magic
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


『あるマジシャンの詩(うた)』


雨の日は屋内にのがれ
風の日も屋内にのがれ
雪にも夏の暑さにも弱い芸風で

わりと丈夫なカラダを持ち
出世欲はなく

毒舌でも決して怒られず
いつも静かな笑いをとり

新幹線で朝パンを食べ
昼は楽屋で弁当を食べ
夜は打ち上げで呑み食べ

とりあえず生ビールにさからわず
こっそりと高い酒を頼み

決して払わず
翌朝にはすべて忘れ

小さな楽屋にいて
隣に悩む前座さんあれば
行って先はイバラの道と説き

その隣に疲れた師匠あれば
行って顔色いいですねとヨイショをし

そのまた隣に引退寸前の芸人あれば
行ってそっと背中を押してやり

けんかしている漫才コンビあれば
行って相性悪いと火に油をそそぎ

ひとりの時は思い出し笑いをし

ウケない時はオロオロし
みんなに芸なしと呼ばれ

ほめられもせず
苦にもされず

そういうマジシャンに
私はなりたい

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2017-02-26-SUN
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