21世紀の
向田邦子をつくろう。

■「久世塾おぼゑがき」63号
 テレビ井戸端会議


「皆さん、楽しいですか?」
ふと我に返ったかのように、
久世塾長は目の前の塾生たちに聞きました。
その問い掛けに、ニコニコ顔の塾生たちは皆無言で頷く。

それもそのはず、久世光彦と糸井重里の
“テレビ井戸端会議”が楽しくないわけがない!
そう、この日の『久世塾』は、
久世塾長&糸井darlingによる特別対談会。
テーマは特に決めてなかったんですが、
対談が始まるとスグ、話は自然とテレビのことに……。

それは‘対談’というよりむしろ‘雑談’に近く、
まさしく“井戸端会議”といった風情。
『久世塾』の特別対談会のはずが、
二人の話が盛り上がってだんだんと
「飲み屋での会話」の世界に入っていき、
まるで二人の視界から目の前の塾生たちは
消えてしまったかのよう。

それがまた聞いている方には楽しく、
「この二人って仲いいんやろうな〜」と、
ちょっとうらやましくなる程。
「お互いジジィになりましたよね〜」と、
しみじみいう糸井さんに、
「なかなかトシ取らなかったじゃねぇか」と返す久世さん。
そういえばあの頃こんなドラマがあったよね……と、
話はすぐにその時代へと飛んでいく。

この日の糸井さんはまるで
「しゃべるドラマ・データベース」。
久世さんも感心するほど、
とにかく昔のドラマがよく出てくる。
しかもテレビ史上に残るような、
いわゆる名作ドラマではなく、
どちらかというと“ハズした”ドラマ。
またそれが久世さんの絡んだ作品だったりして、
ドラマより楽しいウラ話が次々に飛び出す。

それがあまりにも上手くはまるので、
「事前に打ち合わせしたんじゃないの」と
勘ぐりたくなるが、その‘事前’の控室では
一切そんな話はナシ(僕はその場にいたので確かです!)。
ということは、この日の対話の全部がアドリブ!?
まるでベテラン漫才師のような、
あ・うんの呼吸で、1時間30分(実際にはかなり
オーバーしたので2時間近く)しゃべくり通しでした。

「いま活躍している人の中にも、
 実は昔かなりハズしたものを作っていた、
 なんていう人が結構いる。
 そんな人の方が面白いんですよ」
という糸井氏に、
「僕なんか視聴率が取れなかった(ハズした)作品の方が
 面白いのが多いんですよ。
 ドラマ史上に残らない傑作がね」と応える久世氏。
そして「当時は視聴率が悪かったけど、
いまビデオで出したら絶対に売れる!」と
糸井さんが豪語する、
久世さんが演出し糸井さんがタイトルを付けた
幻(?)の名作のウラ話になる
(タイトルはナイショ……調べてね!)。

実はこの日、会場には
久世塾長の奥様とご子息が来られていました。
教室のうしろの方に座っておられたのですが、
対談の中で一度、久世塾長が「ウチの奥さんは……」
というお話をされたときに、
チラッとそちらの方をうかがっていました
(ちょっとカワイイ笑顔で)。
その影響(?)かどうか、
糸井氏も久世ドラマへの出演も多い奥方
(カグチヒナコさん)のお話をされていました。

とにかく終始楽しいお話のテンコ盛りだったこの対談。
しかしそれが脚本家を目指す塾生たちに
役立ったかというと、
「それは、その人次第です!」
ということになるのでしょう。
最後に糸井さんが塾生たちに、
「最初は上手いこと失敗した方がいいですよ!」と、
いったひとことが妙に心に残りました。
でもホント、楽しかったです。

さぁ、いよいよ『久世塾』も残すところあと一回。
再来週(9/30)にはいよいよ
「久世賞」の発表が行われます
(「オンライン賞」はもうちょっと後、
 10月に入ってからになります)
以前ここでも書きましたように、
本講座での受賞作はドラマ化が予定されています。
また同時にこの「ほぼ日」での
ネットドラマの企みもあります。
なかなか詳細を発表できないのがもどかしいのですが、
もうちょっとだけお待ちください。
僕が情報を入手次第、ここで発表いたします。


それでは。

文責 さとう

★久世塾正式サイトへのアクセスは
 http://www.kanox.co.jp/へ。

2000-09-20-WED

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