SHIMIZU_MICHIKO
清水ミチコの試供品無料進呈
(秘密厳守)
2001年11月の日記

第249回

11月1日・木曜日

オットにネタを聞いてもらう。
といっても、実際ちゃんとやるってわけじゃなく、
音源とセリフを書いた紙を渡すだけなんだけど。
すごいドキドキ。フフフフ。
作曲から打ち込みまで、夜中に頑張ったああー。
でも、「音楽はいいと思うんだけど、
ちっと、意味がわからない。」との事で一気に不愉快に。
あんたの感覚が古いわ、わかってないね!などと思いながら
事務所に行って、ヤノッチに聞いてもらう。
すがるような気持ち。
そしたら、一瞬暗い表情になって、
(コメント言いにくい、というような)
またおまえもかよ!と、腹わたが煮えた煮えた。
でも平気そうな顔する。

また自宅にもどり、機嫌直すため、クローゼットへ。
そして「嘘でも明るい気持ち!」になってから、
皆さん御存じの美しいスマイルで、
ビバリーとメレンゲ、ダウンタウンDXへ。

「おばちゃんもう、たたみの腐ったような匂いがするわ」
と言われ、煮えくり返した腹わたを、
美しいスマイルで包みつつ。

11月2日・金曜日


やや暗めの女性と取材だったんだけど、
何気なくちょっと一言誉めたら、
(そんなつもりではなかったんだけど)
その人、すごい上機嫌になって、たちまち明るくなった。
びっくりした。
スノボーか何かの話で、「こんな風にねっ!」と、
ぴょんぴょん跳ねたりして。
あらっ。そうか。こんな事で人は違うものなんだなあ。

11月3日・土曜日

こないだ、三谷幸喜さんと、奥様の小林聡美さんと
食事をしたんだけど(桃井かおりのモノマネ対決あり)、
「そういえば、ツマの声が、
シミズさんのふだんの声に似ている」と、
三谷さんが言ったんですよね。

そういえば、たまに私が電話すると、
三谷さんは「おう」なんて調子で出て、すぐに
「あっ、シミズさんだったか、すみません!
 ツマかと思いまして。」
なんて風に変わる。
裸だったのに、ネクタイだけしめ!みたいな調子。
これがいっつもそうなんで、笑ってしまうんだけど。

で、レストランの帰り道、
そろそろ家に帰ってる頃のウチのコドモに
イタズラ電話をかけることになった。
小林聡美さんが、「いつもどうしゃべる?」と聞くので、
『ややぶっきらぼうな感じで
 「あ〜もしもしー。アタシだけどー。
 ごはん食べたー?」』
と教えた。
これだけだったんだけど、
リハーサルも何度かちゃんとやってくださり(?)、
成功をおさめた。

帰宅して、コドモに、
「さっきの電話さ〜、実はさ〜」と話したら、
「嘘嘘!今頃緊張してきた!」と、嬉しそうだった。
「気持ちい〜白さ〜!お洗濯ってス・テ・キ!」のCM、
大好きなんだもんな。

11月4日・日曜日

立教女学院で学祭。
天井の高い、豪華な教会のチャペルがステージだった。
学生さんもかわいくて明るい。くったくなく話してくれる。

「ここの学校にして良かったです。大好きなんです。」
だそうだ。
「ただ、高校にはクーラーないんですけど。
 扇風機をクラス一時間ごとで回して使ってます。」
と言っていた。かわい〜。
そっか。今クーラーあたりまえなんだよなあ。

この学校の出身者であるユーミン様が、
「今、母校に帰ってきました、なつかしいですねえ。
 この窓からの光。」
と、低音おごそかな感じで、
いつもより多めにやってみました。

11月5日・月曜日


日テレ『レッツ』のVTR取り。そのあと打ち合わせ。
「次回は、どういう場所でまぎれる写真を撮るか」
(許可が必要なので)。
私が、公園に住んでる人々の中にまぎれたい、と言ったら
あっさり却下。
プライバシーの侵害になると。
じゃあひとりでちょっとだけちゃんと住む、と言っても
やっぱりダメ。
個人用の写真だったらいいのかしら。
それだったら私のプライバシー。

夕方、そろそろ「こたつを出そうかな〜!」と、
迷いながら、結局だらだらと過ごし、
オットとテーブルでオットと『メメント』もう一度見る。
オットはこたつみたいな顔してテーブル派。
私はこたつ大好き派。

コドモ、こないだ
「インディジョーンズにはまった、最高」だったそうだ。
あれは私も何度か見たっけな〜。
気持ちい〜白さ〜!

