SHIMIZU_MICHIKO
清水ミチコの試供品無料進呈
(秘密厳守)
2000年1月の日記

第117回

1月1日・土曜日
私が小さかった頃、たいそう器量のいい
おせちという女がいて、誰もが夢中になるという
華やかな時代があった。
しかし、今日の食卓の席をもって、と、
引退声明をのべたのが、私にはわかった。
たぶん、来年の今頃は、もうここにはいない。
さよならおせち。ごめんねおせち。
誰も喜ばなくて。箸がのびなくて。
器量は悪くとも、ずっしり、しっかり者の雑煮が、
このあとも継いで行くらしい。
「最後に湯気で勝つなんて、思ってもみなかったべっさー」と、
訛りながら雑煮がすまなそうに笑った。


イラスト:清水ミチコ

1月2日・日曜日
新年早々ネタ書き。
今日から私は部屋にこもるから、とは言いながら、
部屋のいろんな所が気になり、掃除してまわる。
受験の時みたい。
実は自分はA型で、几帳面タイプなんじゃないかな、
と思うくらい。
ノート類を整理してたら、
学生時代に、友達(女の子)からもらった、
「ノート一冊にびっしり書いてある手紙」、が見つかり、
思わず読みふけった。
それはもうまるでそういう世界。
「おじょーは(当時のあだ名)、
いつも何を考えてるのかわからない」を、詩にしてある。
へこんだ。
友達も、これが大人になってから
また見る可能性がある、とは思ってなかったんだろうな。
私もきっと、忘れている恥ずかしいモノが、
どこかで生きているかも。ぞうー。

1月3日・月曜日
初電話に出たら、ものすごいダミ声。
まちがいなくいたずらだ! と思ったら
「今、高平ん家にいるんだけどさ、来ない?」と、
ご陽気な坂田明さんだった。
「監督、何人くらいいるんですか、そっちは」と聞いたら、
「そうねえ、ざっと見て160人はいないけど、5人」。
心はもの凄く揺れたが、
「今、ネタ書いてるんで、やめときます。
ジアンジアン、来るように皆さんに言っといてね」と、
こっちから誘った。
行かねえぞー!と遠くからヤジが聞こえた。

1月4日・火曜日
コドモとハムスターのオリを買いに行く。
今日まではティッシュペーパーの箱の中。

私はハムスターが増えるのはぜんぜん構わないんだけど、
「成長が違うハムスターを
同じオリで一緒に生活させると、ケンカになって、
弱い方が死んでしまう可能性があります」だそうで、
当然この、「家の中にオリが1つ増える」、
というのがすごくイヤなんだなー。
2つもあるといきなり部屋が超カッコ悪くなる。
1つ置いたってそうなんだけど、2つだと、意味が違う。
意味が。
異常に好き!みたいなインテリアになるのが
もう目に浮かぶ。
私は客人の一人一人に説明するだろう。
そう好きではないんですよ、みたいな顔で。

そんな意味のことをコドモに言う。
「ああ、わかる、わかるけどー」と言っていたが、
もうオリを買う事で頭がいっぱいで幸せ!
ってな表情だった。

店内で選んでると、男子高校生らしき2名、
くすくすと笑いながらハムスターを選んでいたんだけど、
ちょっと聞こえてしまった冗談が、
いかにも買ってからすぐにいじめられそうで、すくんだ。
帰りに歩きながら、
ブルーになるな、忘れろ、今の会話、と暗示かける。

1月5日・水曜日
TBSへ。
お正月休みはたっぷりあったはずなのに、
かえって疲れてるのは何なんでしょう、ゆるむんですかね、
なんて会話を、メークしながらヤノッチと。

ヤノッチ、
「お正月はたくさん番組をとりまくるから、
ビデオのテープをたくさん買っておいたのに、
結局これ、ってのが1本だけだった」と言ったので、
何を録った? と聞いたら
「ジャッキー・チェンの映画!」(タイトル忘れた)
だそうで、
「お、さっそく年始から気が合わないね!」
と言って笑った。
しかし、
「ジャッキー・チェンの映画は、かえって
日本語の吹き替えで見ないとカンジが出ない」
ものなのだそうだ。

