SHIMIZU_MICHIKO
清水ミチコの試供品無料進呈
(秘密厳守)
2000年3月の日記

第129回

3月1日・水曜日
きたねー。花粉症の季節。
くるしいくるしい。
そんな中だけど、ちゃんとシゴトをし、
夕方、コドモの家庭科の宿題のつきあいで、
野菜炒めを一緒に作ったです。
ピーマンと、キャベツと人参、
と、緑、黄、赤の3色をちゃんと入れてね。
にんにくはやめたね。
ついでに久しぶりにいちおうエプロンしたんだけど、
これって普通やっぱり、みなさんやってるもんなんですか?
私は正直言うと、撮影の時しかつけてないもんで、
肩がこった気がした。

3月2日・木曜日
LFの帰り、ヤノッチと、代々木八幡にある
「ハシヤ」のスパゲッティを食べた。
私の実家は、もう25年も「壁の穴」という
スパゲッティのチェーン店をやってるんだけど、
そのお店を始めた当時、
「ハシヤ」というお店はライバル、というか、
「茹で上げスパゲッティ専門!」っていう店が
そこくらいしかなかった時代だったので、
なんとなく競い合うような雰囲気があったのだった。

「壁の穴」では「フォークにスプーンで!」というのが
斬新だったのに、こっちは「箸で食べる」というのが
かえって新しい! みたいなカンジで。
メニューもすごく似てるんですよね。
私は「あさり・しいたけ・納豆」が好きなんですけど、
ここでも注文したら、感動的においしかった。
やっぱりスパゲッティは、麺が太くなきゃね。
「ハシヤ」さん、「フォークにスプーン形式」に
変わってたようだった。時代だねえ。

そういえば、数年前、周富徳さんと御一緒した時、
周さんに、ウチの実家の話をし、
「茹で上げって、やっぱり時間かかっちゃうもんだから、
 お客さんに『まだ?』なんて
 聞かれるらしいんですよねー」と言ったら、
「ミッちゃん、それにはいい方法が、ひとつだけあるよ」
とじっと目を見ながら。
「ぜひ、教えてください!」と言ったら、
「それはね、朝から茹でておくんだよ」だった。
周さん、もともとすごいせっかちなのを知ってたので、
そのアイデアがおかしかった。
「茹で上げじゃないじゃん!」と笑ったら、
「お客さんには、わかんない」と、自信ありげだった。
そら、いろんなこともバレるわ。

3月3日・金曜日
NHKの番組の打ち合わせへ。
そのあと、日テレのナレーションをして、
MXの「シネマラウンジ」という番組で、
「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」について話す。
私の前にしゃべってた方がGACKTさんで、
男なのになんてきれいな肌なんだ、
どんなクリーム使ってるんだ、とヤノッチと。
しかもすごく話し方が、ぐーっとローテンションで、
ロマンに溢れてた。

そのあと、武道館のキヨシローさんのコンサートに
間にあった。オープニングのVTRで私の顔も出た。
すごくいい曲を、
こんなにたくさん作っておられたんだなー。
ロリータ18号による、
不思議な「僕の好きな先生」が特に好きだった。

アンコールの陽水さんとキヨシローさんのデュエットは、
聴いてるだけでモノマネ欲が沸いて沸いて
しょうがなかった。
独身だったら、カラオケに走った。

3月4日・土曜日
LFで生放送。
「プレイステーション2が当たるよーん!」と言ったら、
こんなにたくさん10代のリスナーがいたのか!
と思うほどのFAXと電話がばんばんやってきた。
今までで最高の数字だった。
いつもください。
Dの伊藤さん、これをGETするために、必死だったそうだ。
一人の努力がこうしてまわりで実を結ぶ、
の見本のようだった。

午後から、NHKで三宅アナウンサーと、
「お国言葉研究所」という番組の司会。
ヒップアップの島崎さん、(NHK的な仕事に)
あまりにもアップアップしてて、つっこむ。
NHKはなんというか、タレントは特に
思考回路を一回、ちゃんと変えてから
くくって出ないと、難しいところがある。

