MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


『寂しさの解消法』

なんだか急に、寂しくなった。
あぁ、しみじみ寂しい。

寂しさに溺れそうだ。
ジタバタと仕事をしている間にも、
寂しい気持ちが
心に溜まり続けていたのだろうか。

空は青く澄んでいるのに、何か大切なものが
あの青い空の向こうに消えていってしまったように思えて、
寂しさはつのるばかりだ。

こないだは、懸命に、
あれこれ考えた通りにマジックをやってみた。
なぜだか焦ってしまい、しどろもどろになった。

周りの人は、
「いやいや、ちゃんとウケてましたよ。
 いつもと同じですよ」
なんて言ってくれたけれど、
寂しい気持ちを無理に奮い立たせようと
声ばかり張り上げていたのかも。

そんな仕事上のもどかしい気持ちも、
いつしか寂しさに変化して心に溜まるのだろうか。

次のステージは、いい出来だったと思う。
マジシャンだから、寂しい気持ちなんて
ちょっと良いステージができたら
すぐさまスッキリ解消〜、
のはずだったのに、帰り道はやはり寂しい。

日々の小さな寂しさが溜まり続け、
いつしか一杯になってポタポタと溢れ出ているようだ。

きっとみんな、そうなのだと思う。
大人気のあの師匠だって、
めちゃ不思議なマジックを連発している
あのマジシャンだって、
時に寂しい思いをしているに違いない。

テレビでハッピー満開のあのタレントさんだって、
「寂しいなぁ」
て言っていた。

みんな、誰だって、寂しい時がある。

急に、ある人の言葉を思い出した。
「寂しい時は美味しいものを、
 好きなものを食べればいいのさ」

五分づきのご飯が、山盛りで出てきた。
なんだかホクホク、さっぱりとしていて旨い。

鮭の粕汁は、
昆布と鰹節の出汁に酒粕がたっぷり、
鮭の大きめの身が浮かんでいる。
鮭の塩味と粕汁の甘さ、たまらないご馳走。

牛肉の甘辛煮。
思い出すだけで生唾ゴクリ、
ちょっとピリ辛をご飯に乗っけてハグハグ。
山盛りのご飯がみるみる消えた。

鯖の野菜あんかけ、初めて食べたような気がする。
素揚げした鯖に、彩り鮮やかな野菜の餡が絡まって、
いつまでも熱々の旨さ。

結論、寂しさなんて美味しいものと一緒に
胃袋で消化してしまいましょう。

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2016-02-28-SUN
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