magic
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


セクハラとパワハラとマジハラ?

世はコンプライアンスの時代である。
セクハラ、パワハラは絶対にダメ。

「マジックの世界は、セクハラもパワハラも
 関係ないよね」
なんて言われるけれど、私は色々と考えてしまう。

私が命名した『美女のブスブス』というマジック。
女性をステージに上げ、
首に剣を刺すというマジックである。

『美女のブスブス』というタイトルが今の時代、なん
だかグレーな気がする。

ブスブスというのは、剣が刺さる時の擬音なのだが、
言われる女性は不快に感じるかもしれない。

女性をステージに招く時、

「美しい方、どうぞステージへ。
 大人になったばっかりの、若く美しい女性限定です。
 長ーく大人の女性やってる方は、ご遠慮ください」

なんてのも、ダメだろうな。

だいたい、女性限定というのもいけないかも。
でも、いかにも頑丈そうな男性の首に剣を刺しても
まるでスリリングじゃないのだ。

あれやこれや悩んだあげく、
タイトルを変更することにした。

新しいタイトルは『 HUMAN ERROR 』
(人のあやまち)でどうだろう。

女性の首に剣を刺しながら、

「もし失敗して剣が首に刺さってしまっても、
 どうぞ安心してください。
 必ず、あやまります」

マジシャンといえども人間、
まちがえることだってある。
だけど、まちがったらちゃんとあやまる。

コンプライスの時代に
ふさわしいマジックのような気がする。
ちがうか。

外国人マジシャンの『美女の胴切り』を見た人に、

「あれって、本当に切ってるわよねぇ。
 ねぇ、どうなってるの?」

なんて聞かれた私は、
「はい、外人は丈夫なんです」
と答える。

これも、ダメなような。
もう、やめとこう。

セクハラ、パワハラに加えて、
マジハラというのさえあるらしい。

会社の上司がマジックを部下の女性に見せる。
不思議じゃないし、面白くもないので反応が薄い。

すると、上司は

「なんだよ、そのリアクションは。
 もうちょっと驚けよ。
 君たち、感性、にぶいんじゃないの」

これがマジック・ハラスメント、マジハラ。

マジックが趣味の上司の方、
どうか気をつけてください。

最近は見なくなったが、
ヌード・トランプなんてのも
海外のマジック・ショップで売っていた。

カードの裏面が外国人女性のヌード写真なのだ。
52種類の、様々なヌード。
ジョーカーはちょいとこわい面相のヌード。

「お好きなヌード、1枚、引いてください。
 全部、なんてのはダメですよ、イヒヒヒ」

みたいに使ってたのだろうか。

今じゃもう、100%アウトだろうな。

私は悩みつつ迷いつつ、
コンプライアンスをしっかり意識しつつ、
某企業のパーティ会場に向かった。

会場はおじさんたちでいっぱい。

女性を上げて、トランプを引いてもらい、

「私たちに見えないようにしてください」

すると、会場のおじさんたちから、

「おい、トランプをスカートの中に隠せ」
「いや、透視されないよう、パンツの中に入れちゃえ」

コンプライアンスの時代はまだまだ遠いのであった。


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2018-05-27-SUN
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