木野花さんの東北弁、さすがうまかった。
うまいと言われてもなんでしょうけど、
流れるようで音楽みたいだった。
一般の沖縄代表の方(美男子)、
リハの時、私の目の前に来て、
ぺろっと中に着ているTシャツを出して見せてくれた。

その柄はなんだったかというと、「ほぼ日」のサル。
いっせいに盛り上がったので、隣にいた三宅アナが
「何なんですか、そのデザインは?」
と、不思議そうだった。



3月5日・日曜日
休みの日曜日。
明日っからのテレビ用の洋服を買いに、
自転車で下北にでも出よう、と予定してたんだけど、
やめて、部屋着のまま一歩も外に出なかった。

ハムスター出してゆっくりすごす事にした。
コドモ、学校の「将来の夢」のところに、
「ペットショップの店員になりたい」と書いたそうだ。
夫と二人、夕方からビールを飲みながら、
夫の料理する姿を見つつ、つまみ食いなどする。
夜、メールのやりとり。

2000-03-14-TUE

第130回

3月6日月曜日
TBSで生放送のあと、番組のロケで、島崎和歌子さんと、
私、ハイヒール・モモコさんとの3人で、
都内の一流ホテルめぐり。モモコさん、
全身シャネルで現れたので、
「それってもう、ネタじゃないの」と私が言うと、
「そやねん。シャネル、シゴト着やねん」と言ってた。
高い仕事着があったものだ。
島崎さん、さっそうと大きなロケ用バッグを
肩にしょってて、さすが、「ロケ慣れしてる」ってカンジ。
超豪華なホテルで、優雅なフランス料理を食べるシーンで、
いっせいにがっつく。3人とも(このほうが楽しい)と
意見が一致してたかのようだった。
そしてまた、夜、一流料理を食べる。政治家とかって、
こんな豪華な食事を毎日しているのかしら。
そうとうしんどい事だねえ。


3月7日火曜日
午後、TV打ち合わせ。終わってお蕎麦やさんに行ったら、
「土曜日の朝の放送、いつも聞いてるんですよ!
 あれ、いいわよ!」と、注文を取る女性に嬉しそうに
言われて、照れながら喜んだ。私もかつてはバイト先の
ケーキ屋さんの厨房で、ラジオを聞いてたもので。
パイを練りながら「ああ、もう毒蝮さんの出る時間か、
じゃあ、もうスポンジが焼き上がるな」、なんて
時計変わりにもなってたなあ、と、思い出した。
この頃、特に内心ラジオに出てみたかった時期で、
(私ならこう答える)(こうすればもっといいのに)
などと、しょっちゅう一人で考えながら作業してたんです。
で、そうやってこの頃思ってた事が、けっこう今になって、
役に立ってたりするんですよ。
食後、ニッポン放送に行って、
「マジカルミュージックツアー・清水ミチコ編」に出る。
ところが、主役で座っているのって、どうも居心地悪くって
しかたない。しゃべりもあせりがちになるし、
ホント、サブでいる立場の方がずっと落ちついていやすい。
バイトでラジオ聞いてた当時、「主役でペラペラ話す自分」
をイメージをしていればよかったかも。

3月8日水曜日
また月曜日のトリオで、ロケバスで都内を移動。
実はモモコさんの事、(ちょっと下品な人)なんて
思ってて、正直言うと、あまり好きになれなかった
タイプなんだけど、まったく私は上っ面でしか
人を見てなかった、と反省させられた。
ホント、させられた、ってカンジ。とにかく、移動中も
携帯で、大阪のベビーシッターさんに、
「今、子供たちはどうなっとん、そうか、おおきにな。
 夕食はこれとあれが冷蔵庫にあるねん、ほんで、
 それらをやな、こう煮ればマーボー豆腐そっくりに
 なるやんか、うん、それをな、ごはんにかければ
 ええやん。賞味期限? アホか、あんなん全部嘘やで。
 大丈夫に決まっとんやん、読まんとき。
 あんた神経質やから」
などと、まったく一言一言がたくましい。
あまりに太く暖かく、生活感があり、
ふと聞いてて涙ぐんだほど。
ここをカメラで映した方が、ロケよりずっといいくらいで、
「あなたのようにオープンな人は見たことがない、
 私なら隠れて電話する、今のはちょっと感動した」と、
褒めちぎった。しかし、そのあと「最近腹が出てきたねん」
と言ってみんなに腹を見せまくったので、
「心の窓を開きすぎても、困るの」とその腹を隠しながら
注意した。


