SHIMIZU_MICHIKO
清水ミチコの試供品無料進呈
(秘密厳守)
2000年5月の日記

第141回

5月1日・月曜日
スモークサーモンに、しそとクレソンを入れたごはんで、
押し寿司を作った。
やればできるさー。
アントニオ猪木も言ってませんでしたか?
来ればわかるさー、でしたっけ。
とにかく、「実行」という意味でしたよ。

深夜はビデオで「永遠の仔」。
このテレビドラマにはまったんだけど、
初回で、濃厚なエロシーンがあり、
コドモの前で見るのにどうもいたたまれず、
2回目あたりからビデオで撮って見る事にしたのだ。
私の小さい頃、
テレビでこういうシチュエーションになると、
両親は別に平気、という顔をちゃんと作ってたようだった。
「ちゃんと」と、顔に書いてあるんだけど。
皆さんはどうでした?
あれ、困るのよね。子供も大人もお互いさー。
私は「つい」、みたいな顔でチャンネル変えてんだけど、
これもまた不自然なんだよね。
「ちゃんと」って顔しているのって、
これまたいっそう恥ずかしくて、できゃしない。
踊りたくなる。

それにしても、この心理ドラマの合間に入る
「そば焼酎・雲海」のCM(ドラマ仕立て)は、
歌も浮いてておかしい。
一服の清涼剤、にしては、映像がくすんでるんだけど。

5月2日・火曜日
仕事の帰りに本屋さんで「永遠の仔」を上・下刊買う。
下刊は売り切れまじか、という品薄で、
残り2冊しかなかった。
みんな、考える事は同じなんだなあ。

そのあと、事務所で雑誌のインタビュー1本。
編集者の話によると、
「占い特集」をやると、毎年必ず売れてるんだそうだ。
それに気をよくして、
「星座別」に分けて、本を出したところ、
ある一つの星座だけ、やたら売れたんだそうで、
ニヤニヤした。その本だけ再版までしたそうだ。

「どの星座なんですか?」と聞いたら
「ああっ、なんだっけ。思い出せない」のが惜しい。
じゃあ、コバカにしてた、星座による違いって、
やっぱりあるのかしら。
などと書く私も週刊誌の最後にある「占い」って、
あると読んでしまうタイプ。
そして、当たってるところを自ら見つけたがる。
「まわりの目を気にしがち」なんて書いてあれば
「だよね?」なんて自分に確認したりして。
誰だって多少、気にしてるもんなんだけど。

ついでに手品なんかも、
「ぜったいばらしてやる」という風に見るのは
好きじゃない。
「できるだけ大目に」見たい。
「そんなあなたは、ロマンティスト」
なんて書いてあれば、また「だよね?」などと思いたい。
結局言葉なんだなあ。

5月3日・水曜日
NHK「渋谷・原宿ポップストリート」生放送。
個人の携帯の着メロを、
カラオケや手品のBJMなどにして披露するアイデア合戦、
意外とおもしろかった。たるんだ。

帰った夕方、さる若手お笑い芸人さんと会って、
テレビについての相談を受ける。
でも、聞いて話してるうちに、
“あなたの方がぜんぜん凄いじゃん!”と、
なんだか答えにくくなった。
私なんかさー、と言いたくなってくる。情けな。

でもそこは先輩。
自分がこの人だったら、と、立場をイメージし、
こうしたらどうだ、なんて言葉が出てくる。
それにしても、本当に芸能は
自意識過剰な人にむいてるかもしれない。
マゾでサド。
まちがいなく売れているのに、
これじゃダメだ、自分は甘えてる、と否定する。

あとで考えたら、相談というものは、
実は“自分の中で言葉に変える”って事で、
もう解決できている、に近くて、
占いの言葉みたいなもんでいいから、
あとひと押しをして欲しい、
という欲求なんじゃないかなー、
なーんて思った。
だから、占いはずっと売れてるんですかね。