2001-11-28-WED

第250回

11月6日・火曜日

まぎれるシリーズ撮影で、
「思いっきりテレビ」の観覧者の中へ。ドキドキした。
日テレ様、よくぞ許可してくださいました。
プロデューサー様、どうも、ありがとうございました!
「素敵なおば様」になったあとは、
釣り堀のおやじ様になったりと、全部で3ケ所行った。
でも、面白いのはやっぱり
「何か思想や理想のある人がぎゅーと集まっている場所」
に、まぎれるもの。
もっと何かいいアイデアはないかなあ、と、
おっさんメイクを落としながら。
あ〜、でもめんどくさー!なんてこぼしながら、
このシゴトについて、本当によかったなあ、生きてるなあ、
なんてね。

11月7日・水曜日

コドモが学校に行った午前中に、歩いてエステへ。
エステは、歩いていける下北沢のところと、
渋谷にある2店と、私が通ってるのは3ケ所あって、
シゴト終わりの場所によって選んでいるんですのよ。
ホホホホホ。清水ミチコです。
で、今日行ったところは、だんぜんボロいんだけど、
一番うまい!と思える場所なのだ。
高級感0にして、勉強感10。
普通、ガウンとか着るんだけど、ここはダサい浴衣。
トホホホホ。
音楽も普通リラックス効果みたいなヤツかけるのが、
ここはラジオで。
眠ったフリしてても話しかけてくるし。
今日は隣のお客さんの連れてきた犬が
私の背中で眠ったんだよ。
なまあたたか。
でも、答えは金額ではなく、やっぱ肌だわな!と、
今日も指で押し、確認しながら歩いて帰った。

11月8日・木曜日

楽しいビバリー。高田さんはコンサバと見た。
お昼に、ヤノッチとめちゃおいしそうなお蕎麦屋さん発見。
「最近、私も蕎麦の香りというものが
だんだんわかってきました」と言いながら
「でも今日はうどん。」と、カレーうどんを注文してた。
どっちなんだ。
スケジュール表見ながら二人でずるずる。
蕎麦、本当に本当においしかった。
もう一枚おかわりした。石で挽いておられるのだそうだ。
「石ですか。さすが」と、
どうしておいしくなるのか、実はわけもわからないくせに、
腕組みして感心したりして。
そのあとCXで映画「マネーざんすっ!」の試写会へ。
始まる前に、大川総裁と久々に会って鳥肌実さん話。
野沢直子監督〜!!
なんというか、とにかく一番作風に個性があった。
誰にもマネーできないざんすっ!

11月9日・金曜日

最近、「ソース入れ」って見ないと思いませんか?
いや、もちろん「ソース入れ」はちゃんとあるんだけども、
しっかり注いで入れてるキッチンで、のこと。
ホルトハウス房子さんのような(例)
リッチなキッチンだったら、
律儀にコクコク注いでるのかなあ。
あれ、でも、なんかうっすら「メルヘン」があるのよね。
今日、ついに捨てちゃった。

11月10日土曜日

ランチに、たまには時間をかけて
ゆっくりじっくり食べようぜ、と、
ヤノッチ誘ってレストラン『KIHACHI』へ。
おいしゅうございました。
でもあの雰囲気に気負けしたような感あり。
お昼は1000円以下くらいが
ちょうど楽しいかもしれない。
あの雰囲気、というのは決してお店のことではなく、
いらしてるハイソな奥様がたのことね。
一時間はかけられる人種。
帰宅したらコドモ、
「あのニュースステーションの司会の人、
なんて名前だっけ。ボールペンがヒョウ柄の」と聞く。
久米宏さん?と答えながら(ヒョウ柄だったか!)と、
あとでテレビつけて確認。