そんなに面白いんなら、私も1回見てみよっかな、
たまたま見逃してるんだよ。
ブルース・リーものは全部見てるのに。
どれから見るのがわかりやすいかな、と聞いたら、
「どれも確実にわかりやすいっす!」との事だった。
意表をつかれた。

2000-01-14-FRI

第118回

1月6日・木曜日
ビバリーとCBC。
ピアノ練習する。
指先が冷たいので、洗い物をし、お湯で暖めてからやる、
というのがかしこい主婦芸人のやり方。
もっといいのはお風呂のあとなんだろうけど、
「こたつ」の登場で、生活態度が、
だんぜんだらしなくなってしまった。
お風呂のあと、しばらくしたら、
だらだらと本でも持ってそこに集まる、というカンジ。
嫌いじゃないんだけど。
友人kさんなどは、
「ぜったいだらしなくなるから、
 結婚する時、こたつは生活から捨てた」と言っていた。
さすがO型の魚座だ。

1月7日・金曜日
歯医者さんに行く。
行かなければいけないのを、
ずうっと忘れたかのようにして自分をごまかしていた。
ホント、細かい注意をされて帰ってきたんだけど、
(フロスをしろとか)いったい昔の人は
どうしてたんだろう。
虫歯が、ありながら死ぬのが当たり前だったりして。
今とは食べ物が違うから、なんて言われそうだけど、
もしかしたら現代のヒトは、
目に見える事が多くありすぎてるんじゃないかしら、
昔はわからなかったから、それで済んでたってわけでえ、
なーんて思った。
でも知ってしまった以上、行かずにいられない。

家に帰ったら「通販生活」が送られてきてたので、
読んでみたら中身がえらい業界っぽいのでびっくりした。
タイトル「通販生活」なのに。

1月8日・土曜日
ニッポン放送で番組。
放送前に送られてきたハガキやFAXを読んでたら、
(読むの好きなので)
「なんで、ミッちゃんはビバリーの時と違うの?」
というのが数枚あった。笑った。確かに。
でも、変えているつもりはないんだけどなあ。
違ってる理由は、自分でもよくわからないんだけど、
どうも私は「目の前にいる人と気を合わせよう」とすると、
その人自身に似てくるようなのだ。これホント。
実は主張のない、暖かいごはんのようなこの清水ミチコ。
よそってあげてください。心に。
そういえば、そのハガキの山の中に、
「清水ミチコの鼻歌コーナー様へ」というのがあって、
(そんなコーナーはない。)思いきり笑ってしまった。

1月9日・日曜日
ジアンジアンライブ用に、何をやるかまとめる。
ベスト、簡単なようで、これがなかなか決まらない。
アンケートより、自分がやりたいものを
中心にすることにした。
と、思ったら夫からクレームがついたりして。
また難儀な。
苦し楽しい時期がやってきたってカンジ。
そのあと新ネタを紙に書いたものを読んでもらい、
「野球を全くわからない人に聞こえる野球中継」を、
夫妻で夜中に録音する。

1月10日・月曜日
厚木市で成人式。
着物を着て、白いフワフワを肩にのっけて歩いた。
とうとう頭がおかしくなった、というわけではなく、
最近ちょっと有名人の顔マネにも飽きてきたので、
宝島の〆切日でもあったりして、
ここでのライブ(いい子だった)を一本やったあと、
ヤノッチの着物を借りて、成人の皆様の中に
まぎれてみたわけです。
一般の方の顔マネですね。
しかし、さすがに40も近いと、すぐばれてしまい、
歩きにくい恰好で、ばれないところへと、よたよたと移動。
二度と着ないと思った。

清水ミチコはどこにいるでしょう?