5月4日・木曜日
ニッポン放送で「ビートルズ特集5時間生放送」を、
「ビートルズ展」をやってる西武百貨店で。
放送前にその「ビートルズ展」を見にいったら、
そう知らないくせに好きになってきて、
時計など買ってしまった。
デザイナーにも恵まれていたグループとか? と思った。
リクエスト1位の「イマジン」は、
ピアノのイントロで、
伝家の宝刀をゆっくり抜くところ、
ってカンジだった。

5月5日・金曜日
テレビ生放送。
ゴールデンウイークの休みが、ちっともないみたいだけど、
これはこれでたいへん楽しいもの。
空いてる都内の道路をスイスイ走ると、
それだけでもシゴトってカンジがしない。

コドモは、友達と
「渋谷の児童館」に遊びに行ってきたらしい。
たまたま、今日が「こどもの日」って事で、
NHKのテレビカメラが回ってて、
ちらっとインタビューなどが映ったらしい。
事前に親に電話をして、ビデオに撮っておいて!
と、頼んだ友達、「頭の回転がいいよ!」と感心していた。
おまえはなんで電話しなかったの、と聞くと、
「思いもつかなかった!」。
そんなところすら、おまえはいい!
と誉めたくなるから、
やはり親はちょっと理性を失う生物らしい。
その時、みんなが照れてるので、アナウンサーに、
「映るんだからコドモらしく、
 自然に、ノリノリで歌を歌お!!」
と、何回か言われたらしく、
「こんなカンジか!」と、
今ごろになって目と口をパッチリさせてなぞっていた。

2000-05-20-SAT

第142回

5月6日・土曜日
ラジオ生放送とテレビ収録。
こう書いただけで、なんだか忙しそう、
と見るのはちょっとまちがってる。
こういう職業について実感したのは、
意外と暇があるんじゃないか、って事でした。
これは感じ方の違いみたいで、
時間的にはよく考えると、よほどの人でもなければ
誰もそんなに時を拘束されてない。
ただ、待ち時間や移動時間が長くかかる時があるから、
この時間にホッとできずに
拘束やらストレスを感じたとたん、
「私はずうっと忙しい! キー!」
って思わずにはいられないような。
短い時間に集中する、ここにだけ仕事が存在するようだ。
この職業に限ったことじゃないか。

5月7日・日曜日
原稿をたくさん書いた。
そのあと自転車で家族で散歩。
途中、大山町周辺にきたら、
すごい余裕な家がたくさんで、見ごたえがあった。
しかも車もこなくてずうっと静か。
私の田舎よりずっとしーん、としてて、
自転車のベルを鳴らしたら、
何事ですか! というような音になって響いた。
4こぎしても足らない敷地って凄い。
「清水ミチコの豪邸拝見!(外観のみ)」。
そのあと本屋さんで、しばらく家族解散。
立ち読みしてたら隣の人、ぜったいおならしてた。

5月8日・月曜日
小学校の親睦会。
なんで、こんな日にシゴトが入ってないんだー!
また「何かやってくださらない?」と頼まれた。
ひゃー。
私も断る理由をうまく考えておくんだった。
おろおろしてんの。
そのうち、
「忌野清志郎さんも、以前に歌を歌ってくださって……」
と聞いて、
またそうやって例を出すんだから、もー、
などと思いながらもちょっと驚いた。
「お近くにお住まいなんですか!」と、
即座に聞き返していた。
そのあと、事務所で番組打ち合わせ。
まだ企画段階なので、通るかどうかわかりませんが……、
という事だったが、
もし、通ったらいいなー! という内容。
別れ際に振り向き、
「がんばってくださあーい!」と
18歳の声で上機嫌で手を振った。