3月9日 木曜日
ロケの続きで、「モンローとディマジオが新婚旅行で
とった」、という某ホテルの朝食を3人で食べ、
一人抜けてビバリーとCBCへ。そのあと、またロケに
もどって「マニキュア専門店」で爪を塗ってもらう。
あまりに気持ちよく、睡眠不足も手伝って、
寝そうになった。お姉さんがおっしゃるには、
「やはり、リラックスするのか、よく塗られながら、
 うとうと寝てらっしゃる方も多い」のだそうだ。
皆さん、たいへんなんですね。まるで手タレのような、
すごく美しい手になった。でも、完璧な爪でいると、
疲れるもんだ。ハイヒールをずっとはいてるみたい。
爪も呼吸してんだなあ。

3月10日金曜日
顔マネ含めて、〆切6本。「〆切、6本ね」と自分に
言い聞かせた時、脳味噌は「無理」と出て、
心では「楽勝」の文字が、同時に出た。
こういう事ってないですか?
たぶん、人間は本当は何でもできるように
なってるんですよね。きっと。窮地ではとくにそうですし、
そうでない時は、なんでだか脳に従ってしまいがち。
脳って頭いいもんだから、しゃれのように「NO!」
(危険信号)を、点滅しがちなんですよね。心配性なのよ。
でもマインドは、いつも(私、できる気がするし、
やってみたい!)と小さな声でささやいてるみたい。
「忙しい」って字って、心を亡くすって書くじゃない
ですか。すごくわかる気がする。
昔の人もそうだったのかな。「私は今、忙しい」と、
感じただけで、脳にたよりたくなって、
心なんてどうでもよくなるもの。
私はよく、(今が対戦中だったら)と仮定するんだけど、
心が強いと、弾もスイスイよけられそう。なんて書くと、
叱られるのかな。

2000-03-22-WED

第131回

3月11日・土曜日
今日も朝7時から生放送だー!! 起きろー! 俺ー!
ってカンジでニッポン放送に到着。
しかし、太陽を浴びて、元気にならない方が難しい。
らしい。本当に元気になれた。

夕方、夫に車で送ってもらい、
矢野顕子さんのジァンジァンラストコンサートへ。
かつて、「ユーミンは過小評価されている」
という出だしで始まる渋谷陽一さんが書かれた一文を
読んだ事があって、
ああ、名言、こんな言葉をもらったら、
本人はどんなに嬉しいもんだろうか、
なんて思ったんだけど、考えてみたら矢野顕子さんは、
過剰でも過小でもなく、本当にまっとうに評価されている、
めずらしい人だなあ、と思った。

今まで見た中で、今回が一番よかった、と、思った。
毎回そう思ってるのかもしれないけど。
普通は興奮して、息が少々荒くなるんだけど、
今日は息を押さえて苦しくなった。
一緒に行った人から、顔、真っ青なんだけど、
と言われた。

3月12日・日曜日
日テレ「ズームイン朝! スペシャル」へ。
三上寛さんを生で見た。
「私は知ってる・この方の伝説の・
 教官のモノマネ・聞いたことないけど」と、
まわりの人に言いたいが、言う人も見つからず、
ヤノッチに説明した。
そうっすか。はあ。と困ったように返事していた。

メーク室で柴田理恵さんと話をしてるうち、
彼女は富山にいた高校の頃、夏休みによく
高山に遊びに行ってたそうで、
偶然わたしは、高山にいた頃の夏休みに
富山に行ってたことがあり、
じゃあ、すれ違ってたかもしれないんだねー。
トシも近いし、不細工な制服姿だっただろうなー、
などとお互いまじまじ見ながら笑って話す。