2001-11-29-THU

第251回

11月11日・日曜日

お茶の水女子大で学祭。
なぜだか男性学生が多数来ていた。
なんかだらだらしてて、楽しかったなあ。
だらだらしてた方が、すらすらよくしゃべるもんですね。
たまたま家にたくさん友達が来る日でもあり、
ゆうべから味つけしといた『タンドウリチキン』焼く。



手が疲れてる日は、うんと充実してる日でもある。
家を新築した友達、
「ウチは、やっぱり玄関だけは家の『顔』だから、と聞いて
 お金をかけた。
 『キッチン』は『主婦の城』だし、と、思っては
 またこだわって、
 『お風呂』はやっぱり『一生もの』だと
 考えていいものに、
 しかし『本当はトイレ』に入ってこそ、
 『その家のこだわりわかる』なんて書いてあって、
 いったいどこで手抜きしたらいいのか
 わからんくなった。」
ってなこと言ってて、結婚式を思いだした。
一生に一度、というフレーズに、
ブーケや食卓の値段、髪飾りにいたるまでが少しずつ、
着実にあがっていった。
「一生に一度」は、本当はけっこう
たくさんあることなのに、ねえ。

11月12日・月曜日

日テレ、レッツへ。終わってから、
「ヤノッチお疲れさまでした!」と言ったほど、
今年一番マネージャーのシゴトが大変そうだった。
合計8時間になりそうなほど、電話がきちゃ、
構成の細かな打ち合わせの繰り返しで、
左手がしびれていた先週。番組20分なのに。
ていねい、というか不安型、というか。
作り手側にも個性は出ますもんね。
ま、でも終わったのだ。
蕎麦屋さんで三食そば食べながら気持ちの打ち上げ。

11月13日・火曜日

TX「なるほど日本人」へ。
角田さんと御一緒。ものすごい器用な方だ。
こないだはNHKで英語で歌ってたし(うまかった)、
モノマネも上手。格闘技もできるんだそうだ。
生島さんは、私のことをなぜか昔から
『ミチコちゃん』と呼ぶんだけど、
この日も数回そう呼んでくださり、ちら、と見たら、
ヤノッチがいちいち笑いを押さえていた。
おまえもそう呼べ。

11月14日・水曜日

NHKの夕方7時のニュースのアナウンサーの方って、
二人いるって知ってました?
はじめにオットが
「この人、きのうのアナウンサーと違う。
かすかに違うぞ。」と言ったのが発端で、
(7時のニュースはいつも同じ人だ)と思ってた
私とコドモがいて、
地味に家庭内で週間的に検証したところ、
確かに二人がいた。
オットは最初、
(この人、ネクタイのセンスが独特だなあ)と思ってたら、
(おや?今日はやに平凡な)ということでわかったそうだ。
こんな事でもなければわからないかも知れない。
顔、声のトーン、眼鏡、おだやかさ、
全てがめちゃくちゃそっくり。
月〜金は同じで、土日は違う方みたい。
ヒマな方はチェックしてみて。
あまりにも不思議な感じで似てる。

11月15日・木曜日


ビバリー終わって、明日の番組のセリフの練習する。
メレンゲ終わって、練習。
新幹線の中でお弁当食べながら練習。
大阪のホテルでもセリフ。

明日の本番、うまくいきますように!!

仲間に溶け込んでる自分をイメージ。
夜、恐くなって起きたり、笑顔で起きたり。

何度もトイレに行く。
そのうち寝た。
朝、めちゃ落ち着いてて、
きっとなんとかなるな、という予感。

2001-12-02-SUN

第252回

11月16日・金曜日

大阪、吉本の『なんやモー目茶苦茶屋』収録。
朝8時から通し稽古。
ちゃんとした大衆演劇モノに出るのって、
実は初めてなんだけど、自分としては
(ランクアップ!)みたいな気がして、わくわくした。
(あがらないあがらない!)と念じながら十字架をかけた。
というのはシスター役だからです。
「おう、なんや、今日はいつもと違っておとなしいでえー、
 大阪の客はきびしいでえー、へっへっへ」
と、からかう石田靖さん、
くやしいけど本当にイキイキ輝いて見えた。
そんで、本当に楽しかった。
お客さんはたぶん、笑いに厳しいんじゃなくて、懐が深い。
嘘みたいに軽くなって、夕方、
富山へ移動し、NHKの番組へ。

