を買う、という恐ろしい行為に出る。
いつもヤノッチの買い物は男っぽく、
ブランドやらの、ちまちました小物には目もくれず、
長くつき合えるモノをよく調べては買っている。
老婆心ながら「どれ」と、
ヤナセの担当の方に電話してみた。
「初めまして、清水ミチコですー、
このたびはウチの矢野がお世話になるそうでー(笑)。
いろいろ、よろしくお願いします(笑)」
と挨拶してみた。
この(笑)に、少しはおまけしてくれないですかな、
との意味をこめた。
しかし、この御時世だけに、期待は薄く。

6月16日・水曜日
ニッポン放送の新番組
「お願い!DJ!ハッピーウイークエンド」の顔合わせ、
打ち合わせ、番宣、写真、スポット撮り。
小林克也さんとコンビで、
なんと毎週土曜日、朝7時から11時までの、
4時間生放送が始まってしまう。
土曜日、気がついたらぜひ聴いてね。


6月17日・木曜日
夕方、テレビを見てたら、
うんと若い頃のマイケル・ジャクソンが踊ってて、
うまいなあと思い、たまにはと一緒に踊ってたら、
夫が帰ってきてそのまま披露。
夫、つくづくという口調で
「清水、やっぱコメディアンだよ。
このマイケル・ジャクソンの歌をそのまま流して、
ライブでやれば」と言う。
「嘘、おもしろい?」と聞くと、
「いや、すごいよ。そのくにゃり方は」とほめられた。
やりませんけど。

踊りといえば、
去年、NHKで「フラダンス講座」(マジ)の司会をした時、
リハで思いっきりふざけて踊ったら、
生徒のみんなが笑って、
それを見たハワイ人の妙齢の美人の先生が
ツカツカッとやってきて、
「日本人で、フラダンスでふざける人が
多いんですが、シミズさん、あなた、
そういう事ぜったいしないで下さい!」
とみんなの前でピシッと叱られた。

悪い事をした、と思うと同時に、
ちゃんとした態度で叱れる、という先生を少し尊敬した。
それなのに、本番でちゃんとまじめに踊ったら、
その先生が(私、もう涙が止まらない) という顔で
ハンカチで笑いをおさえていたのが見えた事があった。
何なのだ。

声はモノマネのため、
指はピアノのネタのため、
顔は顔マネのため、
そして身体は踊りのためだったのか。
全身器用貧乏。

1999-06-29-TUE

第74回

6月18日・金曜日
朝、ぼーっと窓の光を見てると時々
「光のつぶ」みたいなのがピチピチ泳いでるのが
たっくさん見えることってないですか?
はじめは「ぽやぽやーっ」としか見えないんだけど
動きの中のひとつをじっと視線でとらえたとたんに、
今度はもっとくっきり見えてくる。
もしかして錯覚かもしれないけど、
私はきっと、これが俗にいうエネルギーなのだ、
と勝手に思ってます。
日中の飛行機の窓からだと、
どういうわけかしょっちゅうクリアーに見えてきれい。
あ、妙な宗教には入ってないです。いちおう言っとこ。

そういえば昔、下北沢のショップで
「木が水を吸う音が聞こえる聴診器」というのを買って、
さっそく樹に当ててみたのですが、
これがぜんぜん聞こえやしない。
しかたなく何か聞こうと、自分の腹に当ててみたら、
これがあんがい鳴ってるもので、
高い音、低い音、長い音、短い音、といろいろで、
それがSF映画の宇宙の、
ぴゅーんという音にも似てるのだ。
夫に「ねえねえ、聞いてみ、すごいよ、宇宙宇宙。
人間の身体はやっぱり小宇宙なの。わかる?」と、
自分の音を聞かせたところ、
ゆっくりとした口調で、
「くだしてるんじゃないの」と言われたことがありました。
くだしてませんから。いちおう言っとこ。

6月19日・土曜日
仕事の帰り、代々木体育館での、ユーミンのコンサートへ。
思ったより早く着いたので、
近くの「THE・GINZA」で買い物をしていると、
きれいな店員さんに
「すみませんがお願いがあるんですけど」と言われた。
なんと
「ユーミンのコンサートが終わったら、
非常におこがましいんですけど、ユーミンにことづけを」
なんて言う。
「あなたは、お知り合いなのかな?」と聞いたら、
「そうではないけど、来月横浜のコンサートを
見に行きますので山中(仮名)がよろしくと」。
本当におこがましいのがおかしく、
できるわけないっしょ、私が! と笑って断る。
味わい深い人だった。

