MAGIC
ライフ・イズ・マジック
種ありの人生と、種なしの人生と。

世間の夏は暑い。最近は特に暑い。
だが、マジシャンの夏も暑かったのだ。
俗にニッパチといって、2月8月はヒマなはずなのだが、
今年の夏はただならぬ忙しさでありました。
そんな夏を、あの暑さを思い出しつつお送りする今回、
題して

『夏のマジック・ツァー』

8月某日、いよいよ今年も
暑いマジック・ツァーが始まった。
朝7時45分、都内某所に集合して羽田へ出発。
30分ほどで羽田に到着。
ところが、駐車場への長い列が続いている。
仕方なく車から荷物だけを降ろして、
アシスタントNは羽田空港から離れた駐車場へ
停めに行くことになってしまった。
こんなに混んでいるのは初めてだ。
なんとか出発ゲート近くまで来た。
腹が減っているので、
いつもの所でいつもの520円のきつねうどんを食べた。
値段が高いと思われるが、まだマシになった方だ。
新羽田空港になったばかりの頃は
ちょっとした朝食セットが1700円とかしてた。
外国人の男性がそのセットを食べ終えて、
「ヘイ、メイン・ディッシュはまだかい? 」
などと言っていた。その気持ち、良〜く分かるなぁ。
さて出発ゲートが開いて機内へ。
駐車場があんなに混んでいるのに、
機内はそんなでもない、不思議だ。
イヤホンで寄席番組を選び、
江戸家まねきねこさんの動物声まねと
仁鶴師匠の落語を楽しむ。
こうしていると、飛行機に乗っている時の
なんだか分からない漠然とした不安な気分を
忘れることが出来るのだ。
1時間半くらいで鹿児島空港に着いた。
荷物を受け取り、出迎えの人とともにタクシーに乗った。
ここから川内市までは1時間ほどだという。
川に内で、せんだいと読む。
「今日は、せんだい、ですよ」
なんて音だけ聴いてると、東北の仙台と間違えるよね。
目的地の川内市民会館に着いた。
我々の出番は15時45分と19時45分の2回。
始めに三遊亭歌之介師匠(薩摩の爆笑王と呼ばれる。
ご当地の鹿児島弁、ネイティブ・カゴシマンなので、
我々にはさっぱり分からないのだが、
会場のお客様はドッカンドッカンとウケる)。
続いてモノマネのコージー冨田さん(タモリさんの
モノマネで大人気。僕個人としては
ルー大柴さんと松山千春さんのモノマネが好きだ。
もう、何度聴いても笑ってしまう)。
その後やっと、我々ナポレオンズの出番となる。
我々の出番前で早くも2時間近くが過ぎている。
出る頃にはお客は帰ってしまうんでないの?
などと心配してしまった。
しかし、信じられないことに皆さん残っていました。
きっとお笑いの好きな人々ばかりが
この川内市を形成しているのだろう。
1回目の前に弁当をいただいた。
2回目の後にも弁当をいただいた。
大して空腹でもないのだが、
せっかく取っていただいた弁当である。
しっかりといただきました。
こういうツァーが続くと、
昼も夜も弁当べんとう、また弁当、
なんてことになる。
一般の人々の一生分のシャケとエビフライを、
もう食べてしまったかもしれない、などと思う。

市民会館を後にして、タクシーで川内駅へと向かった。
ほんの数分で駅に到着、
20時53分の九州新幹線つばめに乗った。
九州新幹線には初乗車であった。
グリーン車のシートをリクライニングして
ハァ〜とため息をついた。
夏のツァー初日にして、早くもヘロヘロである。
シートにべったりと背中をつけていると、
気のせいか昼と夜にいただいた弁当の
エビフライの匂いがするような・・・、
と思ったら後ろの客が弁当の真っ最中だった。
途中でリレーつばめという列車に乗り換えて
23時10分、めでたく博多に着いた。
予約しておいた駅前のホテルにチェック・イン、
ステージ衣装をハンガーに掛けたりする。
すぐそばのコンビにまで行って、
ビール、枝豆の茹でてむいたもの、
ミニ冷やし中華などを買って部屋に戻った。
それらを食べながら、テレビのオリンピック中継を見た。

風呂から出るとすぐに睡魔が襲ってきた。
明日も早いし、さっさと寝ましょう。
ツァー初日、博多の夜は
こうしてなにもなく過ぎて行った。
(おいおい、ツァーの話なのに
 初日の一日でもう終わりかいっ、
 と怒られるなぁと思いつつ、つづく)

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2004-09-06-MON

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