3月13日・月曜日
TBS「スーパー知恵MON」。
おとといの矢野顕子さんのコンサート、
坂上みきさんも偶然行っておられたのだそうで、
その時ゲストだった奥田民生さん、
作詞の糸井さんについてやや興奮気味に
タメグチのホメグチ(←悪口の反対の意)。
顔を塗りながらの鏡越し目線で。
私は知ってた曲なのに、
「どんなときも どんなときも どんなときも」に
一番きゅーっときた。

3月14日・火曜日
3月に入ってから、重症の花粉症も
ピークに達していたんだけど、ここ数日たまらず、
生まれて初めて注射を打ってきた。
「身体の中に注射で異物を入れる」っていう感覚って、
(副作用が起こらないわけはないさー)と思い、
どうしてもずっと抵抗があり、さけてきたのだ。

しかし、キツネにつままれたよう、とはこのことか、
と思うほどラクになった。
というか、全くこの十年間の症状が失せ、
ノーマルになった。驚いた。
頭の中の霞が消えたみたい。生まれ変わったよう。

注射を迷ってる方、
もうちょっと私の報告を待っててください。
副作用が出るのも、これからかもしれません。
ちなみに私は水瓶座のB型、動物占いではライオンです。
どうです。

3月15日・水曜日
夫、私のさるオモシロクナイ事件で、
某局へ謝罪に行った。いつもすまないねえ。
しかし、今日は細かいシゴトが詰まってた日で、
後半になるほどイライラきた。
私はすぐイライラする。だから
「すぐイライラする性格の人、あるいはせっかち」が
大の苦手だ。
自分の鏡を見せつけられてるみたいなんですよね。
だから一方、「同情できる!」のも人一倍強い。
わかるわー、あなたの気持ち! と言いたくなる。で
も、少しずつ直ってきた、
なんて思ってる今日この頃でいます。

2000-03-29-WED

第132回

3月16日・木曜日
花粉症の症状がまったくないのは、
なんて幸せな状態なんでしょう。
鼻をかまない3月。鼻の出ない春の訪れ。
鼻がついてないみたいだ。つい忘れる。
健康とは常にこういうものらしい。
マスクしたスタッフを見ると、そこではじめて
「花粉症だったころ」を思い出し、なつかしくなり、
どんな感じか症状を聞いてみる。

ビバリーに出て、
午後、「天才てれびくん」の収録で歌った。
また4月からの「なりきりシンガーズ」が
始まったのだった。新しいセットに、新しい衣装を着る。

そのあと事務所でホントコちょこっと収録。
ここにも花粉症がいた。

3月17日・金曜日
打ち合わせと、歯医者さんへ行く日。
このところぷくぷくと太ってきてたので、
今日は一日断食してみた。なんでできたかというと、
夕方からビールだけはよしとしたのだ。
そうすると、アルコールに眠気に襲われる体質の私は
すぐに寝てしまうからです。

食べないでいる状態だと神経は過敏になり、
あんがい元気になったりし、目も冴えますから、
私にはよけいにこれが効果的。
寝てるだけでも、カロリーは消費しているんですよね。
ダイエットって、苦痛なようで、
けっこう快楽に近い状態にもなる。
基本的に、食べることが好きなので、
いつも体重計は2キロ3キロ当たり前!
にすぐ変わる。

3月18日・土曜日
朝、すごくいいウエストになってた。
両手でさわってみればすぐわかる。
今日も断食をすれば、ものすごく理想の体重になる。
しかし、今日はLFで「お宮の月」という、
おいしい熱海のお菓子みやげをいただいた。

腹が減ってるからおいしいと感じたわけじゃない。
ふだんからも「グルメ・板倉」と呼ばれている
スタッフの一人が、「一番おいしい熱海みやげはどれか」
徹底的にお菓子を味見して、選んでくださったもの。
自分一人の舌のためのグルメはいても、
みんなに差し出すおみやげのお菓子に
こだわってくれたところが、グルメとして有能だ。
味の詳しいことを、ブロスに書いた。

こういうスタッフがささえている番組が、
聴視率日本一の瞬間があったらしい。
番組賞をいただいた。
ふだんは「ラジオやテレビって数字じゃないよね」、
なんて言ってる癖に、嬉しくなり、
結局家に帰ってから、肉や野菜など、
やたら食べてしまった。