2000-01-19-WED

第119回

1月11日・火曜日
コドモの冬休みがきのうで終わって、
今日から新学期が始まった。
コドモがいると、こういう日の親の生活の気分も、
スタート切らねばってカンジになるもんなのです。
玄関からしまっていこー、とちょっときれいに。

シゴトの帰りに寄った紀伊国屋書店で、いわゆる、
「すごいブな人!」を発見して、
一瞬ウッと、見つめてしまった。負けた!みたいな。
あまりにメークも圧倒的!な強さを持っていて、
そこそこの美人なんかよりもパーン!とくるんですよ。
このカンジ、わかります?
まわりをスカッとさせるような、派手な不美人。
昔、私がコントでやってた「ミドリ」も、
超ブス(性格も)なんだけど、
なんかまわりのスタッフからも、
ミドリを見るたび、“スカッ!”という、
気持ちのいい音が確かに聞こえてたのを思い出した。

1月12日・水曜日
「スーパー知恵MON」へ。
そのあと「UNの気分は上々」のロケ。
出川さん、ウッチャンたちと一緒に
プロの先生から似顔絵を習うんだけど、
描いてみたら、先生から
「やはり、ミッちゃんは、少々意地悪な絵ですね」
と言われた。
「やはり」が気になるんだけど。

私は「暗ーいウッチャン」を描いたんだけど、
ウッチャンの描いた私の顔も、「鬼」さながらだった。
一番おかしかったのは、テレビ初めて出た、という
性格の良さそうなその先生で、おだやかにコチコチ。
はげますほど、汗タラタラ。
美術系の先生って、どっか夢の中に生きてるみたいだなー。
起こした。

 
作・清水ミチコ          作・内村光良

1月13日・木曜日

ビバリーとCBC。スタッフの男性が、
「きのう、カラオケで“河内のおっさんの歌”を、
 標準語で歌わされた」と言ってた。
「かわちのー、おーじさまのうたー」と上品になり、
メロディーに乗りにくくなるんだそうだ。
「ワレ!」の部分も、「あなたー」となるんだって。

私がカラオケ行くとよくやるのは、
「恐いシャンソン」。
仲間一人一人を真剣に見つめ、
本気で「愛の賛歌」を心を込めて熱唱する。
遊びのカラオケ、2年は行ってないなー。
あー、でかい声で歌いてえー。

そのあと青山の鍼灸院へ。
隣の部屋から、女優さんらしき人の声が聞こえ、
「今夜、10時からスタートします。先生、見てね!」
と言ってたので、「誰だっけ、この声」と考えながら
ポキポキされる。
テレビ局以外で、芸能人と接近すると、
「超ラッキー!」な気がするのはなんでなんだろう。
気がついたら一人でニコニコきてた。

1月14日・金曜日
原稿を書いて、FAXで送ろうとしたら、
どうもパソコンの「FAX機能」が故障しているようだった。
しょうがなく、プリントアウトしてから、
ファクシミリで送る。
こんな、たった5分くらいの事で、一瞬、
「あっ、すごく時間のロスをしているんじゃないか」
などと思った。
ネタができないとこうなるのだ。
「だいたい世の中、私を中心に回ってないのが
 おかしいのよ!」とでも言いだしかねない。
「今すぐ気持ちを平和な方向へ直すのには、
 さあどうする!」と、考え、
答えは「屋上に行って、気持ちを整える!」と出て、
今日はそのまま屋上へ。いいロス。

1月15日・土曜日
ハッピーウイークエンド。
放送作家、Sさんは、閉所恐怖症なんだそうだ。
私は初めて閉所恐怖症を持つ人間に会った気がしたので、
「どういうカンジになるものなの」と聞いたら、
「僕の場合、狭いのが恐いんじゃなくて、圧迫感なんです」
と言っていた。
「観覧車とか?」と聞くと、
「そういうのは断れるからまだいいんだけど、
 タクシーの中なんかで圧迫感を感じると、
 一人むずむずしてきて、体全体が上へ下へ横へ、と
 秒刻みに動いてないと耐えられない」のだそうだ。
しかも、運転手さんにミラー越しに
(ぜったいコイツ、挙動不審!)と
思われてるのがわかるらしい。

そんな話をしてたら、Kさん(女性)は
「私は結婚してから、しばらくして
 高所恐怖症になったのよ」と言いはじめた。
なんでも、もともとは
ご主人が高所恐怖症なんだそうなのだが、
「高い所に登った時、ウチの主人の恐怖感を想像しながら
 マネして、最初は笑っているうちに、
 すっかりうつっちゃった」のだそうだ。
こっちの話の方がきた。
イメージトレーニングになっちゃったっていうことか。
人ってマネしたがるもんなんだなあ。
気をつけよう、なんて思いながらもつい、
帰りのタクシーの中で
「Sさんの気持ち」になってしまった。