5月9日・火曜日
スタッフの中川さん、
ついこのあいだ誕生日だったと知り、
コドモもお邪魔させてもらって、みんなで食事に。
最近なんだかんだと理由をつけてはすぐ食べに行く。
久しぶりに「カルツオーネ」(オムレツ型のパイ皮の中に
チーズを溶かしてあるピザ)を食べた。
ちょっと太ってはやせ、
やせては太る繰り返しをやってるようなもんだから、
「一生ダイエット中」みたいな人生だなあ。

5月10日・水曜日
顔マネ、一気に4人やってみた。
1カ月に1人、やれやれと腰を上げるより、
こうして一気にたくさんやっておけば、
夏すぎまで〆切も恐くないんだった。
なんで気がつかなかったんだ。

似てないのもあったけど、藤原紀香バージョンは、
はははは! とできた顔を見て自分で笑った。
あまりにも似てないからおかしい、んじゃなくて、
そっくりでおかしかったのだ。本当だよ。
今度は本当だ。
そのうち出る宝島を立ち読みしてください。
っていうか買ってください。
そのあと、ビバリーの歓送迎会へ。
松村さん、バイトの女の子に
「キムタク似てない」とさらっと言われ、
「カンジ悪いなー」と、しょげていた。
似てない、という言葉に過敏な職業。

2000-05-25-THU

第143回

5月11日・木曜日
ビバリー。
タクシーの中で、運転手さんに
「驚いたー、清水さんか。
 放送、なんだかわからないけどホントにおもしろいよ。
 木曜日を楽しみにしてるんですよ、
 でも本当は歌手なんでしょ?」
と言われ、誤解すらものすごく嬉しかった。
ラジオを聞いてくれてる人って、
テレビの数倍ありがたいカンジ。
あれがおもしろかった、
この時がよかった、など細かく言ってくれて、
車内で一人で聞いてるのがもったいなかった。
この意見こそ録音して放送したかった。
ってな日常の小さな喜びを、
恥ずかしげもなく思いっきり言える、
という事ができる場所は、このHPだけ。

5月12日・金曜日
CX「どうなってるの?」ゲスト。
車を降りるとき、隣で吉田照美さんが
白のベンツを運転してるのが見えた。
「おっ。白のベンツ!」と、(そのまんま)言ったら、
みるみる顔が真っ赤になり、
「どうもすみません」とでも言いたそうな表情で、
「いやいやいやいや」と、謙遜に手を左右に振った。

この回、梓みちよさんもゲストだったんだけど、
スタジオに入った私のTシャツ見て、
「まさか、あなた、
 その服装のままで、放送にお出になる?
 着替えなさいますんでしょう?」と、
目をさらに丸くして驚いておられた。
うーらみっこなーしでー。

5月13日・土曜日
小林克也さんと4時間の生放送。
夜、身体は眠りたそうなのに、神経は眠れないまま。
こんな程度でもそうなっちゃうんだから、
クスリに走る芸能人には同情しちゃう。
でもダメなんです。
タバコでわかった。
中毒になりたがる身体なんだってことが。
結局、タバコを離せない私。
初期の頃、桃井かおりになって
「そっくりじゃん」と、思いながら
ふかしてたのが悪かった。
「ニコチンパッドがいかに効くか」
という知り合いの話を
興味しんしんでメモしながら聞いた。
学習せずに繰り返すニコバカチン。

5月14日・日曜日
母の日なんだからさあ、と言って、
久しぶりに私の好きなお鮨屋さん「小笹」へ。
のんびり食べてたら、
隣に座ってきた一人の若い男性がいた。
その食べ方が、なんとも印象的だった。
映画「たんぽぽ」を思い出した。
ちらっちらっとさりげなく見てただけなんだけど、
「次は…………、づけを、一カン」と、
よーく考えて注文する。
そして目をつむって食べるのだ。

目をつむってから、一噛み、一噛み、という姿は、
味覚を“記憶する”という行為に見えた。
まるでピアニストが演奏しながら
音を吸収するかのように、
動きながらも静止してるようで、
神聖な行為を邪魔してはいけないと本当に思わせたのだ。
お茶とともに、計8カンほど食べて、
静かに帰っていった。