3月19日・日曜日
ピアノ弾きまくり。
基本的な練習もした。すごくいい気持ちに。
モノマネの練習って、本当にしないんだけど、
ピアノは練習すればするほど上達もするみたいだし、
その時間がぜったい楽しい。
売れない芸人より、売れないミュージシャンの方が
血色など含めていい顔してるのは、そのせいなのかな。
「なんとか波」ってのが脳に出るんでしょう?
そうすると、幸せってのは個人的な楽しみを
どれだけ見つける事にあるか、が、
手っ取り早いのは確かなようですね。
でも、コドモには嫌われる。
2才くらいの時から
「ピアノを弾くママは嫌い」と、言われていた。
確かに、快楽中の行為を止められるのに、
やな顔を返してた気がする。

3月20日・月曜日
TBSで知恵MONへ。
帰ったらコドモの友達が家にきてて、
「ドラえもん」の中に出てくる、のび太のお父さんが
かなり冷たい、と笑っていた。
マンガを見せてもらったら私も笑ってしまった。
ドラえもんが星へ帰ってしまうという時、
のび太はけなげなんだけど、お父さんは
「そうか、帰るのか」とわりあいニコニコしながら
ビールを飲もうとしているのだ。
お世話になったのに! なんて言っていた。

そのあともみんなして、照れたように
くすくすとひじをつつきあってた。
ちらちらと見てる、目線の先のテーブルの上に、
私が沖縄で買ってきた「うこん」が置いてあったので、
「うんこじゃないわよ、うこんうこん」と言ったら
せきをきったように爆笑した。
「うこん飲む? おいしいわようこん。うこん最高」
と言うと、なお爆笑。

2000-04-02-SUN

第133回

3月21日・火曜日
MXドラマの撮影。
撮影班が映画制作のスタッフ勢揃いなのに、
一人もいばってない。
とくに、明るいスタッフが一人いることにより、
現場がとてもいい雰囲気になっていく。
帰りに飛び込むようにして、ヤノッチと武蔵のラーメン。
チャーシューがおいしうておいしうて。
上手に一枚を(麺・麺・肉・麺・麺・肉)食べた。
ここもすごくいい笑顔の店員さんがいることで、
いきなり雰囲気がよくなる気がした。
あとで聞いたら、「いらっしゃいませ!」の言い方にも
こだわってるお店でもあるそうだ。

ここで思い出したんだけど、
バブルがはじけてよかった事の一つに、
「サービス」がありますよねー。
サービス、本当に全体的によくなったー。
あの頃は、客もえらそう、店員さんもえらそうな人、
おたがいに多かったですなー。
はじけてはじめてわかりますなー。



3月22日・水曜日
MXドラマ。そのあと「ごきげんよう」へ。
司会者トリオ、というくくりで、
コージー富田さんがタモリさん、私が黒柳さん、
松村さんは鶴瓶さんになって、と、
始まる前からすでにメーク室から面白かった。
でも、終わってから
「これをリハにして、もう一回やりなおしたかったー!」
と、コージーさんと話す。
別に悪くはないんだけど、なんだかおしかったのだ。
3人とも、完全にメークしてるもんだから、
いつ素になってるんだか、
トークが自分でもごちゃごちゃしてしまった。

終わってからメークを落とそうと、カツラだけ外し、
そのままカツラを手に持って歩いてたら、
小堺さんに見つかり、
「あっ! とても中途半端な人!」と言われ、
(実際そんなカンジ)うまいのと恥ずかしいので笑った。

メークを落とし、さっぱりとした顔で廊下を歩いてたら、
今度は藤井隆さんにバッタリ。
なぜか目があったとたん、一人でウッと、
「弾に打たれた時」のようなポーズをして、
腹を押さえ、しばらく死んでいた。
小堺さんはわかるが、
こっちはいったいどういう意味なのだ。



3月23日・木曜日
ビバリー、横浜スタジアムから生放送。
行く前に新聞を読んだら、
「清水ミチコ・うぐいす嬢に挑戦!」だった。
でも、野球の大切な時期に
そんな許可をもらえはしないだろう、
とタカをくくってたら本当に。