2000-01-25-TUE

第120回

1月16日・日曜日
天才てれびくん収録する。
寒いので、黒のダウンコートを着てたら、
「あー、また太ってるよ、清水さん、デブになちゃったー。
 甘い匂いがするよ。甘いもの食べてばっかりじゃ
 頭がバカになるんだよー」と言う
小二の女の子の声がかわゆうてたまらん。
「でぶで悪いっすか・ぜいぜい」と、力士の声で返答する。
これが何回やってもよく笑う。
子供は繰り返しに弱いそうだ。
たとえばドリフの番組も、と、何かの本に書いてあった。
でも大人だっておかしいよ。
そのあとCXの「ハッピーバースデー」の、
楠田枝里子さんへのコメントをイマジカで。
楠田さんは、私がどんなにネタでバカにしてても、
怒るどころかライブまで見にくるようなタフガイだ。
心を込めてモノマネした。

1月17日・月曜日
ゆうべ見た「ビューティフルライフ」について、
メークさんと熱く語る。
それを聞いてた坂上みきさんが、
「私、途中で眠っちゃったあ」と
のんびり言ったばっかりに、冷血人間呼ばわり。
私からだけど。
そのあと長寿庵でつけとろ。

家に帰ってジァンジァン用の写真を撮る。
相撲って、私はよく知らない世界なんだけど、
専門用語が「かわずがけ」とか、「うっちゃり」など、
聞いてるといつも京都の料亭のように
「これ、うっちゃりどすー。へえ、めしあがれ」
「ああ、これが。うっちゃり。どうりで。
 ぱく。あ、甘いんだー」と、
門外漢にはたまらなくおいしそうに感じる語感なので、
それを料理でわかちあおう、と思って。

1月18日・火曜日
「相撲料理」の調理中、楠田枝里子さんから電話があった。
「嬉しかった」とのこと。
私まで嬉しくなる。
しかし、すもうの調理が思ったほど嬉しくない。
わかちあえなそうなのだ。
なんでだ。
思い立った時は絶対!と思ったのに。
写真、じゃなかったのかな。
きのうからいったい何時間かけて
こんな事やってた事になるんだよー。
夫はカメラを覗きながら
「いや、まだわかんないよ」と言っていた。
相撲料理の残りで、世にも不思議な夕食を家族で食べる。
この風景の写真の方が笑えるかもしれない。

1月19日・水曜日
CX「どーなってるの?」生放送。
そのあと、日テレの「メレンゲ」に移動して、
TBSのウンナンの番組のスタジオへ。
ライブの前後の仕事を全部オッケーしてた。
私は「ライブなんざ、ふだんの仕事のほんの一部、
おりゃー」と、できるだけサラーッと感じたいのだ。
ラジオやテレビは数万人、
ライブはほんの数百人を目の前にするだけだというのに、
なんでだか「特別」な気がしちゃう時がある。
これって、まちがってるよなあ。
これまでは、まるで「神聖な日」とでもするかのように、
ライブ前後の仕事は入れないでいた。
自分のその日こそが、大切、みたいに。
アイデンティティ!みたいな。
でも、どっちも両立できるはずなのだ。
メディアもライブも。
本当におもしろい人間であればな。
わー、低い声で言うなー。

1月20日・木曜日
ビバリーとCBC。
ライブはライブ、ラジオはラジオ、
両立・両立と思ってたのに、生放送で
「あんたカリカリしてんなー、あ、ライブ前だからなー」
と、高田さんに言われ、
あっ!!カリカリなんかしてないよ!
どこがか言ってみ!と、からむ。
人に言われた事がちょっと当たってる、という時、
人は怒りに達するそうだ。
降参してラジオに集中した。

ところで、私は生まれ変わったら
南伸坊さんみたいになりたい。
顔も心も大きくなって、
いばらず、テンパらず、おもしろがる。
嫉妬すらさせない。消す術。
しかし私の中にはこぶ平が。
両立させて、CBCに出た。

2000-01-29-SAT

 

第121回

1月21日・金曜日
ライブ。
寒い中、並んで見に来てくれた皆さん、
ほんとにありがとうございました!(と、メガホンで)。
でも、あんな苦しい思いをお客さんにさせるのも、
これで最後。
アンケートによると、「ほぼ日で知った」という方も
たくさんおられ、ここにからまってよかったなー、と実感。
連載させてもらってる事に、心からお礼を申し上げます。
(と、和装で)。

