21世紀の
向田邦子をつくろう。

■「久世塾おぼゑがき」53号
 怒る脚本家、現る!?


「はじめてキャストを知ったときには、
 ひっくり返るくらい失望した。」
実際にひっくり返る仕草をしながら竹山先生は続けて、
「なんであんな“イロモノ”を
 使わなければいけないんだ!」と
憤激したというウラ話を語られました。

それほど初めて手掛ける大河ドラマ「秀吉」の主役に、
竹中直人さんがキャスティングされたときの
衝撃は強かったそうです。
でも結局そのキャスティングが話題となり、
一大ブームを巻き起こしたのは周知の通り。

竹山先生も、あの「ビューティフルライフ」と
向田邦子賞を最後まで競り合ったドラマ
「坊さんが行く」に、竹中さんを再起用するほどの
惚れ込みようだったようです。

大河ドラマといえば、竹山洋先生は再来年の
「前田利家(仮題)」を手掛けられるとのこと。
そこで大河ファンでもある僕は、本番前の控え室で、
竹山先生にこっそりいろいろと
聞いちゃおうと画策しました。

ちょうど久世塾長が来られる前で、
竹山先生はひとりでゆっくりとお茶を飲んでおられる。
今がチャンス!
「この度はお世話になります。
 久世塾運営事務局の佐藤と申します。」
「やぁこれはどうも。竹山です。」
懐から丁寧に名刺を差し出される。
慌てて僕も名刺を差し出す。

名刺交換してくれた特別講師は初めてだ。
竹山さん、ええ人やなぁ……
見た目はちょっと怖いけど……。
「ところで私、大河ドラマのファンでして、
『秀吉』もずっと見させていただいてたんですが、
 今度の『利家』はどうですか?」

“どうですか?”っていうのも
抽象的な質問だったのですが、竹山先生は、
「今はまだ書く前の段階で資料を集めていてね。
 取材とかで飛び回っていますよ。
 実際の撮影は来年の夏頃から始まるのでね。
 今は準備段階です」
と丁寧に答えてくださる。
「利家役はもう決まったんですか?」
「まだですね。唐沢君とかも
 候補に挙がっているようだけど」
えっ、あの唐沢寿明が!
う〜ん、なかなか良いかも。

ここで一番聞きたかった質問、
「竹中さんは今度は出られないんですか?
 秀吉役とかで……」
「それは……」
と、言いかけられたところで、
やぁやぁと久世塾長が入ってこられました。
そのまま久世塾長は竹山先生とのお話に入られ、
僕は仕方なく席を外すことに。

あぁ気になる! 
でも二人の間に入っていく勇気はないし。
とその時、「こんにちはぁ!また来ちゃいました」と
田中千絵さんが入ってきました。
またも参加か田中千絵。この調子なら全部に来そうだな。

控え室ではとても紳士的だった竹山先生も、
現場ではかなり激しいらしい。
「私は“怒る脚本家”と呼ばれています。
 最近の人たちはおとなしすぎる。
 みんなもっと怒るべきだ!」と、
塾生たちにハッパをかける。そして
「いま、私より下の世代の脚本家が
 結構出てきていますが、その中には
 私の敵はいないと思っています。」という
自信たっぷりの発言にも、力強い説得力がありました。

竹山先生の言葉で印象に残っているのをもうひとつ。
「気合いを入れすぎて書いたモノは
 ロクなモノにならない。
 もっと力を抜いてやればいい」
僕の場合、抜きすぎないようにしなければ、と自戒。
それにしても竹山先生が今も
漫画の原作を書いているのは知らなかったなぁ。
ペンネームは教えてくれなかったけど。
誰か知りませんか?

ところで以前より募集している「センセイ教えて!」。
今回は久世塾長にメールで来た質問を
ひとつご紹介します。
【久世先生へご質問いたします。
 こんばんは、初めまして。
 芸能界、文学界、スポーツ界、
 何処でも若くないとその道を目指す事が
 無理のような状況があります。
 こちらの脚本シナリオも同じでしょうか?
 また小説と同様大変な決まりが一杯あると思いますが、
 それらをこれから学ぶ事は困難でしょうか?
 物を書くことが好きというだけでは、
 かなり安易な考えでしょうか?
 私は都内在住、既婚者で3児の母54歳になりますが、
 親元近く住み、娘のような面も多々あります。
 これからこの道を志すものはどうした決意、
 好奇心、勉強をしたらよろしいでしょうか?
 私を含めこれから脚本の勉強をする人の視線や
 方向を教えていただけたら、
 今後の勉強の仕方の目標にしたいと思います。
 よろしくお願い申し上げます。】

これに対する回答をいただきましたので、以下に記します。

『無理ということはありません。
 ただそう簡単に認められるということも、
 まずないでしょう。
 何事も‘志’ではないでしょうか。
 トライすること・しぶとく・打たれ強く……。
 とにかく表現すること、書きまくること。
 それが第一歩を踏み出すことだと思います。
 それには大変なエネルギーが必要です。
 それを持続する意志が大切です。
 こうすればこうなるという方程式はありません。
 ‘志’を持ってがんばってください。』
と、いうことです。
K・Kさん、がんばってください!

それでは。

文責 さとう

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2000-07-28-FRI

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