11月17日・土曜日

こっちはジミであった。夫婦で長年作業をしている
「手作りの大門素麺」の過程を、大学教授と拝見。
なかなかお目にかかれない作業で、夜中からこね、
明け方に乾燥されてできあがる寸前に干された素麺は、
透き通るように白くて、
眠いまぶたにも工芸品のようにまばゆく美しかった。
ホント、すがすがしいんだよ〜。
しかし、長年の行程だけに
『そう感動なんちゃ、別にないよ』と、
そこの奥さんがフツーに言ってた。
はははは。その言い方が一番すがすがしいわ。
「あとで、朝ごはん食べてってな」と言われ、
いただきます!なんて言ってたのに、
すぐにロケバスに乗って移動となり、
お礼も言えなかったな、と思って、
めずらしく直接電話した。
「あの、清水ミチコですけど、、。」と言ったら、
はははは。と笑われた。

11月18日・日曜日

内田春菊さんの結婚パーティのため、ブルーノート東京へ。
私はいつか、酔ったいきおいで、
「年下で俳優で2枚目?そんな男なんかと
結婚なんかうまくいく、わけがねえ。」と、
二人にのたまわったことがあるそうで、
(私はよく覚えてないんだけど)
新郎のとこに行って、
「いつかは、生意気でゴメンね?」と言ったら
「いやあ、ぜんぜん!」とのことで、
(本当に言ってたんだ)とわかった。
松居直美さんとお話。
営業が大好き!なんだそうだ。
ほかにも、そうか、君はそんな事を考えていたのか、
と感心しきり。
サエキけんぞうさんとも久しぶりに話す。おもしろ。
ひとりひとり、腹を割って話をしたら、
こんなに面白いことはない。
ずいぶんワインがおいしいな、と思い、
気がついたらふらふらとピアノの前で歌ってた。祝福。
コドモ、流星群を友達11人と、
広い屋上に集まって見に行ってきたらしい。
赤いほっぺたして、深夜に
最高だった!首疲れた!すごかった!と言いながら
自転車で帰ってきた。
まだ眠れない!とか言ってたかと思ったら、
急にバターン!と寝た。はははは。
おまえにはいつでもビックリマークがついているな。

11月19日・月曜日

『ゆうべの清水さんの事が、さっそく
 末井さんのHPに書いてありましたよ』
と、ナカガーさん。
あなたのアンテナは何本をどんな立たせ方してるのだ。
メジャーからマイナーまで、この業界の生き字引き。
私は戸川純さんの本を読みながら、
紅茶ばっかりやたら飲んだ日。
コドモ、
「英語の時間にぐんにゃり眠ってしまった」そうだ。
いいねえ。
夕方、食事をしていたら、
岩下志摩さんの象印のCMをやっていた。
思い出し笑いしながら、
「私と岩下志麻事件」の思い出を家族に語る。
私が高校生の頃、実家の喫茶店でバイトしていたら、
あの岩下志麻さんがいきなりいらっしゃったのだ。
ものすごく驚いて。
映画の撮影でこちらにいらしたのらしい。
台本お持ちだったから、それはすぐわかったんだよ。
で、「珈琲をください。」と、
あのツヤのあるいい声でおっしゃったんだけど、
私はすぐにこう思った。
『普通の田舎の珈琲ではダメだろう。
(当時)一番ウチでおいしいと言われている
 ウインナー・コーヒーをサービスするのだ。
 雑誌「喫茶店経営」でも大きく特集されてたんだから、
 まちがいなく喜ばれる』
と、勝手にホイップされた甘い生クリームを
コーヒーに浮かべた。形もきれい。
しかし、いざそれをお持ちしたら、
あの落ち着いたトーンで、
『あのう、、。』、おっしゃる。
「はいっ!」と笑顔の私。
『すみません。何ですの?これ。』と、
聞きにくそうな笑顔で、ニッコリと白いものを指さされた。
今考えたら当然なんだけど。無気味だわな。
「それ、ウインナーです!」と阿呆顔で微笑む私。
で、そのあと岩下様は、
一緒だった数名の大人とお話なすったりして、
「ごちそうさま。」と、
帰りがけに私にまたニッコリしてくださった。
私は本当に天にも登る気持ちだったんだよね。
で、
シルバー(おぼん)で残りのカップをさげようとしたら、
冷えきったウインナー・コーヒーが、
一口もされないまま残ってて。
私は後悔とはこの事か、というくらいに
自分を呪った夜があったのだよ。

