ほぼ日 7年前のことになりますが、
「ほぼ日マンガ大賞」を知ったきっかけを
教えていただけますでしょうか。

今日 きっかけは、「ほぼ日」ファンの友だちですね。
「ほぼ日」を毎日見てるし、
もうTシャツとか全部持ってるぐらいの(笑)。

ほぼ日 わあ、ありがたいです。

今日 そのとき、私はウェブでしか
マンガを発表してなかったんですけど、
たまたま「ほぼ日マンガ大賞」をその友だちが発見して、
「この『ほぼ日マンガ大賞』っていうのは、
 いわゆる漫画誌の新人賞とは違うから、
 君に合ってるんじゃないか。応募してみたら?」
って紹介してもらったんです。

ほぼ日 ああ、そうだったんですね。
その、「ふつうのマンガ賞」ではない賞を
紹介されて、いかがでした?

今日 そうですねぇ、私もそのころ、
まだプロのマンガ家ではなかったので、
いい意味で、敷居が低かったというか‥‥。
がっちり「マンガ家になれる!」とか、
そういう意味の賞ではない、
とにかく、なんだか楽しそうな賞だったので、
プレッシャーがないかな、と思って
応募したんですよね。



ほぼ日 たしかに、そういう賞かもしれません(笑)。
応募のときに送ってくださった2篇のマンガは、
すでに描かれていたものだったんですか?

今日 いえ、そのために描きました。
思いついたものをふたつ。

ほぼ日 応募するときに、なにか意識されましたか?

今日 まぁ、多少は丁寧に(笑)。
あと、明るい感じのほうがいいかなぁ
とは思ってましたね。
たしか、前の日とかに描いて送ったと思います。
他の入賞作とか見たら、
すごく時間がかかってそうな作品もあって、
「しまった!」と思ったり(笑)。

ほぼ日 ああー(笑)。
NJTPさんの3Dのマンガとか。

今日 あの、横に長い作品とか。

ほぼ日 永田祐一郎さんの作品ですね。

今日 「こんな表現もあるんだ!」って、
びっくりしましたね。

ほぼ日 入賞したと知って、どう思われました?

今日 うーん‥‥
できれば大賞が欲しかったなと思いました(笑)。

ほぼ日 (笑)

今日 いや、実際はすごくうれしくて。
それまで賞をもらったことがなかったんです。
そのころは、ずっとひとりでコツコツ描いていて、
結構やさぐれてた時期で(笑)。
はじめてたくさんの人に作品を見てもらえたりとか、
周りの人が「おめでとう」と言ってくれたりとか、
しばらく音信不通だった人から連絡が来たりとか(笑)。

ほぼ日 へええ(笑)。

今日 そういう、目に見える反応がすごくうれしかったし、
ちょっと自信がついたように感じましたね。
経験値を、ポンッと上げてくれた感じがしました。

ほぼ日 その後、今日さんは、
「ほぼ日マンガ大賞」よりもずっと大きな
文化庁メディア芸術祭の
審査委員会推薦作品に2年連続で選出されて。
でも、ご自身のプロフィールにいつも、
「ほぼ日マンガ大賞」のことを
まず書いてくださってるじゃないですか。

今日 はい(笑)。

ほぼ日 だから、
「2005年 『ほぼ日マンガ大賞』入賞」のあとに
「2006年・2007年「センネン画報」にて
 文化庁メディア芸術祭『審査委員会推薦作品』選出」
と続くので、なんといいますか、
「ほぼ日マンガ大賞」が
すごくトクをしてるというか(笑)。

今日 あははは。
やっぱり、一番最初に受賞したものなので、
そこは大事だと思っています。

ほぼ日 ありがとうございます。


「センネン画報」(C)今日マチ子/太田出版

今日 入賞後のことでいうと、
一般的な漫画誌の新人賞とかは、
賞をとったあとに、担当の編集者さんがついて、
連載開始までにけっこう困難な
道のりがあるそうなんですね。
でも、「ほぼ日マンガ大賞」はそうではなく、
賞をとったあとも、自由に描けたので、
自分には合ってましたね。

ほぼ日 もう、ほんとうに正直なことを言うと、
「ほぼ日」にとってもはじめての試みだったので、
「発表したあと、どうすればいいんだろう?」
みたいな(笑)。

今日 (笑)

ほぼ日 大賞のたかしまてつを先生と荒井清和先生は
連載をはじめてもらったんですけれど、
入選の方にあまりフォローができなくて。
お正月とかゴールデンウィークとか
長い休みのときに、入選したみなさんに
描いていただいたりはしたんですけど。

今日 はい、楽しく描かせていただきました(笑)。

ほぼ日 あと、今日さんには
「ほぼ日手帳公式ガイドブック 2011」の巻末に、
「ほぼ日手帳」の10年間の経緯を
マンガで描いていただきました。


▲乗組員も登場する「ほぼ日手帳 2011 公式ガイドブック」の13ページの描きおろし

今日 はい。
「手帳にあんなストーリーがあったなんて!」と、
おどろきました。
あれも、楽しい仕事でした。
なんでしょうね、
「ほぼ日」さんでマンガを描くというのは、
漫画誌に描くのとは違う楽しさがあるというか‥‥。
やっぱり、「ほぼ日」さん自体のカラーとして、
楽しいことをみんなでやってるという雰囲気があるので、
それに少しでも参加できているっていうのが、
いつも、すごくうれしいんですね。
(つづきます)
2012-03-28-WED

画像協力:『センネン画報』太田出版
     『みかこさん』講談社
     『炭酸水の底 ~今日マチ子作品集2007-2011』洋泉社
     『かことみらい』祥伝社フィールコミックス
     『cocoon』秋田書店
     『ぼくのおひめさまー人魚姫 灰かぶりー』パイ インターナショナル


   




『センネン画報』
太田出版 1260円

ほぼ毎日更新している今日さんのサイト、
「今日マチ子のセンネン画報」を
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描きたい絵から描く、という
今日マチ子さんの原点が、
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『みかこさん』
講談社 930円

17歳、高校3年生。
無口でクールなみかこさん。
みかこさんの親友で女の子らしいナオ。
みかこさんと音楽の趣味が合い、美大を目指す緑川。
みかこさんを好きなカトーくん。
せつない4角関係が、4ページずつ
語られていく作品です。
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