糸井 坂本くんが大森さんと出会った時は、
すでにバックバンドとかやってたの?
色んな人の。
坂本 んー、やってたと思う。
糸井 バイトで。リリィとか?
坂本 24、5だね。そうそう。
糸井 永ちゃんのバックもやったよね。
坂本 永ちゃんのバックもやった。
糸井 永ちゃんのバック、
坂本くんがやってたって
絵としておかしいよね(笑)。
坂本 こうやって(顔をうんと近づけつつ、
口に手をあてて)しゃべるんだよ、
永ちゃんって。こうやって(笑)。
糸井 ほんと(笑)。
坂本 自分で唾飛ぶこと知ってるからさ(笑)。
── 優しいですね、なんか(笑)。
坂本 優しいんだよ。
糸井 あの人は、優しいんですよ。うん(笑)。
坂本 いい人だよ。熱い人だって言うけど、
その通り熱ーい感じの人だよ。
糸井 絶対いなきゃいけない人ですよ、
あの人は(笑)。
坂本 僕もどうやって
コミュニケーションしていいかわかんない。
僕も、まだオオカミ少年だったから。
糸井 うん。けだもの同士だよね。
でもさ、けだもの同士で
「いい音出すね」ってことを
思ってたんだろうね。
坂本 そうですね。そうそう。
糸井 かわいい話だね。
坂本 いい話だね。
糸井 その、ロナウジーニョと
誰かが知り合ったみたいな話だよね(笑)。
中学生時代に。
坂本 そうそう。ほとんど会話してないからね。
でも、色々言うんだよね。
こういう感じで、あの人もほら、
矢野さんとちょっと似てて、
糸井 似てる、似てる。
坂本 系統はまったくなくて、
糸井 ない。
坂本 要するに勘だけであそこまでやってる人だから。
自分は別に何‥‥、ま、ベースは弾けますけど、
ピアノなら、こういう風に弾いてほしい、
っていうことをね、うまく言えないわけ。
だから、すごいじれったいのね。彼自身がね。
だから、たくさん色んなこと言うわけ(笑)。
こう近づいてきて。
篠山(紀信)さんみたいに
どんどん近づいてきて(笑)、
糸井 (笑)。
坂本 僕は、まあ、そうかそうかそうかって思って。
糸井 引き出しをあっちこっち開けるわけだ。
坂本 で、頭の中でさ、こんなこと言ってるから
こういうことかなって返す。
だから、ほとんど言葉では何にも言えないよね。
コミュニケーションのしかたが
わからないから(笑)。音で返すって感じで。
糸井 そんなのを、贅沢な話だけど、
もし誰かがカメラ回してたら
おもしろかったろうなぁ!
売れる前の人々のやりとりっていうのは、
本当に貴重だね。
坂本 うん。それで、何時間もそういうことが
行なわれてて、
矢沢ってのもおもしろいなと思ったのは、
意外とそれでね、繊細っていうかさ、
ピンポイントで、
全員をそこまで持ってくわけ。
何時間もかかって。1曲を。
糸井 ああ。
坂本 「時間よ止まれ」ってやつ。
シングルだったけど。
けっこう時間かかってる。
僕もだから、うわーって来られて、
こうかなこうかなって、
「だけど、ちょっと違うんだよな」
ってまた来るんだよね(笑)。
糸井 うーん。
坂本 でね、ちゃんとそこに持ってくの。
糸井 けだものとの関係は、
坂本くんは多いんだね。
坂本 多い。
糸井 矢野顕子だの(笑)。
── 矢野さんとのレコーディングはどうなんですか?
坂本 (矢沢永吉さんと)わりと近いね。
糸井 言葉遣いが違うだけで、
けだものですよね。
やっぱり。きっと。
坂本 そうですよ。
糸井 紳士的なけだものと言うべきか?
坂本 穏やかなけだものっていうか(笑)。
糸井 穏やかな(笑)。
2006-11-24-FRI
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