お月見のうさぎの菓子を
いろいろと。

お月見ですね。

カレンダーで満月の印を見ながら、
今年は9月28日かな?
なんて思ってたら、たまたまラジオの天気予報が
耳に入ってきて「27日のお月見は〜」と。

‥‥ん?
お月見って、満月じゃないの‥‥?
と、あわてて調べてみたら、
必ずしも満月じゃないんですね‥‥。
人生の半分くらいを知らずに過ごして来てました。

調べたものをまとめてみると‥‥。
(調べるとそれだけで満足しなくて、
 ちょっと言いたくなるというか、
 共有したくなるという‥‥すみません。)

旧暦の秋は、7月の初秋、8月の仲秋、9月の晩秋。
旧暦のひと月は29日か30日あるなかで、
15日はちょうど中日。
ということは8月15日は、
秋全体のなかでも真ん中の日にあたるわけですね。
だから“仲秋の月”というと、
旧暦8月に出る月のことを指すけれど、
秋の中日である8月15日の月だけを意味するなら、
“中秋の名月”になるとか。
太陰暦に属する旧暦は月の満ち欠けと呼応していて、
月の半ばの15日の夜には満月か、
満月に近い月が必ず見えるので
十五夜の月≒満月となったそうです。

だから、十五夜は絶対、満月ってわけじゃないのかぁ‥‥。
と思いつつ、"仲秋の名月”という字が
正解だと思ってた自分もいて
ちょっと反省も深まる秋の夕べです。

ちなみに、
中秋の夜に雲に隠れて月が見えないことを、“無月(むげつ)”
雨が降って見えないことを“雨月(うげつ)”と呼び、
見えないながらもほの明るい雲居や隠れた月の風情に
思いを馳せて愉しむとか。
そして十五夜の前夜、14日から15日を“待宵(まつよい)”
後の夜の15日から16日を“十六夜(いざよい)”と称して
十五夜の月を楽しみに待ち、また惜しむ気持ちは、
その言葉の響きとしてだけでも
今も暮らしのそこここに生きていますよね。

あ、十六夜は「いざよう」という言葉(動詞)からきていて、
「いざよう」の意味は、ためらう。
ひと晩の違いですが、十五夜の月よりも十六夜の月は
30分〜40分(遅いときは50分という説も)遅く出てくる
ので、まるでためらっているように見えたことから
「いざよいの月」となったと言われたとか。

文字ばっかりになってしまったので、
お月見のうさぎの菓子を。

前にも書いた両口屋是清の”ささらがた”という菓子ですが、
お月見の時期だけのうさぎ版が出てました。
なんだか、可愛い‥‥。

中身は、普通バージョンと同じく
大納言や黒糖や抹茶や白小豆です。
あと、こんなうさぎたちも。

“五三夜”という菓子のうさぎです。
座ってるうさぎと、振り向いてるうさぎと、
飛び跳ねてるうさぎ。
粒あん、抹茶あん、
ときたら、白あんかな?と思ったら、
もうひとつは、醤油あんでした!
そして、これが意外とおいしいのです、
香ばしい感じで♪

十五夜のあとは、十三夜ですね。
中秋の名月、8月15日のあとにくる十三夜、
つまり旧暦の9月13日の月は十五夜に次いで美しいとされ、
「後(のち)の月」として愛されてきたとか。
季節柄、お供えする物から「豆名月」とか「栗名月」という名も。
十五夜は中国から伝わったようですが、
十三夜は日本固有の風習とされていて、
十五夜にだけお月見をして十三夜の月を見ないのは
片見月(かたみづき)といって忌まれる、なんて説も聞きます。

ともあれ、
今時分の月は冴え冴えと美しく、
見上げる者の心も身体も浄化してくれそうな気さえしてきます。

今年の十三夜は、10月25日だそうなので、
それまでの晩も、それぞれの月を見上げながら
秋の宵をゆっくり楽しめれば、と。
良いお月見を。

 

わたなべ まり

 

両口屋是清「ささらがた」「五三夜」
花園万頭「十五夜饅頭」

2015-09-27-SUN