ライフ・イズ・マジック 種ありの人生と、種なしの人生と。

『デジタルがよろしいようで』 えぇ〜、毎度バカバカしいお噺で ご機嫌をうかがっておきます。 なんと言いますかねぇ、最近はこの、 デジタルってぇのが流行だそうですなぁ。 そりゃぁもう、アナログと違って便利になって、 早くて、情報がたくさんだそうで。 でもねぇ、あたしなんざぁ、 どこがどう便利になって 何が早くて、どんな良い情報が増えたんだか、 さっぱり分からないままでして。 えぇ〜、デジタルとかけまして乙女ととく。 そのココロは、どちらも命短し。 まぁ、現代の乙女は命長いのでしょうが、 デジタルの命の、そりゃぁ短いこと。 携帯は、だいたい３、４年でお終いってんでしょう。 てぇことはですよ、携帯の１年は 人間でいうところの30年ってぇことですよ。 近い将来、携帯も音声入力てなことになって、 画面に人間の顔が映ってて、 ちゃんと買い替え時が見て分かるようになったり するんでしょうかねぇ。 使い始めて３、４年経つと、 「ありゃ、 　待ち受けの顔がずいぶん爺ぃになってるなぁ。 　おいおい、ワンセグ見ようと思ってるのに 　メール画面が出てきたよ。 　携帯の爺さんよぉ、頼むよ、 　ワンセグにしてくれよ」 などと音声で携帯に頼むようになるんですなぁ。 すると、携帯が、 「はぁ？　なんじゃろうかのう」 「ダメだこりゃぁ、買い替えよう」 てなことになるかもしれませんやね。 確かに便利にはなりましたねぇ。 いつでも携帯にかけりゃぁ連絡つくし、 テレビだってデジタルになってゴーストないですしねぇ。 ゴースト、もう懐かしいですなぁ。 今の子供に、 「昔はテレビにゴーストが出たんだよ」 なんて言ったって、 「ふぅん、ゴーストって、お化けでしょ？ 　お化けが出てくるドラマってこと？ 　ホラー映画？」 てなもんですよ。 手紙は面倒だが、メールだと簡単ですしねぇ。 でも、あのメールで困るってぇのが、 間違った時でさ。 間違えて送信を押した瞬間、もう後の祭りでね。 もう、取り返せねぇんでさぁ。 昔ぁね、好きな女の子に手紙書いて出したものの、 次の日になったら恥ずかしくなって、 「あの、オレさぁ手紙書いて出したんだけど、 　間違ったこと書いちゃったから、 　開けないで返してくれる？」 手紙が届く前に女の子の家まで行って頼んだりして。 それで話ができて仲良くなって、 なんてこともあったような。 デジタルのおかしいところは、壊れることですなぁ。 もちろん、アナログだって壊れますよ。 でもね、アナログは壊れたら修理するんですよ。 ところが、デジタルって、修理しないんですなぁ。 店に持ってって見てもらうと、 「精密機械なのでですね、 　予期せぬことで不具合が生じるのは 　仕方のないことで。 　今、新しいものと交換しますね」 修理はしないんですよ。 しかも、不具合があって当然のようなんですなぁ。 でも、さすがに車はデジタルになっても、 「はいはい、ブレーキが利かないんですね。 　３年も乗ってるとそんな不具合もありましてね。 　え？　車が勝手に左折して困る？ 　分かりました、新しい車を用意します」 てなことにはならないようで、良かったですなぁ。 最近じゃぁ、チェスのキングやクイズ王を負かした コンピュータができたそうで。 ならばいっそのこと、そのコンピュータに 今の政治の難問を解決してもらいたいもんですなぁ。 しがらみだの根回しだのと言ってばかりで、 一向に世の中を前に進めてくれない政治家の皆さんには いったんお引き取り願って、 そのスーパー・コンピューターに 任せる方がいいんじゃねぇかと思いますなぁ。 色んな課題をぜ〜んぶ、よろしくってんで任せちゃう。 意外と良い答えを出してくれると思うんですがねぇ。 さて、東京が江戸であった頃のお噺。 「おいおい、熊さんや、 　急いでどこ行くんだい？　」 「おぉ、八っつぁんかい。 　実ぁねぇ、この先にデジタル神社てぇのが出来たんだよ。 　縁結びの神様で、たいそうご利益があるそうだぜ」 「なんだい、そのデジタル神社というのは」 「モニター画面の中に神社があるんだよ。 　でね、画面の神社にタッチすると、 　お賽銭箱の絵が出てくるねぇ。 　千円、２千円と金額が続いてて、 　好きな金額をクリックする。 　すると、おいらの銀行預金から 　引き落としされるってぇ寸法よ。 　それだけで良縁に恵まれるってんだから、 　ありがたいねぇ」 「そうかい、へぇ〜。 　じゃ、オレも願ってみるかねぇ。 　ただ、オレは郵貯なんだけどねぇ」 「郵貯？　悪いけれど郵貯はダメだ。 　縁（円）をチョキン（貯金）と切っちゃうから」 お後がよろしいようで。

このページへの感想などは、メールの表題に
「マジックを読んで」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2011-03-27-SUN

戻る