しばらくして、
「今の方は、よく?」と訊くと、
「うん。ひと月に一回ほどでみえるんだけど、
 食べることが大好きなんだって」
ということだった。
目をつむると、きっと何かが冴えるんだろうなあ。
みんなとガヤガヤ、楽しく食べるの大好き、
なんてのもわかるけど、
なるほど、食べるという行為は
実は孤独でいいんだなあ、なんて思った。

5月15日・月曜日
番組打ち合わせ3本。
だんだんめんどくさくなってきて、
最後のは「そのまんまで全然いーすよ」と、
アイデアも出さずおまかせにした。
これが、あとであんな目に会うとは。
次号をお楽しみに。

2000-05-28-SUN

第144回

5月16日・火曜日
ロンブーの番組へ。
そのあとセイン・カミュさんとコンビで、
「クイズ・ところ変われば」。
優勝して「キャビアとフォアグラのセット」をいただいた。
「もし優勝したらみんなに配ったるか」
なーんて思ってたんだけど、
いざもらったら合計4缶のみだったんで、
うちのスタッフとこっそり地味ーにわけることにした。

フォアグラって、
切ってからさっとあぶった方がおいしい、と
何かの本に書いてあったけど、
キャビアはどうやって食べるのがおいしいのかな。
とゆーか、まず、どういう食べ方するのが常識なんだ?
キャビア・ウーマンとしてはさ。
しーん。

5月17日・水曜日
サンプラザ中野さんとモバイルの雑誌の対談。
物知りだったので驚いた。
そういう系の専門学校にも通っておられるらしい。
どんどん知識を増やしていくのがホントーに楽しそうで、
好きな趣味を持てていいなあ、と思った。
アドレスを交換して“何回まで飽きずに交換できるか”
始めることにした。
ヤノッチは緊張して、
ファンです、の一言が言えなかったらしい。

夜、また古い友人から電話がかかってきた。
ずいぶん久しぶりだけど、話し込んだ。
人は一人一人がドラマチックな人生ですなあ。

5月18日・木曜日
ビバリー行って、メレンゲへ。
途中、お昼に餃子専門店へ。
「なんか油っぽいものが食べたかったあああ」、と
野獣むきだしで言いながら、餃子をはふはふ食べた。
夜は、コドモにはレタスとベーコンのサラダを作らせ、
私はごはんを炊くと同時に、米の研ぎ汁を鉢にやり、
ししゃもを焼きながら
お味噌汁と茄子のひき肉炒めを作った。
集中。
横で「む、無言だね」、なんて言われた。そうさー。
途中、「スパゲッティにした方が、時間が短縮できるわ」
なんて思ったんだけど、
もうお米を研いでたんで却下した。

そういえば嵐山光三郎さんの本に、
「貧しい時はまずお米、と思う人がよくいるけれど、
 実はスパゲティの方が単価が安いものである」
と書かれてあって、びっくりした事があった。
そんなこと、考えもしなかった。
でもそう言われてみると、
お米というものは、いついつまでも安いものと
ずっと思ってたのだった。

5月19日・金曜日
今度の運動会、コドモのクラスでは
「組体操」をやる事に決まったんだそうだそうで、
「やっぱりか!」と、予想が当たって少々ガッカリ。
「組体操」は毎年、他の学年ので見たんだけど、
いちばん“意味ないじゃーん”ってカンジ。
先生の笛がピッと鳴る号令で、
生徒全員がきちっと固まる姿が、
「ああ、まだ戦時中をひきずってる」って気がするのよねー。
やっぱりいいのはリレーリレー。
遅くても速くても感動する。