11月20日・火曜日

リハしてたら、長渕剛様の関係者様から連絡が入った。
御本人が一度会ってお話したいとのこと。
ついては今度のコンサートのあと、
楽屋で御挨拶を、となった。
わわわわ、顔マネの件、ですわね。
写真より文章ではないか、問題は。
しかし、私には目前に、
青年館で頼まれたライブがあるのだ。
ひえ〜、今から1000人あまりを笑わせるなんて
無理だああ〜!おのれのバカ〜!と頭をかかえた。
確か「ショーマストゴーオン」っていうんか、こういうの。
これ考えた人も色々見てきたんかな。
わかるわあ、アメリカ人。
星条旗と、その裏にある「白旗」とが
パタパタ交互にはためくのが見えたりして。
うっすら発狂してたりして。
「噂の真相」の左ハジの一行に書かれた文字が
想像できたりして。
ちょっと一人になります。見てはだめ〜、と、
鶴の恩返しのようにカーテンひいた小部屋に入り、
気合いを入れて気持ちを直した。
ふふん、人間のできる事はしょせん、
マックスでも相手を殺せるってこと。
しかし、その人間だって、一日たりとて寿命は伸ばせまい。
ええじゃないかええじゃないかよいよいよいよい。
と、なぜか百姓一揆の気持ちがよくわかる。
と、今考えると、完全に思考がオーバーしている。
けれど目の前の現実優先なの。
ここがうまくいったら全部うまくいくような気になる。
とにかく落ち着け、一回死ぬ。
と、思ってステージに出たら、えらいもんで、
何ひとつ恐くなくなってきた。
座った、というんですかな。
大都会のやさぐれ女、というんですかな。違うわな。
ともかく不思議ないい気分で、アンコールへ立った。
駐車場(外)に出たら、
自動販売機の浜ちゃんのポスターと目があった。
(大丈夫?)みたいな顔に見えた事だけで、
このメーカーに感謝した。
でも、その隣の松ちゃんが
(いや、それはどうかな?)みたいな顔にも見え、
いるか!こんなジャンパー!と思った。
大丈夫、といえば、
昼間のヤノッチのなぐさめ方はよかった。
「なに、大丈夫ですよ」と自信あり気な声で言うので、
「なんでよ、、」(低くかすれた、三原じゅんこ声)と
聞いたら、
「私、長渕さんのドラマ、連続で全部見てきましたから。
 わかります。大丈夫です、筋を通せば」

2001-12-04-TUE

第253回

11月21日・水曜日


いつもの八百屋さん(Aとする)で買い物をしてたら、
別の八百屋さん(B)が、自転車でツツーッと来て止まり、
プロどうしでおしゃべりしてた。
何げに聞いてたら、
「あそこの八百屋の(C)だけはよお、
 八百屋の恥だよな、ホントによ。
 今見てきたけど、ひで〜もん売ってんの!
 あいつ、だいたい八百屋てえ顔じゃねえもん!」
「だろ?」
などと言ってたのが印象的だった。
どこの世界にも、どうにもこうにも許せねえ、
ってカンジのタイプはいるものなのか。
私は、「顔を責めてる」ってところが
個人的におっかしかった。
だって、顔だけはしょうがないじゃないの。

