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今週のマンガ
『天才柳沢教授の生活』
『天才柳沢教授の生活』

著者:山下和美
発行:講談社

「人間はどんなところでも学ぶことができる。
 知りたいという心さえあれば。」
この学者魂つながりで、私がおすすめするのは
『天才柳沢教授の生活』です。

Y大学経済学部柳沢良則教授は、
道路交通法を遵守し、規則的な日常生活を徹底しつつ、
様々な人びととの出会いを通じ、
生きることの不思議を追求する生粋のインテリゲンチャ。
でもその知性や肩書きを鼻にかけず、
安いさんまを探して延々と歩き回るような
庶民感覚も持ち合わせています。
脱帽するくらい広い交友関係もあります。

誰が相手でも同じようにていねいに言葉を交わし、
その視線は子どものように先入観の曇りがありません。
物語の語り手である教授のモノローグからは、
論理的な思考と同時に瑞々しい感性が感じられ、
真の教養人とはこういう生き方・考え方をするものだと
読むたびに得心させられます。

と書くと、
なんだか堅苦しいイメージを持たれるかもしれませんが、
四角四面な生き方と言葉遣いは、とてもユーモラス。
毎回登場する人物も魅力的なキャラクター揃いです。

できるなら全作品を読み通して、
お気に入りの一曲、じゃなくて一作を見つけてほしい。
私にとってはバイブル的な存在。
だからきっと、
おばあちゃん、おじいちゃんになっても楽しめる、
読めば読むほど味が出るマンガですよ!

(ちゃあぼう)

2013-08-17-SAT