ところでコンサートは、えらい事になってきていた。
豪華なことはもちろんだけど、
ユーミン様はまるで、サイキックな力を自分にではなく、
全員のために降ろしておられたようだった。
ふとうすく見えた。
でも最後の「どうもありがとうー!」は、
「わかったかー!」と、聞こえた。
わかった。

6月20日・日曜日
今日も営業していた、ほぼ糸井新聞。
ふと「今日くらい休んでたりして」と疑って
パソコンをつけると、やっぱり変わっている。よし。
でも、ほぼ、なんだから
たまには休みをとってもいいのにな。
でも私も今日も朝から仕事だ。
仕事が好きというより、
毎日の家事の生活に向いてないのだった。

打ち合わせのあと、移動してドラマの収録。びゅーん。
最終回という事で、ラストのシーンが終了したら、
両腕に重いほどのきれいなバラをいただいた。
(私には)めずらしく、宮沢さんと電話番号交換する。
家に帰り、ハイ! 父の日、おめでとう! とちゃっかり
バラを水切りして花瓶へ。
どうにもヘタな活け方で、生け花は習っておきたかった。
これも家事。あれも家事。たぶん家事。きっと家事。
ちゃーらららー。

1999-07-06-TUE

第75回

6月21日・月曜日
ダスキンさんに家のお掃除をお願いした。ふふふ。

6月22日・火曜日
父兄参観をパスし、
「おかず屋さん」収録のため、羽田から小松空港へ。
ちゃんと「おいしい!」とか言えるように
(実際、おいしいんですけどね)お弁当をパスした。
パス日だ。
ライブ用の60年代の歌謡曲をMDで選曲しつつタクシーへ。

メドレーって、脳がないみたいで
あんまりやらなかったんだけど、
21世紀直前だし、60年代から99年までの、
「ほぼ半世紀メドレー」
がばっとトライすることにしちゃった。
打ち込みを、中川さんの知り合いに
お願いできる事になった。
しかし60年代だけで2週間はかかるという。
そりゃそうだ。
とにかく早く何かしないと。
何もできていない。ひい。

6月23日・水曜日
ライブで使う電光掲示板の文章書く。なんかつまんない。
夜やり直すと決めて、
午後、週刊朝日・増刊本のインタビューへ。
喫茶店で答えながら写真を撮ってると、
そこにいた女子校生たちが
「あ、清水ミチコだー!」とはしゃいだので、
私もわざとらしく「プリティなカンジ」で手を振ったら、
「キャー、ネタやってくれた! ネタ!」と言っていた。
ネタとはなんですか。
そのあとさる人と対談。
あれっ、こんな業界ノリの人だったっけ。
日テレ「メレンゲの気持ち」ナレーションへ。
夕食、夫と作る。
夜、電光掲示板パカパカさせながら打ち込み。
今年はナシにしようかと迷う。
私じゃなくて世の中が電光の気分じゃないのよね。
電光の気分とはなんですか。

6月24日・木曜日
また電光にトライ。
そして楽しいビバリーへ。そのあとCBC。
「テレビで最初に野村沙知代さん、カンジ悪ー!
と怒ってたのは清水ミチコだった」、
という葉書をもらってた。
確かに2年ほど前。私もまだ青かった。2年前でか。

そのあと雑誌「CMナウ」の対談、鈴木慶一さんと。
鈴木さんに
「最近、ユーミンの方がミッちゃんに近づいてきたカンジ」と言われ、
「どうもありがとう」と低い声でうすら笑み。

撮影してたらカメラマンさんが、ややうっとりと、
「鈴木さん、あなたの目がすばらしくきれいだ!」
とまじまじと言われて
鈴木さん、やめてえ、、、と、
どんどん小さくなっておられた。新宿2丁目系か? と噂。
マネージャー・ヤノッチは、もとプロサッカー選手なので、
サッカー好きの鈴木さんに今度一緒にやらない?
と言われ、喜んでいた。

1999-07-11-SUN

第76回

6月25日・金曜日
朝、居間に行ったら夫が徹夜明けで
コーヒーを煎れて飲んでいた(音編集をしてもらってる)。
私は生まれてから一度も徹夜をした事がない。
夜が明けちゃった、という事はあるけど、
そのあとぜったい少しでも寝る。
徹夜なんて考えただけでも恐怖なのだ。
ヤノッチは今日から早めの夏休みをとり、ハワイへ。
夏休みは交代制で、私は8月。
楽しんでこいよー、と、
こないだ見つけた「130度の日焼け止め」をあげた。
シミは20代で決まるらしいっすから。
ネタ「みんなの精神科」書きはじめる。

