magic
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


闘いの日々

人生は大変である。
なんせ、家を出れば7人の敵が待っていると
いうのだから。

1日7人だとすると、僕はいったい何人の敵と
出くわしたのだろう。

まぁ適当に計算してみよう。
7人×365日×50年てなことにすると、
127,750人と闘ってきた!?

先日も、すごい敵に遭遇した。
収録の時、なぜかディレクターが寄ってきて
僕のトランプをいじり出すではないか。

「いやぁ、久しぶりだなぁ。
 トランプなんて、
 最近は遊ばなくなりましたよねぇ」

テーブルに置いたトランプは、
当然ながらマジックに使うもの。

実は、トランプの順番を
マジックに都合のいいように並べ替えてある。

それをぐちゃぐちゃにされてしまい、
トランプは1枚も当たらなくなってしまった。

僕はさっそく天才マジシャンAくんに相談してみた。

「小石さん、テーブルの真ん中より手前、つまり、
 相手の手の届きにくい、
 届きそうで届かない位置というのがありまして・・・」

どうも難しくて凡人の僕にはさっぱり。
そこで、僕なりに考えて
高級ブランドのバッグを買い、
トランプをしまっておく作戦に出た。

すると効果てきめん、
「うひゃ〜、高そうなバッグ、触ると怒られそう」
なんて感じるらしく、誰も触らなくなった。

こうして僕は、かろうじて
トランプぐちゃぐちゃ客に勝利することができた。

負けたこともある。

客席の最前列、真ん中の席に老人が座っていた。
僕はそのお客さんを選び、

「よろしいですか?
 今、忙しいですか?
 あの、生きてらっしゃいますか?」

などと声をかけてしまった。

すると老人は、
「バカ者、生きとるわい。
 生きてるからこそ、ここにおるんじゃ。
 そんなことも分からんのか、バカ者めが」

いやはや、少しくらい笑ってもらおうと
スケベ心を出したことを後悔しても、もう遅い。

老人が敵、ではない。
これは『内なる敵』である。

つまり、僕の中に人の気持ちを甘く見てしまうと
いう、悪いクセという敵が存在していたのだ。

でも、自分との闘いは勉強になった。

高齢になれば鷹揚に構えてくれるだろう、なんて、
ついつい甘えてしまった僕の大失敗。
いやぁ、本当に失礼いたしました。

しかしまぁ、渡る世間は敵だらけ、ということもなく、
いろんな人々に助けられて今日がある。
こんな僕にも、多くの味方がいてくれたわけだ。

僕は1日7人の敵と闘い、
8人の味方に助けられてきたのかもしれない。
ふむふむ、ありがたいなぁ。

さてと、今日もまずは元気を味方に
外に出るとするか。
勝ち負けなんて考えず、とにかく外に出てみよう。

へへへ。
むふふふ。
あははは。


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2018-03-25-SUN
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