5月20日・土曜日
「ジャングルTV」の料理のコーナーに出て、
ボロカス言われてしまった。
打ち合わせの時、レシピを見て、
妙なメニューだなあ、なんて思ったんだけど、
「こういうのはどう?」なんていうアイデアも出さず、
そのまま「オッケー!やるやる!」と
言った私がバカだった、と今日になって思った。

でも、いっせいに
「まずい!」「ゴミみたい!」と、
思いっきり他人から言われるのって、
あんがい快感だった。
もっとまずい、気持ち悪いものを
ていねいに作るんだった。私ならできると思うの。
そして、自分を信じるって、
きっとこういうことだと思うの。

2000-06-04-SUN

第145回

5月21日・日曜日
コドモのクラスのあいだにも、
いろんなあだ名があるようなのだが、
一人、男の子で「高橋様」というのがあるらしい。
笑った。
いったいなんで「様」がついたのか、聞いたところ、
「女子にはわからない」と言われるのらしい。
とにかく、男子のあいだでは
だんとつ人気でそう呼ばれていて、
ある女の子がそのあだ名の理由をもう一度聞いたところ、
「あの方は素晴らしい」
「高橋様の思いつきやアイデアは、突拍子もなく凄い」の
一点張りなんだそうだ。

私は小学校の頃からずうっと「ミッちゃん」で、
中学「ドシミズ」、高校「ミチコ」、短大「おじょー」
そして、今また「ミッちゃん」にもどった。
コドモからだけ、ときどき「シミッちゃん」。

5月22日・月曜日
シゴト。
そのあと知り合いと会い、
「映画」から話がそれて、「恐い話」をしてたら、
誰かからのまた聞きの話だけど、Iさんという人の、
こんな経験を思い出してしゃべった。

Iさんが高校だかの頃、
「あなたにもできる催眠術」という本を
通信販売で買って、さっそく友達にかけて、
「さあ、あなたは今、10歳です」と言ったと。
そしたら本当に友達が10歳くらいの言葉で
しゃべったので、感心しながら、
「今度は5歳になります」と言うと、
やはり本当に幼い様子になったと。
そうして調子に乗ってどんどん年齢を下げてって、
「赤ちゃん」から「おなかの中です」、
「もっと前」と言ったあたりで、その友達は
なぜだか急にぶるぶると震えだして寒がりはじめ、
それを見たIさん、さすがに急に恐くなって、
すぐに中断したそうな。

私はこの話を初めて聞いた時、ホントーに恐かった。
とくに「急にIさん自身が恐くなって」
というところが、恐かった。
でも、じわっとくる話ですよねえ。
そのまま催眠術が消えなかったら、と想像すると、奈落。
ひゅー。

5月23日・火曜日
都のドラマ収録。疲れたー。
長い待ち時間にたいくつしてコンビニへ。
疲れてないんじゃん。
そのついでに、私よりも疲れてる子役の子供に、
「クレヨンしんちゃん」を買って、
「読めばあ」と、貸してあげたら、
「今の声、しんちゃんに似てた! 読んで! 読んで!」
と言う。
しかたがないので、「みさえ」になったり
「ひまわり」になったりして朗読。買うんじゃなかった。
横でヤノッチが「全部、似てねー!」と、笑っていた。
あんたやんなさいよー。

5月24日・水曜日
今日、マクドナルドに久しぶりに行ったら、
これまた久しぶりの光景を見た。
なんと、あの店員さんの明るく素早い質問に、
「ついて行けない、英語、なんなの、やめて、あせる」
といったカンジで立ってる、
しょぼくれた高校生がいたのだ。
よくよく見たら修学旅行生。
顔、真っ赤。かわいー!
まだいたのねー。

5月25日・木曜日
CXの番組に出て、その足でニッポン放送ナマへ。
そして日テレ終わってからロケへと、やたら忙しい一日。
「売れっ子気分っすねー!」とヤノッチ。
“気分”はいるかな。“気分”という部分は。

