私 |
「おっほん、我々はナポ、ナポ、
はて、なんだったっけなぁ」
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相方 |
「情けないねぇ、
チーム名は忘れちゃいけませんよ。
ナポリタンズだよ、ナポリタンズ」
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私 |
「ナポリタン?
そんな旨そうな名前じゃったかのう?」
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相方 |
「あぁ、間違えた。
ナポリタンズじゃなくって、
カメレオンズ」
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私 |
「まぁ食いもんでも爬虫類でも、
どっちでもええわい。
そんなことより、早くハトを出さんかい」
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相方 |
「出さんかいって、
まず、あんたがハンカチを出さないと。
そこからハトが出るんだから」
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私 |
「しまった、ハンカチを忘れとる。
どうしよう・・・」
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相方 |
「大丈夫じゃ、
わしもハトを忘れとる、はははは」
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てな具合で進行するのだった。
当時、日本は今ほど高齢化してはいなかった。
我ながら先見の明というか予言予知能力というか、
見事に時代を先取りした演出ではないか。
それに、実のところ、
あれこれとマジックを失敗しても
失敗に見えず、とても好都合な演出であったのだ。
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相方 |
「そこのお客さん、
どれでも1枚、
トランプを引いてださい。
そのトランプをしっかり覚えてください」
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私 |
「そうそう、
よぉく覚えてくださいね。
なんせ、私も相方も
最近は覚えていられないんだから。
お客さんだけが頼りなんですからね」
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相方 |
「貴方の選んだトランプは‥‥、
忘れた」
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