21世紀の
向田邦子をつくろう。

■「久世塾おぼゑがき」60号
 特別ゲストにどよめく『久世塾』


「本当は今日、ウチの娘と本木君も
 見に来たいっていってたんですよ。
 『教室の隅っこからでも見てていい?』
 なんて聞いてきたんだけど、
 『ダメ!遊びじゃないのよ !!』
 っていってやったんですよ。」
と、希林さんは楽しそうに言い、
隣に座った浅田さんの方を見ながら、
「それでもコッソリ見に来そうだったから、
 池袋の何処でやるかは教えてやらなかったのよ」
と笑いながら言いました。
(その瞬間、教室全体に
 「何で教えてあげないのよ」という空気が…)

この日の『久世塾』は、“久世光彦 DAY”。
前半は特別ゼミナール「向田邦子研究」で、
向田さんとは長年パートナーとして
多くの名作を共に生みだしてきた久世塾長ならではの
「向田論」が展開され、決して肯定一色ではない、
“人間くさい天才”向田邦子さんの一面が紹介されました。

後半は特別企画として、
「おばあちゃん」をテーマに書いた塾生のシナリオを元に、
プロの女優さんに演じてもらうシナリオ実演講座。
演出はもちろん久世光彦。
そしてそのシナリオを実際に演じる特別ゲストとして
登場したのが、樹木希林さんと浅田美代子さん。

このお二人の参加は事前まで
シークレットにされていたので、
当日教室に入ってきた両人を見て塾生たちもビックリ!
以前CMでこの二人と共演したことのある、
おなじみ田中千絵ちゃんも
【もう、ビックリしちゃいました!
 樹木希林さんと浅田美代子さんが
 お芝居をされるなんて!!】と驚きのコメント。

まさかこんなビッグなゲストが来るとは
思っていなかったようで、
教室全体が何となく“浮かれ状態”に。
実際に自分のシナリオを読んでもらう塾生さんたちも
少々緊張気味でした。これで希林さんが言っていたように、
本当に娘さん(内田也哉子さん)や
モックンまで来ていれば、どうなっていたことやら…。

浅田さんは先日スタジオ見学にお邪魔した
『寺内貫太郎一家2000』の撮影で
腕を骨折されたとのことで、
右腕を固定した痛々しい状態で参加。
う〜ん、相変わらず『寺内貫太郎』の
乱闘シーンは激しいらしい。
病院で「何をしていたんですか?」と
お医者さんに聞かれた浅田さんが、
「ちょっと乱闘を…」と答えたという話を聞いて、
やっぱりこの人は、あの“浅田美代子”なんや〜
と妙に納得してしまいました。

一方希林さんは、堂々とした和服姿での登場。
「ちょっとオシャレしてきたんじゃないか?」
と勘ぐる久世塾長に、
「いえ、ほんの普段着です」とすまして答える希林さん。
タバコのにおいが苦手とのことで、
ヘビースモーカーがたむろする控室には入ってこない。
着物の袖口で鼻と口を押さえながら、
ドアの外から顔だけ出して中をのぞく姿は、
まるで「巨人の星」の明子姉ちゃん。
その姿が妙に芝居がかっていて、まったくこの人は、
普段から“女優”してるんだなぁ…って感じ。

そして本番のシナリオ実演では、「これが役者よ!」
とばかりに本物の実力を見せつけられました。
今まで普通にしゃべっていた“言葉”と、
同じ口から出てきたとは思えない“台詞”の違いに、
さすがプロの女優は違う!と圧倒されてしまいました。

時間が経つごとにノッてきた希林さん。
いつの間にか久世塾長から主導権を奪い、
「美しい人はより美しく。そうでない人は、それなりに…」
という某フィルムメーカーの有名なCMコピーは、
実は希林さんが考えたというウラ話なんかも飛び出して、
講義の進行をすっかりとリード。
そして、未来の仕事仲間になるかもしれない
塾生たちに向かって、「女優から見た脚本家の心構え」
というようなものをしっかりと伝えていただきました。
希林さん、美代子さん、本当にありがとうございました。

ところでこの日、突然NHKが
『久世塾』の取材にやって来ました。
どうやら久世塾長が生出演する番組に、
塾の講義風景を入れるらしい。
放送は9月5日(火)の朝。
「おはよう日本」という番組で、
久世塾長はAM 7:55位から登場するとのこと。
僕もうしろの方でチラッと映っているかも。
(カットされていなければ)
皆さん、ぜひともご覧ください。

それでは。

文責 さとう

★久世塾正式サイトへのアクセスは
 http://www.kanox.co.jp/へ。

2000-09-01-FRI

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