MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。


『マジシャンは再びあっちこっち』

くどいようだが、
私は白内障の緊急手術を受けたのだった。

マネージャーに報告すると、
「小石さん、どうぞお大事に。
 どうか無理なさらないで、
 ゆっくり静養してください」
という、心優しいメールが返ってきた。

ありがたいことと、お言葉に甘えて
静養に努めることにした。
仕事はあったはずだが、緊急事態であるから、
事務所が交渉して延期してくれるか、
あるいは相方ひとりでやってくれるだろう、
なんて考えていた。

ところが、世の中そんなに甘くはない。
マネージャーから再び、
「◯月◯日、幕張メッセ、特設会場。
 12時半入り、担当者は◯◯さん」
という、シンプルな文面の仕事メールが
やってきたではないか。
休める時は休んでもいいが、仕事はしっかりこなせよ、
ということか。

実のところ、術後の経過は順調であった。
1日に6回の点眼などはあるが、
仕事に差し支えるようなことはあまりないのだった。

それどころか、以前の私は強度近視、乱視で、
仕事場に向かうのにも苦労していたのだ。
なんせ、あれこれの表示が見えないから、
こっちなんだかあっちなんだか、
目の前まで近づかないと分からなかったのだから。

それが今や、見えるのなんのって。
「はい、ここを右、次を左、ですね。
 その先に、おぉ、あるある」
迷いなく到着できてしまう。

お次は、私ひとりの仕事であった。
『神戸三宮映画祭』イベントのひとつ、
『白羽監督・永田監督・ぐるぐる対談』に
参加することになったのだ。

新幹線で新神戸駅へ行き、
白羽監督自らのお出迎えをいただく。
この仕事は白羽監督のご紹介で、ギャラは些少だが、
なんと、
「うまい神戸牛を食べてもらって、
 それがギャラの代わりってことで」

なんと素晴らしい仕事でしょう。
こんな仕事ならば、手術後であろうと何だろうと
万難を排して駆けつけなければならないであろう。

約1時間半くらいの対談は和やかに、
時に熱く盛り上がった。
私は途中で『あったま・ぐるぐる』ひとりバージョンを
披露、好評のうちにお開きとなった。

終了後、白羽監督に案内されて神戸半日観光。
お約束の神戸牛は、なんと『こいし』という
肉専門店であった。
串焼き、ローストビーフ、ミニ・ステーキ‥‥。

こんな美味しい、ありがたいギャラは初めてであった。
ちなみに『こいし』という店名は『小石』ではなく、
『恋しい』の『こいし』とのことであった。

京都にも、『こいし』という美味しい割烹の店がある。
この店は叔母が経営していて、
神戸の『こいし』は叔父がやっていると、
ついついウソをつきたくなった。

週刊誌の取材、およびカメラ撮影の仕事があった。
『戦後70年 日本を大爆笑させた昭和喜劇王』という
企画物。
恐れ多いことに、数多のお笑い大スターに混じって
掲載されるらしい。

おそらく、我が師、初代・引田天功先生の
お導きの仕事であろうとあらためて感謝。

渋谷の放送局に行った。
今回はラジオ番組への出演であった。
ラジオということで、
おしゃべり担当の私だけの出演であった。

途中で、ラジオ向けというか、
ラジオならではのマジックを披露。
反響が大きければ嬉しいのだが。

なにより、パーソナリティの
C・Mさんの声が印象的だった。
本当に、彼の生き方そのものが聴こえてくるようで、
すっかりファンになってしまった。

またまたマネージャーからメールが入った。
さて、お次はどちらへ出かけるのでしょうか。
マネージャー様、事務所様、
どうかお手やわやかにお願いいたします。

このページへの感想などは、メールの表題に
「マジックを読んで」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2015-07-05-SUN
BACK
戻る