11月22日・木曜日

ビバリー。今日はすごくかわいい平穏な社会、に思えた。
後半、リクエストで井上陽水さんの
『聞茶』の曲をかけた。
聞きながら、歌詞カードを拝見。
そしたら、なにげに読んだ、B面の『毛ガニ』が。
歌詞がまるで私の作曲法(ネタ)への
お返事になっているのでは?という内容で、びっくりした。
(僕の歌はてきとうだから〜、みたいな)
うわわわ。しゃれた事をなさる。
でも、ここでこの事実を口にしたら最後、
きっと神田ディレクターが
おもしろがってすぐにかけそうな予感がして、
金魚のようにぱくぱく泡吹きながら、心に秘めた。

11月23日・金曜日

夕方、古いNHKのビデオ「佐藤輝の世界」を見ながら、
夫婦で会話。
コドモがひょこっと顔出したので、
『明日、期末テストでしょ、こっちは無視して勉強頑張れ。
 社会社会。』と言う。
コドモ笑いながら
「や。あのさあ?さっきからちらちらっと
 (刺されたら119番)とか
 (土下座は一回を深く)、とか聞こえて
 勉強しづらいんだけど。何があったの?」。

11月24日・土曜日

ついに長渕剛さまのコンサートへ。
国際フォーラムの会場、
始まる前から、みんながぜん盛り上がってて、
私ひとりだけ盛り下がっていた。
ライブでの長渕様は、いいあんちゃん、という感じで、
お客さんを乗せ、声を出させる。
もっと孤独に歌っておられるのかとばかり思ってた私は、
そのパフォーミングに驚いた。
「やるなら今しかねえ!」のところなど、
私まで一緒にこぶしを上げて歌いそうになった。
やられるのが今かもしれないってのに。

終了後、控え室に行くエレベーターの中で
「以前もウチの陽水がお世話になりまして」と、
「FOR LIFE」の方に明るく挨拶され、
「なんですか。重ね重ね、本当に、、。」
などと言い、言葉がみつからず、
あとはとにかく数字の点滅だけを見つめた。

控え室にはココリコの遠藤さん、
ロンブーのアツシさんらがいた。ホッ。
でもこちらはあがっているファン心理、
というものが見てとれた。
私が、
「、、と、こういうわけだけど、遠藤くん、
 何かあった時は味方になってくれるよね。」
と小声で言うと、
「もちろんでございます!」と、
優秀なホテルマンのようにおじぎをしてうなづいた。
友達、最高だ。

そしたら、スタッフの方が
『すみません!この部屋もいっぱいになってきましたので、
タレントの皆さんは別室へどうぞ。』とおっしゃるので、
私も立ち上がったら、
『あ、清水さんはそのままで。
 長渕がお話があるようなので。』
なっ!?あっ?!と口をぱくぱくした。
「あっ!おい、置いていくのかい!遠藤!」
という遠ぼえを尻目に、
みんなニヤニヤしながら去っていった。
友達、最悪だ。

そのまま30分待機。
ついに御本人登場で、いよいよ対面となった。
いきなり拳で右ほほに一発きて、
くらくらしながらもカウンターでやり返した、
というのは嘘で、
『清水さん、だろ?はははは。いつも、TV見てるよ〜』
と、あの声で手を握りながらおっしゃった。
ああ神様はいらっしゃる。
と、すがりたくなるような一声。

しかも、たまたま照明が背中から当たっておられ、
後光がさしてる姿にも私には見える。
「あのさあ、今、(ライブを)見てくれたよね?
 俺は、変わったんだ。」
「はい!」と私。
「また、新しい俺のマネを、どんどんやってくれよ、
 へへへへ」
と、笑顔でおっしゃり、
なんて明るいんだ!ツヨシ!と思った。
話とはこの事だったのか!
「おう、写真、撮ろうか」と、2ショットで笑顔で写真を。
さらに長渕様じきじきに
「あ、これ、持ってってよ。」と、
「長渕剛グッズ」を両手にどっさりいただいた。

