magic
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


『続・夢の北海道ツアー』


帯広公演も満員札止め、大観衆の笑い声が
大砲の一撃のように会場に響き渡る。

今回の公演のトリを務めるのは、
かの三遊亭A楽師匠。

大きな声では言えないが、
ワイドショー等で軽妙な謝罪会見を披露した師匠なのだ。

司会者が、
「皆様、ご安心ください。
 三遊亭A楽師匠は本日、無事に出演されます」
そう紹介するだけで大爆笑が起きる。

そこに、マスクをし帽子を目深に被った師匠が
登場するから、場内は爆発のような笑いと歓声が続く。

少し収まったところで、師匠すかさず、
「申し訳ありません」
これだけで再び大爆笑。

私は袖で見ていて、師匠の胸の内をおもんばかる。
我が身に降りかかった、ちょいと困った事態も
見事に大爆笑のマクラに変えつつも、
師匠の胸にチラリと去来するものは・・・。

帯広での公演も無事に終了、
ホテルのロビーに集合して打ち上げ会場へ向かう。
今宵の宴は焼き肉屋さんである。

北海道の焼き肉となれば、
ジンギスカンは必然ですよとばかりに、
迷うことなく注文。
最近では珍しい、煙モクモクの焼き肉、ジンギスカン。

甘めで濃厚なタレに厚切りのラム肉が合う、合う。
子羊を襲うオオカミになったような気分で、
ラム肉にかぶりつく。

ま、オオカミはタレを浸けて食べないだろうが。
この甘め、濃厚ダレと厚切りラム肉の相性の良さが
たまりません。

冷えたビールをゴクン、ゴクン。
「ビールっていうのは、
 ジンギスカンのためにあるんでしょうね」
なんて、つぶやきたくなる。

帯広さん、ありがとう、ご馳走さまでした。

翌朝は9時出発、貸切バスで旭川へ。
5時間ほどのバスの旅である。

長くバスに揺られていると、
先代のA楽師匠のことを思い出した。

今日と同じように延々とバスに揺られていると、
突然、A師匠が、
「いつまで乗ってるんだぁ!」
大声で怒鳴ったではないか。

バスの運転手は驚いて急ブレーキを踏み、緊急停止。
するとA楽師匠、
「このままでは、ロシアに着いてしまう。
 あっはっはっは」
豪快に笑うのであった。

バスは午後3時、無事にロシアではなく旭川に着いた。

旭川での遅いランチは、いつもラーメンに決まっている。
いつものラーメン屋さんで、いつもの塩ラーメン。

透き通った黄金スープに縮れ麺、チャーシューにメンマ。
今回は餃子も頼んだ。
大皿の餃子をアチチ、モグモグしつつ、
好い香りのスープをゴクリ。

麺をズズズっ、喉が喜んでいる。
ふと皆さんを見れば、無言のままでモグモグ、ゴクリ、
ズズズ。
恐るべし、旭川の塩ラーメン。

          (またまた、つづく)

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2016-07-10-SUN
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