嬉しかったのは、
ジアンジアンのチケットを切る係の女の子が、
「いつも売場の席で、
 漏れてくる笑い声だけ聞いてるばっかりで、
 どんな事してるのか一度見ておきたかった」と、
個人的に並んで見に来てくれたこと。よーこそー。
ステージに出たら、お客さんみんなが赤い鼻をして
ニコニコしていた。
感謝を踊りであらわした。

1月22日・土曜日
ジァンジァンという場所は、 開場まで
お客さんを並ばせるのは通常という所なんだけど、
今日、昼間の部で返ってきたアンケートを読んだら、
こんなのがあった。
「並んでいる私達の列を見た女子高生に、
 ぷっ、清水ミチコだって! と歩きながら笑われます。
 笑われてるのは清水さんなのに、
 私達が笑われるのは、理不尽です」。
それをそのまま客に言ったら喝采を浴びた。
理不尽なのはどっちだ。

なんかリクエストはあるか、と聞いたら、
(さすがよく知ってるな、そんなネタ!)
というのがたくさんあって、それも嬉しかったんだけど、
その中で一人「アグネス・チャンの親知らず」と、
普通に言ったお客さんに笑った。

何それ、なんて言ったけど、
いかにも過去にやってそうで、
本番中ずっと語呂がいい「アグネス・チャンの親知らず」
のフレーズが消えなかった。

アンコールが4回あって、5回目に出た時は、
私も感動的に、ゆっくりと開場を見回し、
「みなさん、2500円なんだから、
 そろそろ帰ってくれませんか」と
おだやかに心を打ち明けた。
暖かいライブだった。

楽屋でのミニ打ち上げ、
高平さん、浅草キッドさん、あがたさん、
和田誠さん、南さんらに、美女多数(私含む)。
新聞の記者の方がいて、カメラを向けられると、
誰もがいっせいにうつむくので、
「みんな、恥ずかしがるな!」と一喝。

原宿のお店・東波に移動。
「矢野顕子さんの歌って、みんなから
 いいよー、いいんだよ、最高だよ」って、
強く言われるから、かえって、
「わーったよ、いーんだろ! 音楽通なんだろ!」
という気持ちになっちゃって、
うまく消化できない人もるんだけど、
「ミッちゃんの聞いてると、
 言葉よりツーヤクになっててサ、
 あ、ホントだ!ってわかってくる事があるんだよ」
なんて言われたのがもの凄く嬉しかった。
そんな事があるのか!
家に帰ってから、明け方までアンケート読みまくり。

1月23日・日曜日
それはそれ、と気分を一新して、
TBS・伊集院さんの生放送「日曜大将軍」へ。
ライブの次はデブ。

しかし、ただのデブなのではなく、伊集院さんは
「THE RADIO・MAN」って感じで、
ラジオで話すのが大好きなのが
びんびん伝わってくるような放送なのだ。
私はときどきデビ婦人になったりしたが、
伊集院さんの奥さんは、ずうっとデブ婦人なんだそうだ。
夜、たまちゃんとメール。

1月24日・月曜日
スーパー知恵MON。
B級タレントほどよく働くと、
こないだ読んだ週刊誌に書いてあった。うるさいぞー。
コーヒーとサンドイッチをお昼に食べて、
そのあと雑誌のインタビュー。

家に帰ってテトリスをやってたら、コドモが帰ってきた。
去年書いた読書感想文が、区から賞をもらったそうだ。
「インコのルーの贈り物と、私のハムスター・マウ」。
どうせまた、悲しいペットの話に、
自分のハムスターの悲しい思い出を
つなげて書いてんじゃないの、
なんて思ってたら、当たりだった。
笑いをこらえた。
どうしてこう、この人は
悲しみにうっとりするのが好きなんだろ。

夕方、今度は「ちゃお」のマンガのイラストを
懸命に描いていた。クラスの女子は、
「ちゃお!」「りぼん」「なかよし」派の3つに、
きれいに別れているんだそうだ。
「りぼん」と「なかよし」は、
私が小学生の時もそうだった。
私はりぼん派で、「一条ゆかり、土田よし子、
もりたじゅん3大先生による、対談ソノシート」が
おまけだった時は、
声が聞ける! と、嬉しかったことを思いだした。

