magic
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


『神様の思し召し』


左肩が痛くなり、マッサージを受けながら、
「おかしいですよね、右肩も左肩も同い年なのに、
 痛くなるのは左肩だけ、なぜですかねぇ?」

担当の方はしばし考えた後、
「はぁ、やっぱり、
 両肩だと人生辛いからじゃないですかねぇ」
という、思いがけず深いお答え。

片方だけ痛くなるのは、
どうやら神様の温情であるらしいのだ。

確かに、左肩だけでも辛いのに、
両肩が痛かったらさぞかし辛かろう。

天然パーマの女性がぼやく。
「いつもいつも、美容院で
 直毛パーマをかけてもらわなくっちゃいけなくて、
 もう大変」

神様が彼女の髪に
パーマをかけてあげようとしたものの、
他の用事にかまけて
パーマを長めにかけてしまったのだろうか。

かなりクルクルした髪ではあるけれど、
とっても美しいウェーブでうらやましいくらいだが、
「雨の日なんか、もう出かけるのもユーウツ」
そういうものらしい。

一方で、毎朝カーラーを巻いている直毛の人もいる。
皮肉なもんです。

この世に生まれる瞬間、神様が、
「気をつけて行っといで」
と、足首をぎゅっと握って送り出してくれると、
足首の細い人に生まれてくるという。

逆に、
「ほれほれ、早く行っといで〜!」
なんて、足の裏をグイッと押し出されると、
色々と不満タラタラ足になってしまうそうな。

ちょい前に流行った、
「お・も・て・な・し」
風にいうならば、何事も神様の、
「お・ぼ・し・め・し」

ところで、神様の思し召しではないが、
「狭いところに押し込められ、
 ハトは苦しい思いをしているはず。
 ハト出しマジックは、動物虐待の疑いがあります。
 ハトやその他の動物を使ったマジックは止めなさい」

最近、そんな抗議の声が聞こえてくるようになった。

私は以前から、そんな思し召しに応えるように
ゴム製のハトを使用している。

別に今を予見したわけではなく、
ゴム製のハトは餌代もかからず、
飼育の面倒もないからなのだが。

我々は、女性の首に剣を刺す
『美女のブスブス』というマジックを得意にしている。

しかし、このマジックについても、
「タイトルがいけません。
 女性に向かってブス、ブスとは何事ですかっ!」
などと、各方面から抗議の声が上がるかもしれない。

言い訳をすれば、このタイトルは
あくまで剣が刺さる時の擬音、ブス、ブスなのであります。
神様、仏様、お客様、どうかご理解のほど。

「タイトルも問題だが、
 なぜ若い女性ばかりに剣を刺すのか?
 男女共同参画の時代にふさわしくありません」
という声を頂戴するかもしれない。

私は正直にお答えしたい。
「すべては相方の考え、思し召しであります。
 私はただそれに従っているのみであります。
 悪いのは相方です。
 どうもすいません、許してね」

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2017-02-12-SUN
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