2024-10-29

すごい爆発があったらしい。轟音とともにまわりが水浸しになったって。いやいや、違うよ。水を張るとまわりの家の水が止まってしまって、それで使われなくなったらしいよ。

わたしの母校のプールについて、当時大真面目に囁かれていた伝説である。入学して「本校にプールはありません」と知らされ大喜びの生徒たちだったがじきに「でもなぜ?」と気になりはじめる。すぐに事情通が現れ、情報は風のように飛び交う。

「そのプールのど真ん中にさ、 カッパのミイラがあるらしいよ!」「ええー? マジで!? 見に行こうよ」「わはははは! 行こう行こう」JKという言葉などまだなかった時代、我らは制服のリボンを風に泳がせつつ勇んでカッパ探しに遠征したのだった。広大な敷地の奥の奥、湿地と藪の中でプールはさびたフェンスと共に草に埋もれていた。盛大に蚊に喰われながらの冒険は今に残る思い出になった。

年月を経て、プールは解体された。今はハンドボールのコートになっているそうだ。

「ハンドの授業のたびにすげえ歩くんだけど!」「そして蚊に喰われまくるんだけど!」帰宅してムヒを塗る後輩・次男高1に母はニヤニヤしながら伝説を吹き込む。

(タナボタばんざい) 

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