すごい量だ。あんな事したのに、こんなにくれるのか。
大物ってすごいなあ。
再び荷物から手を出して握手をして別れた。

帰宅して、「どんなにいい方だったか!」を、
家族に話ながら、長渕さんのバスタオルを肩にはおり、
長渕さんのビデオをつけながら、
長渕カレンダーを広げて見た。

夜、コドモが私の部屋にやってきて、
「お父さん、何も言わなかったけど、
 さっきまですごく心配してたのがわかった。
 話聞いてなくて。さっき倒れるようにしてた。」
と言った。

2001-12-10-MON

第254回

11月25日・日曜日

シゴトして帰宅。コドモとスーパーへ。
寒いので、コドモに私のおさがりのジャケットを渡すが、
「ハデ。私、ダメ。」と言われた。失敬な。
最近、サイズも私のでちょうどいいのに、
無地しか着てくれない。

食後、ほぼ日の手帳、読みふけった。
読める手帳なのだ。
コドモは『俺の好きなメルヘン』のページに、
むせかえりながら笑っていた。
こんな日本語、聞いた事ないもんねえ。
たとえば「好きな色は?だって。せえの」と、同時に言う。
こういうの、聞かれてパパッと答えた方が
ホンネなのかもね。
コドモは「青!」で、私は「オレンジ!」。
そのうち、「尊敬する人は?せえの」と、言ったら
コドモが即座に「ヤノエツコ!」、と言ったので、
へえ、と、驚いた(マネージャー・ヤノッチの名前)。
ヤノ、までは二人とも合ってたのだが。

11月26日・月曜日

長年、健康に困った時は、
『主婦と生活社』の「食べて治す医学事典」って本を
ひっぱり出して読んでるんですけど、
これ、エッセイ的な要素もちっともなくて、
おもしろくはないはずの本なんだけど、
誰かがそういう事態になると、調べてはほほう、と、
がぜん、ほかのページもがーっと読んじゃう。
で、今回はなんで読んだかというと、
コドモが風邪をひいていたですね。
それで、「大根あめ」をさっそく作って飲ませたら、
ああら不思議、な、くらいに、
翌日少なくとも咳はすぐ直りました。
(大根を角切りにしたのをコップに入れ、
 その上に適当に蜂蜜を入れ、浸透圧によって出てくる
 エキス(上澄み)を飲む)
私は健康なんだけど、なんとなく飲んだら、よかった。
きっと体内味覚ってあるんですよね。
舌じゃなくて身体でよろしい、とわかる味の感覚ね。
(そういえば、ずっと前なのですが、
 「赤ちゃんにポカリスエットはそんなによい!
 というものではない。あまり堂々と
 薦めるべきではない」という意味のメールを、
 プロの読者の方からいただいていました。
 薦めたつもりはなかったんだけど、
 それもいまいち自信がないので、
 念のためここに書いてみました)
でも、こないだ空港で、赤ちゃんが泣いてて、
お母さんがほ乳瓶を与えてるのに、
(なんで泣くのかしら。おしめも変えたし、
ミルクやってるのに泣いてる)
ってな顔したお母さんの顔の現場を見て、
(水だよ、水!ここ冬だし、空気乾いてるから、
 のども乾くて。今日は大人だって
 生暖かいミルクはきついさ〜!!)
なんて思いながら通りすぎました。
言えないのよね。やっぱり。

11月27日・火曜日 

母の誕生日で、実家に電話する。

このヒト、たまに軽く予言(?)みたいな事を手短に言って
けっこう当ててるんだけど、本人は
(そんなん、誰でもわかるわ)と、軽く言うわけ。
私は「凄い!」と言いたいんだけど、
なんせタームが長いのが欠点。
しかも、私以外の人間はちいとも気がつかないのだ。
(たとえば、横須賀ストーリーを歌ってた頃、
 「山口百恵は、ぜったい自分から引退する。
 この人はそういう人。」とか、
 「この人、クスリやってるもん」と言って、
 その十数年後、その方が逮捕とか。
 「戸川純は、あんたには無理、この人は本物」とか。
 ↑意味不明だけど)。
それで、ずっと昔、
「私って、どうなると思う?」と聞いたら
「火事で死ぬ。」だった。