6月26日・土曜日
「ペット植物」のモニターになる。
植物の花の部分が、本物の動物の顔で、
口にエサをあげられ、声も出す。
私が選んだハムスター編は、すごいヒゲで、
鼻の下がふくらんでいて、鼻歌を歌っていた。
なまなましかった。
と、そういう夢を見たんでした。

やり始めた音源の打ち込みが楽しく、
気がついたらぎょっとするような時間が過ぎていた。
仕事場へタクシーで移動。
乗り込んだらタクシーの運転手さんに、しみじみと
「私ゃねえ、お客さん(私のこと)が乗るまで
4時間ですよ。4時間ずーっとひとりぽっち。
もうこの仕事やめたいって考えてたところへ、
お客さんだ!」との事。
不況なんですなあ。
でも私としゃべっている間も車の中はしーんとしてて、
ラジオでもつけたらいいのになー、と思った。
音楽が昔から苦手なのだそうだ。
そのうち、グチがすごく長くなってきて、
そこまで客に言わなくても、という内容
(安いお客は実際腹が立つ、とか
自分の会社のひどい月給など)で、返答に困ってきた。
もしかしたら、あなたのそのけっこう短気なところが
この車に出てるんじゃない、
などと言ったら、どんなにか激昂するかな、
それとも笑うかな、と想像した。

6月27日・日曜日
名古屋東海テレビで、
ガダルカナル・タカさんと2時間特番の司会。
楽しかったー。笑った。
帰って「ユルマゲドン」というネタ書いて一人で笑う。
夫に見せたら、全然意味がわからないという。
あれ?

6月28日・月曜日
こないだ書いた日記(6月15日・金)について、
担当の金澤さんからこんなメールをいただいて、
ショックしつつ笑った。
「“光のつぶ”って、ミジンコとかの
プランクトンに似てるやつですか?
そうだとしたら、
昔、子供電話相談室かなんかで聴いたのですが、
眼球だか、網膜だかについた傷だそうです。
明るい空とかを見ると、よく出てきます。
傷だと知って、金澤少年はがっかりしました。
それまで自分は不思議なものを見る力があると
思ってましたから。」
なんてことだ。私もがっかりだ。
いつかコドモに見えるぞと教えたのに、
「ぜんぜん見えない」とか言われて、
「こうやってほら」とか言いつつ
弱めの寄り目にしていた私は何だったの。
母の愛は、眼球だか、網膜だかについた傷。
そういう曲か。

1999-07-15-THU

第77回

6月29日・火曜日
コドモを連れて歯医者さんへ。
やれやれ母の目の次はコドモの歯。
待合室にあった「歯の本」を読んでいると、
隣で同じ「待っている」状態のお母さんが、
文庫本を読みながらクスッ、クスクスクスッ、
くくく、と声をこらえながら笑っていた。
ぜひ知りたい、そんなおかしいこと書いてある本、
誰の何、と、自分の本がさっぱりモノクロに感じた。
その間もその人のくすくすがとめどなく、
こっちまでもらい笑いしそうになってきた。
実際口角が上に。
それにしても書いた人は、
読んでもいないまわりの人間まで
笑わせてしまうシーンがあったなんて事を知ったら、
どんなにうれしいものだろう。

さりげなく、しかし何度となくのぞいたが、わからず、
「おや? 自分の足のこんなところに
何かついてるじゃない。」
みたいなふりで下から一瞬のぞき読んだ。
タイトルこそわからなかったが、
「○○ふみ」とだけ読めた。
そうか! 柴門ふみ! とピンときた。
いつ帰ってしまうかもしれない時間内に、
その方のお名前がわかっただけでホッとした。
それにしてもどんなエッセイなんだろう。

6月30日・水曜日
猿、どうして捕まえなくちゃならないんでしょうかね。
ところで今日はピアノを弾いて、
やってきた子供達にやれやれとおやつを出したところ、
(ブルボンのエリーゼとチューペット)
約5年ほど前、糸井さんからもらった言葉を思い出した。
「シミズさん今度さー、エリーゼのくせに、
ってのやってよ、エリーゼのくせに」。
なんだそれは、と笑っただけで、
それもずーっと忘れていたのだったが、
今日ひらめいてさっそくいただいた。
譜面にレだのラだのと
カタカナでふりがなを全面に書き込み、
読みやすくして練習した。
エリーゼの弾き語りのために。

1999-07-18-FRI

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