1月25日・火曜日
番組の打ち合わせ。そのあと取材を何本か。
某女性月刊誌(高いヤツ)のインタビュー、
「あなたにとって、何々とは?」ってな、
無謀な質問の繰り返しで、くたびれた。
「妻として、母として」とかさ。
考えた事もないわ。
「私は、妻」「私は、母だ」なんていう自覚なんて、
日常本気で持ってる女がいると思ってるのかしら。
見たことないわ。
また、答えてるタレントもいるからなー。
安いゴシップ女性週刊誌の方が、
少なくとも会話にずっと血が通っているよ、
なーんて思いながらも、
途中でカメラが入るので瞬時にスマイル。

2000-02-03-THU

第122回

1月26日・水曜日
LFの浅野さんから、本を1冊いただいた。
「ハリーポッターと賢者の石」というファンタジー。
ファンタジーは、30年ほど前の「星の王子様」以来、
ちゃんと読んだことないと思い、どりゃ、と読み始めた。
こういう「個人的な趣味を、そのまま人にあげる」
ってのが、あんがい
「お仕着せ」とか言われてる事もあるようだけど、
私はめちゃ嬉しい方だ。
ほう、あんたこんなもの好きだったのか、と
その人を見直す時もあるし、
やっぱりな、くくく、と笑える時もある。
やはり過去に一度、友達のみくちゃんから
「自分が、今はまっている曲を編集したMD」を
もらった事があるんだけど、これも聞いてると、
「自分の耳」を通しながら、
「彼女の耳」も感じられて、2重に楽しめるものなのだ。
そのせいなのか、渡された人より、渡した人の方が、
やに照れてる事が多いみたいだけど。
時々私も、そのMDプレゼントをマネして、作っている。

1月27日・木曜日

誕生日。
たくさんのメール、どうもありがとう。
私がここで書くのはいつもあなたへの返事と
思うてください。
あと、ライブのアンケートも郵送でたくさん届きました。
全部、くまなく読んでいます。
読むのはもともと好きなんですよね。

でも、この記念日をしめくくる今日の最後のシゴトは、
「テレビチャンピオン」の、ラーメン王の審査員。
でも、ってコトはない。
なんたってここのディレクターは、
「鬼!」と呼ばれてるような、
キビチイ仕事を堂々と成しておられる方。
いろんな意味でテレビチャンピオン。
嫌われてもいい、という覚悟は、
実はすごく難しいですよね。
あなたはできる方ですか?

1月28日・金曜日
割りと好きな監督、デビッド・リンチの
「ストレイト・ストーリー」の試写へ、
夫と二人で観に行ってきた。
音楽、良かったね、CD買おっかな、なんて話してたら、
電話で訃報が入った。
PATE屋でお世話になった、林さんの
お母さんが亡くなったのだ。
これが、自分でも驚くほど悲しかった。
80をとうに超しておられるのだから、
ありえる事じゃないか、と、思うんだけど、
ショックだった。
たまたまきのう、私はめずらしく誕生日を迎えたことが
めちゃ嬉しかった日だったので、
よけいに生きてる事と、死っていう、
まぎれもない前提にカーンときたのかも。

その方はとにかく人の話をよく聞いてくださる女性で、
「あ、そう、そうなの」と、
そのうなずく声と顔ばかりがよみがえった。
変な話だけど「めしあがれ」(ケーキなど)なんて
サラッと言われたのが、私は生まれて初めてだったんだ。
「今、私、めしあがってるんだ!」なんて
本気で思いながら食べた事も思い出した。

少しずつ、忘れてたんだなあ。
着替えて、お通夜へ。
実は私は、長谷川町子さんみたいに、
訃報を親戚にも知らせないで、後になって、
「あの人亡くなってたんだってー」というのが理想ざます、
と思ってたんだけど、
参列してみると、残った人に
時間と場所でちゃんと節目をつけさせてくれるというのは、
最後にくれる親切でもあるんだなあ、と
しみじみ感じた。
しみじみちこでした。

2000-02-08-TUE

 
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