オットが作ってた夕食、
妙に、おにぎりがずらーっと並んでいて、
どしたのこれ、と言ったら、
「明日、コドモが弁当持って行く日なんだけどさあ、
 ちょっと握ってるうちにおもしろくなってきて、
 止まらなくなっちゃったんだよ」と言ってた。
そんな事ってあるのか。
中に入れる具もいろいろ試したんだそうで、
しらす入りに、納豆入り、昆布のつくだ煮入り、と
やたらあった。
納豆入り、ひどかった、と自分で言っていた。

2000-06-10-SAT

第146回

5月26日・金曜日
今日、局のメーク室にいたら、いきなりゴキブリが出た。
そしたら、メークさんが落ちついたまま、
ヘアスプレーでシューッ、と一吹き。
驚いたわあ。
固まる姿、じゃなくて、その落ちつき。メークさんの。
それを言ったら、本人も笑ってたけど。
固まりながらって、すごい刑だった。
にしても、驚いた時に「キャーッ!」と、
本当に声として出すタイミングは難しい。
いつも瞬時に「ひいっ!」と息を吸ってるだけ。
今日もやっぱりできてなかった。
「キャーッ!」は、かれこれ10数年ほど
言ってないであろうか。

5月27日・土曜日
朝、生放送に出て、夕方コドモと図書館へ。
もうすぐ館内の内装工事が始まるんだそうで、
一人につき10冊借りていいですよ、と言われた。
結局二人で6冊借りたら、
こぐ自転車がけっこう重い気がした。
20冊も借りないでよかった。
頑張ってスーパーに寄って、よたよたしながら買い物。
コドモ、このあいだから
「変わりたい! 自分を変えたい」のだそうだ。
どう変わりたいの、と言うと、
「うん、いろいろ」。

5月28日・日曜日
朝7時、電話がきて、
「今日の運動会、雨天になる可能性が大きい、
 とのことで中止です」という連絡網が回ってきた。
電話を切って、連絡を回してから、ぶち切れ。
作った卵焼き、どーしてくれんのよお!!
晴れてるじゃないのおお!
ずっと前からシゴト入れなかったのにいー!
火曜じゃ行けないんだよおー!と、叫ぶ。
コドモもしょげ返ってて、
せめて居間の真ん中にシートを敷いて、
そこに座ってお昼にした。
沈黙の抗議。逆ガンジー。

5月29日・月曜日
放送作家の友人が、
「清水さん、株やらないの?」と聞く。
「やらない。よく知らないし」と答え、
そこから株の話になった。
その人の知り合いは、一気に儲かったんだけど、
それからというもの、どうも“心ここにあらず”
みたいな顔になって、新聞見るときだけ、
イキイキ輝きだしたと。
そのうち「値上げか、値下げか」、
毎日そればっかり気にしてるってヒトになったんだって。
最近、私みたいなもんですら、「株」という字が、
本屋さんでも新聞でも、やたら目に入ってくるもんね。
きっと、儲かったならもっとやってみたいと思うだろうし、
ソンした時は名誉挽回、とばかりに、
止まらずにいられなくるんでしょうな。
トランプの「大貧民」やった時を思い出した。

5月30日・火曜日
コドモの運動会、シゴトで行けず。
本来は普通の授業の日だったので、給食があり、
お昼は全員教室で食べたそうだ。
でも「ジャージャー麺」と、「バターふかし芋」に
「甘夏みかん」だったんだそうで、
ちょっとよかったじゃない、なんて思った。
バランスがようござんす。

夜、コンビニで買ってきたアイスバーを食べたんだけど、
ふと鏡に写った自分の姿を見て笑ってしまった。
なんか、大人が「棒つきの食べ物片手に」っていう姿って、
ものすごく知能が下がって見えるのだった。
まじめな顔でもダメ、ニッコリ笑うと、なお強調され。
オットに持たせて、さらにそれを確信す。

2000-06-15-THU

 
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