私は門外漢なので、
どのくらいふざけていいものか、と、
Dの橋内さんに聞いてみたら、
とにかく大丈夫、なんて言う。
でも、やってみたらこれがけっこう気持ち良かった。
むいてるんじゃ、と心配するほど。

3月24日・金曜日
スポーツ新聞に、きのうの私のアナウンスで
「やりにくい!」と、怒ってた選手がいたらしい。
しかし、これが門外漢のいいところで、
そんな事を聞いても、「そりゃ、そうだろうな!」と、
シーハーしながら鈍感な自分がたのもしかった。

そのあと「おかず屋さん」収録。
ポテトサラダを見て、カメラさんが、
「あ、俺のベスト1の好物!」と
すかさず言ったので、興味を持った。
私ならベスト100に入ってるかどうか、のラインだし、
ちゃんと自分の中で「おいしいものを決定してた」
みたいなところがおもしろい。

「へえ、じゃあ2位はなんなの?」と聞いたら、
普通に「とんかつ」。
3位は、「お好み焼き」なのだそうだ。
常識でしょう、みたいな答え方もおかしかった。
自分の好物をベスト3でさっと言えるなんて、
人生に余裕あるカンジ。

ウチのコドモも、よく最近の好きな食べ物ベスト3を
勝手に教えてくれる。
ただし、こっちは余裕ではなく、
ヒマ、という違いがあるんだけど。
今のところ、3位はたこ焼き、2位は湯豆腐、
1位はねぎとろなのだそうだ。
カメラさんの方がチョイスが若い。

私は、と、今考えると、
3位がパン、2位は蕎麦、1位はごはん、と、
どれもばくぜんとしちゃう。
若くもトシ寄りでもない。
というより、とにかく白い。
そして腹いっぱい。

3月25日・土曜日
LF。今日は小林克也さんがお休みで、
赤坂泰彦さんと4時間の生放送。
CM中、南沙織さんの歌の話になった。
赤坂さんが
「彼女のLPに、かつて、ヤザワのオヤジさんが、
 2曲、歌を提供してた事があったんですよ」と、
言ったので、私はてっきり矢沢さんのお父さまが
南沙織さんに曲を書かれたのかと思い、
「あの『成りあがり』の中では
 そういう事は片鱗も書かれてなかったのに。
 やはり、血なんですかね、曲を書く、という」
と言ったことで、しばらく沈黙して、誤解がとけた。

それにしても、赤坂さんは
ヤザワ、という音を聞いただけで過剰な反応を示す。
バン! と、顔がアップに見える。
こないだもそうだった。
男子はみんな一瞬マジになるカンジ。
「ちょっと待った! 時間、いいかな?」
そういう顔になる。
そして、私たちは起立する。

2000-04-04-TUE

第134回

3月26日・日曜日
パソコン雑誌の取材。
糸井さんのHPがあるんだけどー、と言ったら、
「ありますねえ。読んでます。
 毎日更新されますからね。あそこは」と言うので、
ちょっと“御存知のように”の言い方で
「そこに私、日記を連載してるんですよー」と答えたら、
「え? 清水さんも書いてましたっけ?
 知らなかったなあ。最近ですか?」だった。
あっ、毎日見ておいて、
どうやったら私のところだけ「見れない」んだよお!
ばたばたばた。

そのあと家の掃除。
たまにやる家事は気持ちがいいものですね。
そのためにあえてやらないくらいです。
でも、音楽聴きながら気分よくやろう、と思ったら、
コドモが「ビデオ(ドラえもん)を見てもいい?」
と言うので、しぶしぶ承諾。
(実はさりげなく私にも見せたがってる)ような様子だった。
自分の中の「最高のヒーロー!」になっているらしい。
去年はポケモンだったのに。

ところで、今回の映画の中では、
「ウイーン少年合唱団」が主題歌を歌ってのだそうで、
どうしても「え」の発音がうまくいかなかったらしく、
「アンアンアーン、トッテーモ・ダーイスーキ、
 ドーライモンー」となって、
聴くたびに「イ」が、おしかった、と言っていた。

