magic
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


『夏の宿題』


たっぷりあると思ってた夏休みも、
ふと気づけば
もうあとわずか、なんだか焦っています。

毎日暑くて、
早く涼しくならないかなぁと思っていたのに、
朝、ほんの少し風がひんやり感じられると
急に寂しくなるのが、とても不思議に思います。

今はもう大人だからいいけれど、
小学生の頃は今の時期あせりまくりでした。

なんでかというと、
宿題をまるでやってなかったからです。

色んな宿題をやり残していて、
工作とか書道とかはまったくの手つかずでした。

そこで、父親に書道を手伝ってもらいました。
手伝ってもらったというより、もう丸投げ。

父の書いたのを提出したのですが、
あっさりと先生にバレてしまいました。
父の書いた漢字が古い書体だったからです。

僕はおバカさんだったので、
帰って父に文句を言ったりしました。
父は、
「ほう、そうかい」
と笑い、怒りませんでした。

きっと、父はわざと古い書体にしたのだと思いました。
僕は、翌年からちゃんと自分で書くことにしました。

工作の宿題は、粘土細工を作ることでした。
自分でちゃんと作ったのですが、
乾く間もなく学校へ持っていかねばならず、
更に途中で落としてしまいました。

もう、激しく変形してしまったのですが、
直す時間もないのでそのまま提出しました。

「うん、良いねぇ、小石くん。
 これぞアバンギャルド、いい出来だ」
なぜか、先生はホメてくれました。

大人になったら、
長い夏休みもないかわりに宿題もないです。
大人はいいもんだなぁと、
夏の終わりになると思います。

国民的人気アイドル・グループが解散すると
新聞に書いてありました。
今年がデビュー25周年だそうです。

デビュー25周年なのに解散なんて切ないなぁ、
もったいないなぁと思いました。

僕らが結成25周年の時は、
『大した芸もないのに四半世紀』
というキャッチフレーズを掲げていたことを
思い出して、苦笑しきり。

もうひとつ、思い出すことがあります。
それは、ある人気沸騰中の
男性アイドル・グループと
光栄にも共演できたことです。

僕は、メンバーの皆さんの名前を
間違いなく覚える必要がありました。

そこでアイドル・グループの皆さんの苗字を入れた
文章を作ることにしました。

「大きな二本の松と櫻の下であいば(ま)しょう」

何度もぶつぶつ頭の中でいいながら、覚えました。

でも、最近はなかなか覚えられなくなりました。
そこで、メガネのような
ウエアラブル端末を開発してくれないかなぁと
思っています。

どんな大勢のメンバーでも、
レンズの端っこに名前が出てくるようなメガネ。
その人に視線を向けると、
ちゃんと名前が出てくるような、
そんな端末がほしいです。

仕事先で知人とバッタリ会った時、
顔は覚えているけど
名前もどこの誰かも分からないことがあります。

そんな時、ウエアラブル端末のメガネをかけてれば
すぐにその人の名前や経歴が分かる、
そんなデジタル機器を、どなたか賢明な大人の方、
今年の夏休みの宿題にしてくださいませんか。

僕の今年の夏の宿題は、
新しいマジックを3つ考えることでした。
まだひとつしか、思いついていません。

残るふたつは故郷の父に丸投げしようかな、なんて
未だにバカ息子の夏なのでした。

おしまい。

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2016-08-21-SUN
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