MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


『僕の小さな戸惑い』

僕は未だにガラケーを使っている。

以前から、
「遅くとも2月には
 スマホ・デビューの予定だよ」
なんて言っていたけれど、
まだ戸惑ってばかりいる。

スマホにすべきか、せざるべきか。
若い友人に相談してみれば、
「はぁ? 
 逆に、なんでスマホにしないのか、
 僕の方が戸惑っちゃいますよ」
なんて言われてしまう。

電車に乗っていると、
僕以外は全員、スマホのような気がして、
激しい疎外感に襲われる。

皆、スマホ画面に夢中だ。
そんなに面白いのだろうか。

気になって左隣の人のスマホ画面を覗き見れば、
ゲームに熱中。
右隣の人はSNSだろうか、
これまた画面をスクロールするのに忙しい。

歩きスマホの人だって、ちっとも珍しくない。
うつむいてて顔の見えない群衆が、
僕の存在などないも同然に向かってくる。

そんなスマホ・ユーザーを見ていると、
ガラケーのままでいいじゃないか、
もっとガラケーに自信を持とう、
なんて思うのだが、実は、
僕はスマホに変更したくてたまらないのだ。
あぁ、僕も皆んなのように
スマホ画面にのめり込みたい。

でも、
「スマホを使ってるんじゃなくて、
 スマホに使われてるんじゃないの?」
「そんなに、歩きながら
 チェックしなければならないほど、
 お前は忙しいのか?」
もう一人の僕が、しきりに問いかけてくる。

しかし、僕は答えに窮して、
小さな戸惑いに暮れているばかりだ。

戸惑いつつ歩いていると、
逆走してきた自転車にぶつかりそうになった。
僕はついつい、
「おいっ、逆走は危ないよっ!」

声高に叫びそうになったが、
逆走自転車の前かごの
『防犯パトロール』というプレートを発見し、
「おいおい、
 『防犯パトロール』中に道交法違反かよ」

そうツッコミながら、
僕は再び小さく戸惑うのだった。

ツイートするFacebookでシェアする

このページへの感想などは、メールの表題に
「マジックを読んで」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2016-02-21-SUN
BACK
戻る