3月27日・月曜日
夫の運転で、家族で伊豆の温泉へ行った。春休み。
車中、気がついたのだが、
伊豆にはなんと美術館の多い事か。
窓から、「ガラスの美術館」「紙の美術館」
「工芸美術館」「森の館資料館」と、
どんどん発見するうちに、
「あっ、また!」と、家族で笑った。
「ジュディ・オング資料館」はもちろん、
「片岡鶴太郎美術館」に、
「加山雄三記念館」まで。いつのまにこんな。
暖かいと、いろんな光合成が起こっとるんですなあ。

平日なのにけっこう混んでて、電話予約した旅館では
「あまりよくないお部屋」しかなく、
海は「背伸びすれば見えます」だった。
それでもこんな値段かい! と思っていたのだが、
コドモは「旅館」が初めてで、喜んでいた。
おやつ、風呂、メシ、風呂、休んで、風呂。
顔がとれた。

3月28日・火曜日
夕べはおいしかったですー、なんて言いながら
運ばれてきた朝食を見たら、
仲居さんが微笑みながら
またチャッカマンでカチャッと、お味噌汁に火をつけた。
仲居さんがいなくなってから、オットが
「ゆうべの鍋や炊きたてご飯ってのはわかるけど、
 味噌汁ってのはどうもオーバーだな」と、しみじみ言う。
実際、そんな具じゃないのだ。
わかめと豆腐。
なのに沸いたとたん、ありがたく感じてしまう。

海をしばらく散歩して、帰る。
運転する夫の横顔やコドモのアップなどをカメラで撮った。
いやー、いいもんですねー、近場の温泉って。
ホントに楽しかったなー。
近いうちにまた来よう、
絶対ここに帰ってくる! と思った。

3月29日・水曜日
買ってはいたけどそのまんま読んでなかった
「長崎ぶらぶら節」を読んだ。
私が「泣き好き」なことを知ってる、
友人の松岡さんから「泣けるよ!」と
太鼓版をもらったんだけど、
「さあ泣くぞ。ここか」などと、
邪気な読み方をしてしまったせいか、
そんなにはこなかった。

それより、歌の不思議な魔力について
書いてあるところがおもしろく、横に線をひいた。
「いい歌は、魑魅魍魎とした夜にこそ作られるものたい」
とか、
「誰かが吐き出せば、また誰かの胸に忍び込む。
 そうやって歌は永遠に空中に漂い続ける」
なんてとこもあって。
歌が本当に不思議な生き物に見えてきた。

3月30日・木曜日
NHK「ためしてガッテン」へ。
司会の志の輔さん、なんだかいつもより
ピタッと軽口がないじゃないの、と思ってたら、
この番組では、カンペもなく、
覚えておかなくてはならないセリフが
いっぱいあるのだった。

でも、ホントにためしてガッテン、な番組だった。
コマーシャルがないということは、
スポンサーがついてないという事だから、
ここは、けなさない、というところもない。
むかし、「暮らしの手帖」という本に、
いろんな家電などを「ためして、どうだった」と、
たとえば
「Aのメーカーの掃除機は吸い込みは強いが、
 Bのメーカーだと、吸い込みはやや弱いぶん、
 騒音がない」など、おおっぴらに図にして
比較してくれてたコーナーがあったんだけど、
なんだかそれにちょっと似ていた。

3月31日・金曜日
楽しいビバリー。そしてCBC。
帰りにエレベーターで、某サッカー選手と御一緒。
おっ、もとサッカー選手であったヤノッチは、
隣でどんなに嬉しい顔をしとるか、と
ちらっとのぞいたのだが、そうでもなかった。
どちらかというと、固まっていたような。
私が「尊敬するミュージシャン」と
ふと会ってしまった時のおとなしさとおんなじだ。

人のサンクチュアリは微妙なものなのか、
実際に会ったときは喜んで
「ワーイ! ラッキー! 握手して!!」
とはならないらしい。
それどころか、一瞬にして心の中にある
「個室」にスッと入っちゃう。

何かを食べて、心から「おいしい!」と
本当にシンから感動した時、
あんがい笑顔ではないみたいに、
それはそれは静かで内向的な表情になる。
マジ、なんですよね。

2000-04-12-WED

 
BACK
戻る