なによそれ。

でもそれ以来、ずっと
「火の元確認」だけはちゃんとしている、
わけじゃないのよねこれが。
これって、もしも「家族でない他人」に言われたんだったら
きっと気にしてちゃんとやってるんだと思います。
そういうものなんですよね家族の言葉って。なんでか。
でも、いつか、
「あ、当たったよ、か、母さん、、、」パタ。
なんて日がくるのかしら。

11月28日・水曜日

「ズデビア」のCM。なんでこういう事が思いついたのか。
笑ったわあ。草刈さん。
うまいとそれだけで、なんでかおっかしいですよね。

話は変わるのですが、こないだ、
長渕さんとそういう事があったのだけれど、
これが、ですよ。
前半までを人に話すと、その人はめちゃ目がキラキラして、
「で?大丈夫!?助けるし!」みたいな心配顔になる
(すぐ電話かけてくれた人もいた)のだ。
ところが、
「大丈夫だった・いい人だった」って話になると、
ふうん、よかったね、、、。
と、あっさり「解散」で、言葉と裏腹な、
低ーい温度で終わるのだ。

この(、、、。)の、そこにはなんか、
ぜーったい(チェ。なーんだ)みたいな、
(長渕も、丸くなったな。)みたいなニュアンスが、
確かにあるんです。ホント。

で、私は思いました。
きっと私だって聞く側だったらそうなるだろうけども、
人は実は野生の部分で、
格闘や対決を見るのが大好きな生き物なんだ、って。

大きな話になって申し訳ないけど、
戦争が長い歴史上、いつまでたっても終わらないのは、
案外ここに底辺があるんじゃないでしょうか。
こんなにストレートにハイになる。
快感がどうしようもなくある。

「戦争」を反対してる人は、もしかして単に
『平和を!』と、求めてるだけではなくて、
(我々は実は殺人劇が大好物な種族なのだ。
 だからこそ、やめんといかん。いいかげん変わらにゃ!)
という意図もあったのかしら。

11月29日・木曜日

ビバリー。
そのあと高田先生とラジオCM撮りを
ちょこっとしたんだけど、その休み時間にめちゃ笑った。

と、いうのは高田さんが休憩時間からもどった場所を
間違えてしまい、それがたまたま
「ケミストリー」のメンバーのスタジオブースだったのだ。
(スタジオってどこも似ているので、
 まちがえやすいんだけど。)

私にはそれだけでもおかしかったのに、
一瞬、なんだ?と、驚いているメンバーに、
「あ?ここじゃないの?君ら、あれか。インディーズ?」
と、指をさしたのだ。
来月は紅白出る、と決まったばかりの彼らに。
「すみません、ホントに!ウチのが、もう!」と、
しゃしゃり出てあやまった。

11月30日・金曜日

(この日ではないのだけれど、)
今の野村沙知代さんの報道、
すっごく恐くないですか?
逮捕、となったらいっせいにバッシング。
しかも映像が、果てしなく長い。
こないだまでちやほや、いちおう低姿勢で出てたのに、
せえの!で、きびすを返すように、
これが社会ですから!って
胸はって叩き出すところがすごく恐い。

私も正直、この人は嫌いだけど、
こういうあからさまな「失態を犯した」って時に、
もう一回(ほれ、このヤな発言も思い出して御覧!)
なんつってまた見ては叩くのって、
ヒューマニズムのかけらもない気がするのよね〜。
おまえが言うな、って話なんだけど。
だってああいう、やに強気な態度に、
「へきえきしたい」って欲求を
満たしてくれてた人でもあるじゃない?
ついでに書きますが、ケニ−さんとのやりとりの電話で、
途中、なぜだか野村さんが、ふと
『あのサ、この電話、誰かに聞かれてない?』
なんて聞くところが、何度繰り返し聞いても恐かった。
録音なさってたケニ−さんの気持ちになると、まず恐いし、
そのカンが何からくるのかが微妙に恐い。
きっと、声のどこかに他人行儀な何かが、
出てたんでしょうね。

人間の証明、という映画を思い出したりして。
逆、なんですけどね。あっちは母をかばうんですけど。

2001-12-17-MON

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